24ky-21


 




花田 悠月(智弁和歌山3年)三塁 177/79 右/右 
 




 「もう少し迫力が欲しい」





 選抜出場予定校との練習試合に、3打席連続ホームランを放って、一躍話題になった 花田 悠月 。私自身よく知らない選手だったので、ぜひ生で見てみたいと思っていた。率直な感想としては、良い選手なのだけれども、もう少し凄みみたいなものが欲しいかなという印象を受けた。


(守備・走塁面)

 残念ながら、一塁までのタイムは計測する機会がなかった。ただし、チームの4番を担う選手でもあり、走力を売りにする、そういったタイプではないように見える。けして動きの悪い選手ではないが、盗塁を絡めて来るといった選手では無さそうだ。

 むしろ目をひいたのが、三塁手としての動きの良さ。フットワーク・打球への反応、守備範囲などもまずまず広く、
地肩も基準以上。高校生サードとしては、かなり上手い部類ではないのだろうか。こと、アピールために三塁をやっているという選手では、けしてない。





(打撃内容)

 近畿大会では、第二打席に高めに浮いた球を逃さずレフト前に打ち返していた。第四打席にも、サードに強い当たりを打っており、内容は悪くなかった。ただし、三打席連続ホーマーを放ったとか、そういった長距離打者という感じは、この試合を観る限りしなかった。パワフルな打撃をし、
勝負強さを売りにするポイントゲッターに見えたのだが。

<構え> 
☆☆☆★ 3.5

 前の足を引いてカカトを浮かし、グリップを高めに添えた強打者スタイル。背筋を伸ばしつつ、両眼で前を見据える姿勢や全体のバランスとしても悪くなかった。ただし、体格が中背のせいなのか? そこまで強打者としての威圧感や迫力みたいなものまでは感じられず。

<仕掛け> 平均的

 投手の重心が沈みきったあたりで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。この仕掛けは、ある程度の長打力と確実性を兼ね備えた中距離打者や、勝負強さを売りにするポイントゲッターに多くみられる始動のタイミングです。

<足の運び> 
☆☆☆★ 3.5

 足を上げて、少しベースから離れた方向に踏み出すアウトステップを採用。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でも、スピードの変化にはそれなりに対応できそうお。アウトステップ気味なので、やや内角への意識の方が強そうです。

 踏み込んだ前の足は、
インパクトの際に動かず止まっています。そのため、アウトステップでも甘めの外角球や低めの球にも食らいついて行けそうです。腰の開きも早くなく、見ている感じでは右方向への打撃も苦にはしないように見えました。

<リストワーク> 
☆☆☆☆ 4.0

 打撃の準備である「トップ」の形は早めに作れており、速い球に立ち遅れる心配は無さそうです。バットの振り出しは、けしてインサイドアウトで出てくるわけではないものの、外の球に対しては、ロスなくインパクトできていました。

 インパクトの際にも、バットの先端であるヘッドが下がらないので、広い面でボールを捉えれます。それだけ、フェアゾーンにボールが飛びやすいタイプ。その分、ボールに角度を付けてとかいう感じではありません。スイングの弧の大きさもそれほどではなく、フォロースルーを使ってボールを遠くに運ぶというよりも、きっちり最後まで振り抜いてゆくタイプでした。

<軸> 
☆☆☆☆ 4.0

 足の上げ下げが小さく、目
線の上下動が少ないところが良いところ。体の開きも我慢でき、軸足も地面から真っ直ぐ伸びて安定しています。したがって、調子の波も少ないタイプなのかもと。また、内モモの筋肉は発達しており、強烈な打球を生み出す原動力になっています。

(打撃のまとめ)

 ボールを捉えるのに、特別まものは感じませんでした。ただし、技術的には高く、むしろ
完成度が高いスイングをしている印象。また、ボールを飛ばすといった意味でも、今回みた感じでは、そこまでスラッガーではないのでは?という印象は受けました。


(最後に)

 
サードがしっかり守れる右の強打者といった意味では、需要の高そうな選手ではあります。しかし、思ったほど飛ばし屋といった感じはしなく、求められる長打力がそこまであるのかには疑問が残ります。指名して混ぜてみても、そこそこやれるかもしれませんが、プロでレギュラーを取れるほどの存在感を示せるかは半信半疑。

 夏まで追いかけて見極めてみたいと思いますが、今のところ有力大学などに進んでからなのかな?という印象を受けました。しかし、プロ側の反応や本人がプロ志向なのかも含めて、もう少しみてみたいところです。


蔵の評価:
追跡級!


(2024年 春季近畿大会)