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津嘉山 憲志郎(神戸国際大付2年) 投手 178/92 右/右
 




「だいぶ実戦的になってきた」





 1年生の頃は、力で押してくる力投派のイメージが強かった 津嘉山 憲志郎 。今は、じっくりボールを持つなど、実戦的な投球もできるようになってきた。最終学年で、何処まで伸びて来られるのか楽しみな1人である。


(投球内容)

 2年夏の大会では、
4試合 30回2/3 29安 5四死 33三 防 0.88 。チームは、兵庫大会の準決勝で敗れている。

ストレート 常時130キロ台後半~140キロ台中盤ぐらい 
☆☆☆★ 3.5

 適度にボールの勢いと球威を感じさせる球を投げ、真っ直ぐの威力は悪く有りません。ただし、30回2/3イニングで29安打と、ボールの威力の割に被安打は多め。これは、ボールが見やすく合わせやすいなどの原因があるのだろうか?

 大まかに両サイドに散らす感じで、30回2/3イニングで5四死球と、四死球率は 16.3% と低い。少なくても今は、
四死球で自滅するような危うさは感じられない

変化球 スライダー・カーブ・フォークなど 
☆☆☆ 3.0

 スライダーでカウントを整えて来るが、この球が結構縦成分の多いスライダー。それにさらに緩いカーブやフォークのような球もある。特に縦の変化は、落差としてはもう一つ。また、打者が振ってくれないなど、発展途上の部分を残している。それでも奪三振は、投球回数を上回っている。

その他

 牽制は適度に鋭く、クィックは、1.15~1.25ぐらいと若干遅め。フィールディングの動きは平均的で、走者を背負ってからは、
ボールを長く持って、走者や打者を焦らせてくる。今は、かなりそういった投球術もうまくなってきていた。

(投球のまとめ)

 昨夏出てきたときよりも、
落ち着いて投球できていたのに驚きました。真っ直ぐの威力だけでなく、縦に切れ込むスライダーにも威力があり、今後縦の変化にも磨きがかかると面白そう。特に、制球に不安がないところも魅力的ではないのでしょうか。




(投球フォーム)

 
試合中に、ワインドアップで振りかぶったり、ノーワインドアップにしたりと、状態によって使い分けているようです。足を引き上げる勢いはそれなりで、かなり高い位置まで引き上げてエネルギーを捻出してきます。軸足一本で立ったときには、膝はピンと伸びがちですが、バランスは適度に保って立てています。

<広がる可能性> 
☆☆☆ 3.0

 引き上げた足を地面に向けて伸ばすので、お尻の一塁側への落としは甘くなります。カーブやフォークといった球種を投げられないことはありませんが、変化が鈍くなりやすいかと。

 「着地」までの地面の捉えはそこそこといった感じで、体を捻り出す時間はそれなり。そのため、変化球自体のキレは悪くないものの、武器にするほどの曲がりの大きな変化球を習得できるかは微妙です。

<ボールの支配> 
☆☆☆★ 3.5

 グラブは最後まで内に抱えられており、外に逃げようとする遠心力は内に留めることはできています。したがって軸はブレ難く、両サイドへのコントロールはつけやすいかと。足の甲での地面の捉えは浅いので、力を入れて投げるとボールが上吊りやすい。しかし、「球持ち」は比較的前で放せているので、指先まで力が伝えられてボールを制御することができているようにも見えます。

<故障のリスク> 
☆☆☆★ 3.5

 お尻の落としに甘さは残すものの、極端でもないし、それほどカーブやフォークの頻度が多すぎることはありません。今後、そういった球を使う頻度が増えるときには、肘などのケアには注意したいところ。

 腕の送り出しもそこまで無理は感じられないので、肩への負担もそこまで感じません。現在はそれほど力投派でも無くなっているので、疲労も溜めやすいということもないのではないのでしょうか。

<実戦的な術> 
☆☆☆★ 3.5

 「着地」までの粘りはそれなりで、ボールの出処もそこそこ。そういった意味では、タイミングが取り難いフォームではないので、打者としては球威・球速ほどは苦にしていない可能性はあります。

 腕も体に絡みついてくるような粘っこさはないものの、ボールにはある程度体重を乗せてからリリースできています。そのため、打者の手元までの球威・勢いは悪くないようには見えます。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、
「着地」と「開き」にもう少し粘りが出てくると、もっと良くなるように思えます。制球を司る動作は、足の甲が浅い割にはそこまでボールが上吊らない。故障のリスクもそこまで感じないですし、馬力があって体が強そうなのでタフな活躍が期待できるかもしれません。変化球全般のキレは悪くないと思いますが、武器になるほどの球を見出だせるのかが、今後の鍵ではないのでしょうか。


(最後に)

 実際の投球では、この一年で驚くほど実戦的になってきました。この辺の、力と技のバランスが取れてきたので、それがさらに、一冬越えてスケールアップできると面白いと思います。高校からプロにゆくかはわかりませんが、有力な候補の1人になって来られそうです。


(2023年夏 兵庫大会)