24ky-28





 奈良 飛雄馬(帝京3年)三塁 184/104 右/右
 




 「技術も高い」





 今年の、強打を売りにする三塁手の中では、この 奈良 飛雄馬 の打撃が一番ではないかと評価している。そういった打撃を評価するのであれば、この選手はアリなのではないかとみている。


(守備・走塁面)

 この選手の最大のネックは、やはり守備・走塁面。残念ながら、一塁到達タイムは、まともに走り抜けたものは計測できず5秒台と極めて遅い。18試合で、盗塁は0個。基本的に、
走力は期待できないと見て好いのではないのだろうか。

 三塁手としても、けして守備範囲は広くない。グラブさばきやキャッチングも、けして上手い部類ではないだろう。ただし、
肩は水準以上のものは持っている。けして走力がある選手ではないので、今後は三塁の精度を引き上げるか、上手い一塁手として勝負してゆくといったタイプではないのだろうか? ただし、公式戦11試合で失策は1個と、安定感は増してきていたようだ。

 こと
守備・走塁に関しては、かなりのマイナスポイント。プロ志望届を提出するのかはわからないが、この部分は大いにネックとなる部分ではないのだろうか。





(打撃内容)

 今年になってからの 
11試合の公式戦では、4本 10点 打率.500厘 。特に右投手には強いが、左投手を苦手にしている傾向が見られる。パワフルな打撃が目立つが、打球はセンターから右方向へも珍しくない。

<構え> 
☆☆☆★ 3.5

 前の足を少しだけ引いて、グリップを高めにバットを寝かせて構えている。腰は深く据わり、両眼で前を見据える姿勢や全体のバランスはそれなりといった感じ。

<仕掛け> 遅すぎ

 投手の重心が沈む時に、開いていた足をベース側に持ってきてつま先立ち。本格的に動き出すのは、リリース直前という「遅すぎる仕掛け」を採用。日本人の筋力やヘッドスピードで、このタイミングでの始動だとプロの球を打ち返すのは容易ではない。

<足の運び> 
☆☆★ 2.5

 小さくステップして、真っ直ぐ踏み出してくる。始動~着地までの「間」がないので、あらかじめ狙い球を絞り、その球を逃さない「鋭さ」が求められる。真っ直ぐ踏み込むので、内角でも外角でもさばきたいタイプかと。

 
踏み込んだ足元が、少しインパクトの際に動く。そのため、逃げてゆく球や低めの球に対しては、けして強くなさそうなイメージ。それでも始動が遅くボールを引き付けてから叩くので、そこまで足元が動くことが影響している部分は少ないのかもしれない。

<リストワーク> 
☆☆☆ 3.0

 打撃の準備である「トップ」の形を作るのは自然体で、力みなくボールを呼び込めている。しかし、バットを引くのが遅れないように注意したい。振り出し自体は、
少し遠回りに出てくる金属打ちといった感じはする。それでも大きな弧を描きながら、最後まで力強く振り抜けている。

<軸> 
☆☆☆ 3.0

 足の上げ下げが小さいので、目線の上下動は少なめ。体の開きは充分我慢できているといったほどではないものの、
高めの球や甘めの外角球ならば、センターから右方向にひっぱたくことができている。軸足の形は少し前に傾きがちなので、体が突っ込まないように注意したい。

(打撃のまとめ)

 けしてパワフルだけれども、当て勘が悪いようには見えない。天性のスラッガーというよりも、
体の強さでボールを飛ばすタイプなのだろう。始動の遅さや、足元の盤石さ、スイング軌道含めて、まだまだ技術的な改善点は少なく無さそうだ。


(最後に)

 打撃の資質には面白いものがあると見ていたが、フォームを分析すると課題も少なくなかった。守備・走塁の不安もあることから、プロ志望届を提出しても、育成枠で指名があるかどうか? それも覚悟で志望届を出すのもありだと思うが、
高いレベルで木製バットでやれることを示してからでもプロ入りは遅くないかもしれない。いずれにしても、全国でも指折りの強打者だっただけに、今後も追いかけて、その成長を見守りたい。


(2024年夏 東東京大会)