24ky-11





吉村 航希(小林秀峰2年)右翼 178/86 右/左
 




「どうなのだろう?」





 宮崎で話題になっている 吉村 航希 という選手の、夏の大会の模様を2試合確認してみた。しかし、正直まだよくわらない部分も多く、なんとも評価が難しそうな選手だなといった気がする。パワフルな打撃をする、左の強打者である。


(守備・走塁面)

 一塁までの塁間は、ちょっと画面の切り替えの関係でハッキリとはわからなかった。あくまでも推定ではあるが、ボテボテのピッチャーゴロながら、左打席から 4.05秒前後で走り抜けていたのではないのだろうか。
どん詰まのた当たりで、一塁まで全力で駆け抜けようとする選手は珍しく、さらに思いのほか速いのに驚いた。ガッチリとした体型ではあるが、結構動ける選手だという印象は受ける。

 ライトライナーを後逸してしまう場面が観られたように、打球への判断・落下点までの入りなどはどうなのだろう? という疑問は守備に関しては残った。投手としてもマウンドに上がるときもあるのだというが、地肩・送球に関してはドラフト候補としては平均レベルぐらいではないのだろうか。

 正直まだハッキリ掴めていないのだが、走力はプロの基準レベル。地肩もそんな感じだが、ライトの守備にはやや不安が残りそうといったところだろうか? このへんも下級生であったことを考えれば、最終学年で改善されてきても不思議ではない。



(打撃内容)

 
夏の大会の2試合では、4本のヒットを確認できた。特に、左中間を抜けてゆく長打が印象的だった。

<構え> 
☆☆☆★ 3.5

 前の足を軽く引いて、グリップの高さは平均的で捕手側に引いて添えられている。腰はあまり据わらず全体にどっしり感は思ったほどないが、両眼で前を見据える姿勢はまずまずで、
アゴをグッと引いて打席での集中力の高さが感じられる。

<仕掛け> 遅め

 投手の重心が沈み込んでから、前に移動する段階で動き出す「遅めの仕掛け」を採用。この仕掛けは、ボールできるだけ引き付けてから動き出すので、生粋のニ番打者か長距離打者に多くみられる始動のタイミングです。彼の場合は、やはり後者の部類なのだろう。

<足の運び> 
☆☆☆★ 3.5

 足を軽く上げて、少しベース側に踏み込んでくる。始動~着地までの「間」が短く、より狙い球を絞って、その球を逃さない「鋭さ」が求められる。ベース側に踏み込むように、外角への意識が強そうだ。

 踏み込んだ前の足は、インパクトの際に
ブレずに我慢。そのため、逃げてゆく球や低めの球にも喰らいついて行けるのではないのだろうか。どちらかというと、強引な巻き込みよりも、レフト方向に強い打球を飛ばすタイプであるように思える。

<リストワーク> 
☆☆☆☆ 4.0

 打撃の準備である「トップ」に関しては、あらかじめグリップを引いて構えているので、そこから振り出してくる感じ。したがって始動は遅くても、速い球に立ち遅れ難いと考えられる。バットの振り出しは、けしてインサイド・アウトではないものの、外の球にはロスなくインパクトまで持っていっていられる。

 バットの先端であるヘッドが下がらず、大きな孤で振り出して、最後まで力強く振り抜いてくる。

<軸> 
☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げは小さいので、目線の上下動は大きくはない。体の開きも我慢できているのだが、ステップが狭めで早めに地面を捉えてしまうので、後ろ足に充分体重を預けることができず、
「間」を使うとか後ろの足が遊んでしまっているのは残念な感じがする。

(打撃のまとめ)

 スイング軌道にも癖はありませんし、踏み込んだ足元もしっかり止まっています。ただし、始動が遅い上に、上げた足が地面を捉えるのが早く、「間」がうまく取れていないこと。上げた足が早く地面を捉えてしまうんどえ、手打ちになりやすいことなどで、どうしても打撃の幅が狭いように感じられます。こういった部分をいかに、広げて行けるかではないのでしょうか。


(最後に)

 見た目の体格以上に動ける身体能力の持ち主で、走塁への意欲も想像以上でした。そういった野球に向き合う姿勢は悪く無さそうで、打席に入る時に
足場の作り方などを観ていても、強いこだわりが感じられます。そういった方向性で打撃を深く探求して行ければ、まだまだ最終学年に伸びて行けるのではないのでしょうか。期待して、最終学年の活躍を見守りたいところです。


(2023年夏 宮崎大会)