24ky-14





只石 貫太(広陵3年)捕手 178/78 右/右
 




 「打撃は想像以上にスケール型」





 旧チームから攻守で目立っていた 只石 貫太 。ただ、ポテンシャルで圧倒するというよりもセンスに優れたタイプというイメージだったので、正直高校から直にプロ入りする感じに乏しかった下級生時代。しかし一冬越えて、懐の深い構えには、打者としてのスケールを感じさせる素材となってきた。「打てる捕手」として、高校から指名がありそうなのか考えてみた。


(ディフェンス面)

 体を小さく屈め、投手に的を大きく魅せることを意識できている。周りにもしっかり意志が伝えられ、細やかさとリーダー湿布も感じさせる。ただし、少しミット下げる癖があるので、
ワンバウンド処理などに対しては、ミットを出すのがワンテンポ遅れたりして、まだまだそういった部分を残し、キャッチングに関しては学ばないと行けないことも少なくない印象。

 スローイングは、1.9秒台~2秒台と
ドラフト候補としては平凡。また送球の精度・ボールの強さなども、そこまで好いわけではない捕手的適正があり周りにも意識が行く点は評価できる一方で、高校からプロに指名されるほどの、圧倒的な送球能力がないところをどう見るかで意見が別れそうだ。





(打撃内容)

 タレント揃いの広陵の中でも、捕手ながら4番を任せられる攻守の要。しかしセンバツでは、7打数1安打と
確実性に課題を残す形となった。

<構え> 
☆☆☆★ 3.5

 ほぼ両足を揃えたスクエアスタンスで、前の足のカカトを浮かせて構えます。腰の据わり具合、全体のバランスもそれなりで、特に
両眼で前を見据える姿勢は好い。また、懐深く構えることができ打席での雰囲気は持っている。

<仕掛け> 遅すぎ

 一度ベース側につま先立ちしてから、本格的に動き出すのはリリーフ直前という「遅すぎる仕掛け」を採用。ここまで遅い段階での始動となると、日本人の筋力やヘッドスピードを考えると、プロレベルのスピードやキレに対応するのは厳しくなる。

<足の運び> 
☆☆☆ 3.0

 小さく足を浮かし、ベースから軽くアウトステップしてきます。始動~着地までの「間」は短く、狙い球を絞りその球を逃さないことがもとめられます。アウトステップ気味なので、内角への意識が少し強そうです。

 どうしても引っ張る意識が強いのか? 踏み込んだ足元は、早く地面から離れやすい。そのため、
逃げて行く球や低めの球への対応が課題となる。上手く巻き込めたときに、長打を発揮しそうだ。

<リストワーク> 
☆☆☆★ 3.5

 早めに打撃の準備である「トップ」を作ることができ、始動の遅さを補おうとしている。バットの振り出しも、しっかり
肘をたたんでスイングできるので、内角の振り抜きも悪くない。特にそういった意味では、スイング軌道にロスは感じられない。またスイングの弧が大きく、フォロースルーも利かせられるので、しっかり捉えた時の打球は遠くに飛ばすことができるはず。

<軸> 
☆☆☆ 3.0

 足の上げ下げが小さいので、目線の上下動はそれなり。ただし、引っ張り重視なので、
開きは充分には我慢できていない。軸足の形もやや不安定なので、調子の波は激しいタイプなのかもしれない。

(打撃のまとめ)

 捉えた時の破壊力はあるものの、対応力・確実性に課題があるように感じられる。そういった部分を改善して行くのに、少し時間はかかりそうだ。


(最後に)

 選抜で注目を浴びた 箱山 遥人(健大高崎)捕手あたりと比べると、長打力などの破壊力は只石が。対応力や確実性という意味では、箱山に分があるように思えた。また、細かいところまで意識が行くなど捕手としての適性は只石の方が高そうに感じられたが、箱山の方がプロ受けしやすい肩や送球の良さがあるように思える。

 どちらが高校からプロに指名されそうかと言われれば箱山の方だと思うが、長い眼で捕手として大成するのは只石の方かもしれない。特に「長打も打てる捕手」という魅力もある。大学や社会人でワンクッション置くことになるかもしれないが、少し長い眼で見守って行きたい。


(2024年 選抜大会)