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清水 大暉(前橋商2年)投手 190/82 右/右 





「全国屈指の素材」





 2024年度の高校生の中でも、その素材としてのスペックの高さは、全国NO.1ではないかと思われる 清水 大暉 。今後の成長次第では、最上位でのプロ入りも夢ではない素材だとみた。


(投球内容)

 大型だが、けしてひ弱な印象は受けない。ただし、全国デビューとなった2年夏の甲子園では、2/3イニングで3安打・2四死球・1失点とほろ苦い内容だった。

ストレート 140キロ前後~140キロ台後半 
☆☆☆★ 3.5

 ズシッと球威を感じさせる真っ直ぐで、角度も感じさせる
良い球を投げ込んでくる。それほど空振りを誘えるような伸びは感じないが、高めの真っすぐには勢いがあるので、思わずバットが吊られて出てしまったり、ズバッと投げ込まれて打者は手が出ない。大まかに両サイドに投げ分けられるコントロールもあるが、全体的に高めに集まることが多い。

変化球 カーブ・スプリット・スライダーなど 
☆☆★ 2.5

 緩いカーブでカウントを整えてくるので、この球がしっかり曲がり切ってストライクが取れるかが生命線。スライダーもあるようだが、カウントを稼ぐというよりも、ボールゾーンに切れ込ませて空振りを誘う球であり、楽にカウントを整えられる球がカーブしかないのは辛い。今後は、スライダーでが難しいならば、カットボールなど小さな変化でストライクを取れるようにしないと苦しいだろう。他にも角度を活かしたスプリットがあり、この球の精度が上がってくると投球の幅も大いに広がってきそうだ。

その他

 
クィックは、あえてあまり使わないのか? 1.3~1.4秒ぐらいで投げ込んでくることが多い。牽制やフィールディングに関しては、平均的。まだ細かい出し入れや、「間」を使ってじっくりといった投球術は観られない。

(投球のまとめ)

 まだまだ細かい部分を言えば
発展途上の投手であり、隙ない投球ではない。それでも、持っているスペックが非常に高く、特にストレートを打ち返されるケースも少ないので、その点は明るい材料。それも荒れ荒れといったほど制球にバラツキが観られるわけではないので、今後いかに細部のレベルを引き上げて来られるかだろう。





(投球フォーム)

 今度は、フォームの観点から将来像を考えてみたい。セットポジションから足を引き上げる勢いはそれなりにあり、高い位置まで足を引き上げてくる。軸足一本で立った時にも、それほど膝がピンと伸び切ることはない。また、全体的にもバランス良く立てていた。

<広がる可能性> 
☆☆★ 2.5

 引き上げた足を地面に向けて伸ばしているので、お尻の一塁側への落としは甘くなる。したがって身体を捻り出すスペースは充分ではないので、カーブやフォークなどを投げられないことはないが、曲がりが鈍くなりやすい。

 「着地」までの地面の捉えも平均的で、身体を捻り出す時間は並ぐらい。そのため、大きな曲がりの変化球よりも、球速のある小さな変化を中心に、投球の幅を広げてゆくことになるのではないのだろうか。

<ボールの支配> 
☆☆☆ 3.0

 グラブは体の近くに抱えられているが、最後は後ろに流れがち。それでも外に逃げようとする遠心力を内に留めることができているので軸がブレ難く、両サイドへのコントロールはつけやすいのでは。

 
足の甲での地面の捉えが浅いので、まだ浮き上がろうとする力が充分抑えられていない。したがってボールは上吊りやすく、リリースでもそこまでボールを押し込めていないのもあり、まだまだ低めに決まる機会も少ない。

<故障のリスク> 
☆☆ 2.0

 お尻の落としが甘い割に、結構カーブやスプリットなどを投げ込んでくるので、それなりに窮屈になって肘への負担などはありそうだ。さらに、ボールを持っている肩が上がり、グラブを持っている肩が下がるなど、
腕の送り出しにも負担は感じる。そういった意味では、肩への負担も少なく無さそうだ。現状はまだ体を活かしきれていないフォームなので、そこまで力投する機会は少ない。したがって、疲労は溜めやすいとは言えないだろう。

<実戦的な術> 
☆☆☆ 3.0

 「着地」までの粘りは平均的で、ボールの出処も並ぐらい。そのため、それほど打者が苦になるフォームではない。ただし、長身から投げ下ろす角度のある球筋なので、タイミングが合っても芯では捉え難い一面はあるように思える。

 腕はしっかり振れており、投げ終わったあと体に絡んでくる。そのため打者としては、勢いで吊られやすい。ボールも適度には体重を乗せてからリリースはできているが、さらにリリースを我慢してから投げ込めると、グッと前に乗るようなボールが投げられるようになるのではないのだろうか。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、特に悪いところはないが特別良いところも観られない。それだけまだ、今後の意識次第では良くなる余地が残されている。制球を司る動作は、
高め集まりやすい動作に課題。それ以上に、体への負担が大きく故障へのリスクが高いのは気になる。また、将来的に武器になるほどの変化球を習得できるかは微妙なだけに、フォーム的にはリスキーで伸び悩む可能性を秘めている。


(最後に)

 素材としての魅力は、全国でも屈指。しかしながら、投球はまだ発展途上の上、フォーム的には伸び悩む要素も少なくない。故に、どう導くのかは、本人の意識や指導者の力量にも左右されそう。その辺をくぐり抜けて才能を伸ばせた時には、
最上位でのプロ入りも意識できる素材だろう。群馬では、髙橋 光成(西武)以来の大器ではなかろうか。


(2023年秋 群馬大会)