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龍山 暖(エナジックスポーツ3年) 捕手 172/76 右/右
 




 「今年一番好みの捕手」





 テンポの良いボールまわし、機敏に反応できるフットワーク、地肩の強さ、それでいて雑なところが観られないプレースタイルと、今年みた捕手の中でも、高校から社会人まで含めても、個人的には一番好みの捕手と言えるのが、この 龍山 暖 だった。


(ディフェンス面)

 
高校球界屈指といえる地肩の強さがあり、二塁ベースの前でも垂れない確かな球筋は本物だと言える。投手にミットを示しつつ、けして地面に下げるようなクセもない。そのため、打球にも素早く反応できる。また、際どいコースでのキャッチングもまずまずで、捕球でも投手への返球に至るまで雑なところが観られない。それでいて、しっかり周りにも指示が出せる、司令塔らしい司令塔といった役割も果たしている。ことディフェンス力に関しては、高校球界でもトップクラスと評価して間違いないだろう。





(打撃内容)

 春の沖縄大会を制し、夏も決勝まで勝ち上がった同校で4番を務めていた。けして長打で魅了するタイプではなかったが、
5試合で打率.375厘を記録。スイングの弧も大きく思いっきりがよく、右に左にもセンターにも、きっちり打ち返すことができる。

<構え> ☆☆☆★ 3.5

 両足を揃えて、前の足のカカトを浮かせて立ちます。グリップは高めに捕手側に引いて添えられており、
腰の据わり具合や両眼で前を見据えるはいいです。全体のバランスとしてはそれなりといった感じで、バットを引いて構えている割には、力みはあまり感じられません。

<仕掛け> 平均的

 投手の重心が下がりきったあたりで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。この仕掛けは、ある程度の確実性と長打力を兼ね備えた中距離ヒッターや勝負強さを売りにするポイントゲッターに多くみられる始動のタイミングです。

<足の運び> 
☆☆☆ 3.0

 足をあまり引き上げず回し込んで、真っ直ぐに踏み出してきます。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でもさばきたいタイプかと。

 踏み込んだ前の足が、
インパクトの際に多少動いてしまっています。そういった意味では、逃げてゆく球や低めの球には強く無さそう。それでも甘めの外角球や高めの球ならば、ある程度対応できることはできそうです。

<リストワーク> 
☆☆☆★ 3.5

 あらかじめトップに近い位置にグリップを添えているので、速い球に立ち遅れる心配は薄い。ただし、トップ自体はしっかり作れるタイプではないので、タイミングをとるのはあまり上手くないのかもしれない。

 バットの振り出しは、可も不可もない感じ。それでもインパクトの際には、バットの先端であるヘッドは下がっていないので、広い面でボールを捉えてフェアゾーンに飛びやすい。
スイングの前が大きく、力強く振り抜けている。

 それほど打球に角度を付けて飛ばすタイプではないものの、スイングにひ弱さもないし、
打球はどの方向にもはじき返すことができていた。

<軸> 
☆☆☆ 3.0

 足の上げ下げは大きくないので、目線の上下動は激しくはない。体の開きが少し我慢しきれていないので、振り終わったあと軸足が前に傾くなど打撃の安定感という意味ではどうだろうか? 体が突っ込まないように、日頃から注意したい。それでも軸足の内モモの筋肉は適度に発達しており、強い打球を生み出すことはできていた。

(打撃のまとめ)

 タイミングの取り方にはもう少し工夫が欲しいものの、内角の球に対しても、ある程度とっさに脇を閉じてスイングできている。現状は、それほどさばける範囲が広いとは言えないだけに、踏み込んだ足元がしっかり止まって来ると、甘い球を打ち損じるケースも減ってきそうだ。打撃に関しては、
捕手としてならばドラフト候補として許容範囲と言えるのではないのだろうか。


(最後に)

 高校NO.1と呼ばれる 箱山 遥人(健大高崎)や、名門で4番を任されていた 椎木 卿五(横浜)あたりと比べると、打撃でのインパクトでは劣る印象がある。それだけに、ドラフト順位的には彼らより劣る可能性が考えられる。しかし、捕手としての適性や地肩の強さなど、
ディフェンス面での資質では上を行っており、将来的には彼らを上回るような選手に育っても不思議ではないだろう。プロ志望届を提出すれば、本会議中に指名されるのではないのだろうか。個人的には、今年の捕手の中では、オススメ の選手としてあげたい。


蔵の評価:
☆☆ (中位指名級)


(2024年夏 沖縄大会)