24ky-12





片井 海斗(二松学舎大付3年)三塁 175/85 右/右 





 「永見に翻弄されていたけれど」





 1年生ながら、甲子園でホームランを放って見せた 片井 海斗 。関東を代表する強打者として期待された春季大会、好投手・永見光太郎(東京高)の前に、2三振をきするなど結果を残せないまま春季大会を終えてしまった。

走塁面:
☆☆ 2.0

 
選抜ときに計測したときは、一塁までのタイムが右打席から 4.85秒前後(左打者換算で4.6秒前後)と極めて遅いタイムだった。ただし、実際生で見てみると、そこまで重苦しい選手には見えなかった。そのため、もっと速いタイムでの駆け抜けも期待できるのではないのだろうか。

守備面:
☆☆☆ 3.0

 昨年も、一塁としての打球の反応・グラブさばきなどは良かった。今春ではサードをこなしていたが、同様に打球のへの反応は悪くなく、守備範囲自体は狭くない。キャッチング等よりも、むしろ長い距離を投げるスローイングが少し危なっかしく見えたが、もう少し夏に向けて見極めてみたい。


(打撃内容)

 ガッチリした体格で、パワフルな打撃をする選手。腕っぷしが強く、
スラッガーというよりも勝負強さを売りにするポイントゲッタータイプかもしれない。

<構え> 
☆☆☆☆ 4.0

 両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップは比較的高めに添えた強打者スタイル。腰の据わり具合・両眼での前を見据える姿勢や全体のバランスなど、昨年よりも窮屈さは感じない構えになってきている。

<仕掛け> 早め

 追い込まれるまでは、投手の重心が下る段階で動き出す「早めの仕掛け」を採用。この仕掛けは、対応力を重視したアベレージヒッターに多くみられる始動のタイミングです。追い込まれると、一度ベース側につま先立ちしてリリース直前に小さくステップする「遅すぎる仕掛け」に切り替えてきます。

<足の運び> 
☆☆☆ 3.0

 足を軽く上げて、ベースから離れ方向に踏み出すアウトステップを採用。始動~着地までの「間」は取れていて、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応。アウトステップするように、内角への意識が高いように思えます。

 その一方で、踏み込んだ
足元がインパクトの際に動きがち。そのため逃げて行く球や低めの球に対しては、開きが我慢できずに討ち取られてしまうケースが目立ちます。永見との対戦でも、外角のスライダーに腰が砕けてしまっていました。

<リストワーク> 
☆☆☆★ 3.5

 打撃の準備である「トップ」の形は早めに作れており、速い球に立ち遅れない形ができています。内角の球に対しては、
肘を上手くたたんでさばけています。外角の球に対しても、ヘッドは下がらずにインパクトまでロスは感じられないものの、腰が早く開く分、上手く捉えられない時があるように感じました。

 フォロースルーをする使ってボールを運ぶ感じではないが、大きな弧を描いて、力強く最後まで振れる選手ではあります。

<軸> 
☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げは小さいので、目線の上下動はそれなり。体の開きが我慢しきれない課題はありますが、軸足を起点に回転できています。
軸足の内モモの筋肉も発達しており、強烈な打球を生み出す原動力になっています。

(打撃のまとめ)

 スイング軌道には癖はなく、内角をさばくのも上手そう。その一方で、
開きが早いぶん、逃げて行く球や低めの球への対応が夏までに改善されるかが鍵になる。


(最後に)

 打席に入る時には、ラインを踏まないようにするなど、強打者にしては結構繊細なんだなと思いました。また、打席に入る時の足場を馴らしなどをみると淡白で、打撃へのこだわりは思ったよりも薄い印象を受けました。動きは悪い選手ですし、野球への意識も低くは感じませんでしたが、それじゃプロで守備なり長打力でアピールできるほどかと言われると微妙な印象を受けます。関東を代表する強打者の一人だと思いますが、高校からのプロ入りとなると微妙です。夏の大会で、もう一度確認して、最終的な評価を下したいところです。


蔵の評価:
追跡級!


(2024年 春季東京大会)


 








片井 海斗(二松学舎大付2年)一塁 175/97 右/右 





 「バッティングは非凡」





 1年夏の甲子園で本塁打を放つなど、下級生から存在感を示してきた 片井 海斗 。打つことに関しては、世代でもトップクラスの強打者だと評価できよう。


(守備・走塁面)

 選抜ときに計測したときは、一塁までのタイムが右打席から 4.85秒前後(左打者換算で4.6秒前後)と
極めて遅かった。もう少し速く走れるのかもしれないが、基本的に走力に関しては期待できない。

 しかし、
一塁手としての反応・グラブさばき・守備範囲などは悪くないように思える。地肩も悪く無さそうに見えたが、新チームでも一塁を守っていたようだ。鍛えようによっては、サードあたり担えるかもと思える部分はある。ただし、走力が無いので、外野手向きではないのだろう。


(打撃内容)

 1年夏の甲子園では、10打数3安打。2年春の選抜では、4打数1安打だった。夏の大会で確認できなかったが、秋の大会では毎試合のようにヒットを打っており、その強打者ぶりは健在のようだ。今回は、選抜時のフォームを元に、考察してみたい(秋も映像を見る限り、あまり変わっていなそうだったが)。

<構え> 
☆☆☆★ 3.5

 軽くクローズ気味に立ち、グリップは平均的な高さに添えている。腰の据わり具合、両眼での前の見据える方、全体のバランスと、それなりといった感じがする。ただし、少し強打者にしては、
窮屈そうに見えるのが気になる部分だろうか。

<仕掛け> 平均

 投手の重心が沈みきった底のあたりで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。この仕掛けは、ある程度の確実性と長打力を兼ね備えた、中距離打者や勝負強さを売りにするポイントゲッターに多くみられる始動のタイミングです。

<足の運び> 
☆☆☆ 3.0

 足を軽く上げて、ベースから少し離れたアウトステップを採用します。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応。アウトステップするように、内角への意識が高そう。実際に当たりを観ていても、基本的に
引っ張って巻き込む打撃を好む傾向にある。

 踏み込んだ前の足は、
地面から早めに離れてしまう。そのため、逃げてゆく球や低めの球に対しては、開きが我慢できず苦手としているのではないのだろうか。

<リストワーク> 
☆☆☆★ 3.5

 打撃の準備である「トップ」の形は自然体で、力みなくボールを呼び込めている。あとは、バットを引くのが遅れないように注意したい。バットの振り出し自体は、インパクトまで大きなロスは感じない。インパクトの際にもヘッドは下がらず、広い面でボールを捉えられフェアゾーンに飛びやすい。

 大きな孤を描いてしっかり振り抜いて来るタイプだが、基本的にそれほど打球に角度を付けて飛ばすとか、フォロースルーを使って遠くに運ぶといったタイプではないように思える。そのため、
うまく巻き込めた時に本塁打が生まれやすいといったタイプではないのだろうか。

<軸> 
☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げ小さいので、目線の上下動は小さめ。体の開きが充分我慢できていないのは気になるが、
軸足は地面から真っ直ぐ伸びて安定しており、内ももの筋肉も強く発達している。そのため、強烈な打球を放つことができるのだろう。

(打撃のまとめ)

 高校生離れたパワーがありながら、スイング軌道などに癖はありません。ただし、引っ張りへの意識が強い打者なので、今後センターから右方向への打撃も意識した、幅を持たすことができるのか? もしそうでなければ、パワーで圧倒しきるかのいずれかではないのでしょうか。


(最後に)

 持っている打撃の資質は、高校球界でもトップクラスだと思います。しかし、守備位置や走力の関係を考えると、よほど突き抜けないと高校からのプロ入りは厳しいタイプかもしれません。その辺を何処まで突出した存在になりうるのか? 今後も見極めて行きたい1人です。


(2023年春 選抜大会)