24ky-20
岩井 天史(滋賀学園3年)遊撃 184/71 右/左 | |
今年は、高校生遊撃手の人材が豊富である。そんな中、捕球までの動きが一番上手いのは、この 岩井 天史 ではないかと思っている。一体、どのような選手なのか考えてみたい。 走塁面:☆☆☆ 3.0 一塁までの到達タイムは、近畿大会で計測したときには 4.35秒前後とドラフト候補としてはかなり遅いタイム。しかし、ベースラニングでは加速し、持っている走力はかなり高いのではないかと評判だ。野球に必要な実戦的な走塁ができるかは微妙なものの、持っている走力は想像以上なのかもしれない。 守備面;☆☆☆☆ 4.0 地面にミットを付けて、重心を深く沈めてボールを捕球しようとします。まるで、ミットにボールが吸い込まれてゆくような吸引力があり、それでいて大型でも動きの良さが目をひきます。地肩も水準以上はありそうですが、少し送球が乱れる場面を何度かみました。そういった意味では、送球の精度が一つ今後の鍵を握るものと思われます。そのへんがさらに良くなってきそうだと、プロでも守備を売りにして行ける、そういった選手になりうるのかもしれません。 (打撃内容) 観戦した試合では、第一打席に初球の真っ直ぐをきっちり叩くなど、能力と振り出しの良さを印象づけました。結果は、第一打席のレフト前ヒット一本で、その後の打席では 三振・レフトフライ・ショートゴロでした。しかし、その内容や振り自体は悪くなく、打撃もドラフトで本会議されるだけの水準を満たすものがあるのではないかとみます。 <構え> ☆☆☆☆ 4.0 前の足を引いて、カカトを浮かせて構えます。グリップを高めに添えた強打者スタイルで、背筋をしっかり伸ばしつつ、両眼で前を見据える姿勢や全体のバランスにも優れています。 <仕掛け> 遅め 投手の重心が下る時に、引いていた足を前に大きく踏み出してつま先立ちします。そこからは、浮かせていたカカトを踏み込むだけで、足の引き上げが見られない珍しい打撃フォームです。実際カカトをみて、タイミングをどのへんで図っているのか見てみると、どうも「遅めの仕掛け」ぐらいに見えます。ボールをできるだけ引き付けてから動き出すタイミングで、長距離打者や生粋の二番打者タイプに多くみられる始動だと考えられます。 <足の運び> ☆☆☆★ 3.5 カカトの上げ下げだけで、真っ直ぐ踏み出してきています。始動~着地までの「間」は短く、あらかじめ狙い球を絞り、その球を逃さないことが求められます。ただし、第一打席の初球から鋭く振り出せるように、そういったスタイルは彼には合っているのかもしれません。 真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でもさばきたいタイプか。そして、踏み込んだ前の足はしっかり止まっているので、逃げてゆく球や低めの球にも食らいつくことができそうです。レフト方向にも、強くはじき返すことができていました。 <リストワーク> ☆☆☆☆ 4.0 打撃の準備である「トップ」の形は早めに作れており、速い球に立ち遅れる心配はありません。バットの振り出しも、けしてインサイド・アウトではありません。それでも、外の球を捉えるまでにはロスは感じられませんし、バットの先端であるヘッドも下がらないので、フェアゾーンにボールが飛びやすそう。ヘッドスピードも適度に鋭く、スイングにひ弱さや脆さは感じませんでした。 <軸> ☆☆☆☆ 4.0 足の上げ下げがないので、目線の上下動は小さい。体の開きも我慢でき、軸足も地面から真っ直ぐ伸びて安定している。それだけ、調子の波も少ないのではないのでしょうか。また、軸足の内モモも適度に発達しており、鋭い打球を生み出す原動力になっている。 (打撃のまとめ) それほどボールに角度を付けて飛ばすタイプではないものの、甘い球を逃さず鋭く打ち返せる選手です。かなり特殊なメカニズムではあるものの、それが大きな欠点になっていないのは好感です。打撃が非凡というほどのものは感じませんでしたが、本会議でかかるぐらいのレベルにはありそうです。 (最後に) いろいろ今年見てきた高校生遊撃手の中でも、キャッチングに関しては一番好感が持てます。送球にまだ不安な部分は残りますが、地肩・走力も水準以上。打撃も、思った以上に良かったです。そういったことを考えると、ドラフトでも3位前後の指名があっても不思議ではないように感じました。スカウトの好みにも左右されそうですが、西日本ではNO.1ショートではないかと春の時点では評価したいです。 蔵の評価:☆☆☆ (上位指名級) (2024年 春季近畿大会) |