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平嶋 桂知(大阪桐蔭3年)投手 187/86 右/両 | |
昨秋の神宮大会でみた時は、まだビシッとしておらず、大きな身体を持て余している感が強かった 平嶋 桂知 。しかしこの選抜では、見違えるほどに成長していて驚いた。 (投球内容) この選抜では、2試合 11回 6安 2四死 9三 防 1.64 といった内容でした。初戦では140キロ台後半を連発し、選抜に出場した投手の中では、頭一つ抜けた球速の持ち主でした。しかし、2戦目の登板となった報徳学園戦では、思ったほどギアが上がらなかった印象です。 ストレート 140キロ~MAX148キロ ☆☆☆★ 3.5 適度な球威と勢いを感じさせるボールで、立ち上がりからコンスタントに145キロを超えてきました。まだ全体的に細かい制球力は無いように感じましたが、両サイドには散らすことができています。本人も、ボールの強さという部分を重点的に取り組んできたようで、手元でのボールの強さは確実に向上。ボール一つ一つに、存在感が増してきました。秋は、何かボンヤリとした感じの、大型投手にありがちな物足りなさがありました。またボールの威力だけでなく、制球力も全体的に上がってきているように感じます。 変化球 スライダー・フォーク・ツーシームなど ☆☆☆★ 3.5 変化球も、カット・スライダー系でカウントを整えつつ、ツーシームやフォーク系の縦の変化も織り交ぜます。どの球もまだ絶対的な威力はないものの、変化球一つ一つの精度もキレも悪くありません。そういった部分が、単なる速球派や素材型とは一味違うように思います。 その他 クィックは、1.05秒ぐらいとまずまずで、1.1秒台であることも考えると、投げるタイミングを変えている可能性があります。牽制はよくわかりませんでしたが、走者への目配ぜはできていますし、フィールディングなどの動きも悪くありません。間合いが悪いと感じると、パッとマウンドを外せる、そういった嗅覚も持ち合わせています。 (投球のまとめ) 速球のレベルアップに加え、球筋が安定するようになってきて、変化球一つ一つも悪くありません。秋の寸評のときに、全体のレベルアップが求められると書いたのですが、そういったいろいろな部分が、レベルアップされていたことに好感が持てます。 (投球フォーム) 秋にもフォーム分析をしたが、その時と変わっているのかみてみたい。セットポジションから、足を引き上げる勢いは並も、適度な高さまで足は引き上げられ、秋よりも高くまで引き上げられていた。軸足一本で立ったときにも、膝から上がピンと伸び切ることなく、力みなく立てていたのは良いところ。この部分も、秋はピンと伸びており、力みが感じられていたのが改善されていた。 <広がる可能性> ☆☆☆ 3.0 引き上げた足を地面に向けて伸ばすので、お尻の一塁側への落としには甘さが感じられる。そのため、カーブやフォークといった捻り出すような球は投げられないことはないものの、その変化は鈍くなりやすい。それでも、昨秋よりは少しずつ良くなっているのではないのだろうか。 「着地」までの地面の捉えは平均的で、体を捻り出す時間は並ぐらい。そういった意味では、武器になるほどの大きな変化球を身につけられるかは微妙。そのため、球速のある小さな変化を中心に、投球の幅を広げて行くタイプかもしれない。 <ボールの支配> ☆☆☆★ 3.5 グラブは最後まで内に抱えられ、外に逃げようとする遠心力を内に留められている。したがって軸はブレ難く、両サイドへのコントロールはつけやすい。 足の甲での地面の捉えはまだ浅い部分があるものの、秋は膝小僧が付いてしまうほどだったので沈み込みが緩和されていた。そのためボールが上吊ったりすることはあるものの、以前ほど高めに抜ける球は減っているのでは。「球持ち」もまずまずで、指先まである程度力を伝えてリリースできている。 <故障のリスク> ☆☆☆ 3.0 お尻の落としに甘さはあるものの、それほどカーブやフォークの割合も多くないので、肘などへの負担はそこまで気にしなくても良さそう。腕の送り出しにも、そこまで無理は感じられるず肩への負担は少なそう。けして力投派でもないので、疲労を溜めやすいということも無さそうだ。 <実戦的な術> ☆☆☆★ 3.0 「着地」までの粘りは平均的で、ボールの出どころも並ぐらい。それほど、フォーム的には苦になるほどではない。それでも適度に腕は振れており、打者としては吊られやすい。ボールへの体重乗せ具合は平均的で、まだ前に充分に力を伝えきれているとは言い難い。以前は後ろに残っていたので、それに比べると改善され、打者の手元まで強い球が投げられるようになってきている。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、特に悪いところはないものの、まだまだ良くなる余地が残されている。制球を司る動作はそれなりで、故障のリスクも平均的。将来的に、どのような形で武器になる球を見出して行けるかではないのだろうか。まだ、自分に合った程よいステップ幅や、体重移動が見つけられていない感じがする。 (最後に) 昨秋から比べても、技術的にも努力の跡は感じられた。そのため少しずつではあるが、投球全体のレベルアップにもつながってきている。 特に彼を見て印象的だったのが、選抜での試合で、一塁手のすぐ後ろでベースカバー。逸れた送球を捕球すると、すかさず飛び出したランナーにタッチにむかった。かつて、ここまでベースカバーの投手が、すぐにタッチに向かった選手を私は見たことがなかった。これを見てこの選手の、並々ならぬ意欲を持ってプレーしているのが伝わってきた。 秋からの成長の陰には、こういった取り組みの成果が形になってきたのではないのだろうか。恵まれた資質におごることなく、今後も才能を伸ばして行ける、そういった期待をせずにはいられない。夏までのさらなる成長も期待でき、その内容次第では上位(2位以内)も、充分に意識できる素材ではないのだろうか。選抜において、最も好感の持てた投手だった。 蔵の評価:☆☆☆ (上位指名級) (2024年 選抜大会) |
平嶋 桂知(大阪桐蔭2年)投手 187/84 右/両 | |
大阪桐蔭のエースナンバーを背負い、秋の近畿大会を制した 平嶋 桂知 。しかし、その投球も肉体ビシッとしておらず、成長途上の投手との印象を受けた。 (投球内容) 神宮大会では、関東一戦に先発。5回を投げ6安打で、2四死球・2三振・4失点と、消化不良の試合となった。 ストレート ☆☆☆ 3.0 長身から140キロ~140キロ台中盤の真っすぐを投げ降ろしてきます。ややボールはバラツキ気味で、それほど細かいコースの投げ分けやコントロールは無さそう。四死球で自滅するような危うさはないが、ゾーン内での制球は安定していない。 変化球 スライダー・カット・チェンジアップ・フォークなど ☆☆☆ 3.0 球種は一通りあり、右打者にはスライダー・カット系の球を、左打者にはチェンジアップ系の球とのコンビネーション。時々、フォークのような沈む球も織り交ぜてくる。まだ、縦の変化を見極められてしまうことも多く、これを投げられば仕留められるといった絶対的な球があるわけではない。気になるのは、右打者に使うスライダー・カット系の球が高めに甘く入り、そこを打たれるケースが目立つ。 その他 クィックは、1.1秒~1.15秒 ぐらいで、牽制もそれなり。ベースカバーやフィールディングも、大型でも無難にこなせている。ある程度ボールも長くは持てており、特に走者を背負うと浮だつようなことはない。 (投球のまとめ) 現状、まだまだスペックの高さで投げ込んでいるという色彩は強い。それでもボールの威力・制球力・変化球も一定レベルにあり、大きな欠点は見当たらない。問題は、特別何かスカウトをひきつけるほどのものがないので、その辺は一冬越えて全体のレベルが引き上がることで、納得させてゆくしかないのではないのだろうか。そのため、高校からプロにゆくような選手になるのか? 大学経由なのかは、選抜での内容次第といった気がした。 (投球フォーム) それでは具体的に、フォームのどのへんに課題があるのか考えてみたい。セットポジションから、足を引き上げる勢いは並で、あまり高くは引き上げて来ない。軸足一本で立った時にも、膝がピンと伸びがち。したがって、トの字 のような形になり、バランス良く立ててはいない。 <広がる可能性> ☆☆★ 2.5 引き上げた足を地面に向けて伸ばすので、お尻はバッテリーライン上に残りがち。したがって身体を捻り出すスペースが確保できず、カーブやフォークなどの曲がりも鈍くなる。 「着地」までの地面の捉えは並ぐらいなので、身体を捻り出す時間も平均的。こうなると、武器になる球種を身につけられるかは疑問で、球速のある小さな変化を中心に投球の幅を広げてゆくことになるのではないのだろうか。 <ボールの支配> ☆☆☆★ 3.5 グラブは最後まで体の近くにあり、外に逃げようとする遠心力を内に留めている。したがって軸はブレ難く、両サイドへの制球は安定しやすいはず。しかし現状は、そこまでコースへの制球は安定していない。 足の甲での地面の捉えもできているように見えるが、逆に膝小僧が地面を捉えてしまうほど深いと、浮き上がる力を充分抑え込めないので注意したい。「球持ち」も平均的だが、ボールが上吊りやすいので、もう少しリリースが押し込めるようになると良いのだが ・・・ 。体ができてきてリリースが安定してくれば、もっと高い制球力を発揮できそうなフォームではある。 <故障のリスク> ☆☆☆ 3.0 お尻の落としができていないが、フォーク系のボールは多くは使って来ない。そういった意味では、そこまで窮屈になって肘などに負担がかかるという機会は少ないのでは? 腕の送り出しにも角度はあるものの、これもまた無理な感じはしないので、現状は肩への負担もそこまでは大きくないのでは? けして力投派というよりも、まだ体を活かしきれていないタイプなので、疲労を溜めやすいことも無さそうだ。 <実戦的な術> ☆☆☆ 3.0 「着地」までの粘りは平均的で、ボールの出処も並ぐらい。そういった意味では、打者にとってはそれほど苦にならないフォームかもしれない。しかし、長身でボールにも角度を感じさせる腕の振りであり、打者としては芯がズレてしまう、そういった可能性は否定できない。 腕の振りに鋭さはまだないが、体に絡んでくる粘りはある。まだしっかり体重を乗せてからリリースでてきるといったほどではないので、もう少し「球持ち」が良くなれば、体重がグッと乗ってくるようなボールも投げられるようになるかもしれない。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、極端に悪いところはないものの、良いところもない。それだけまだ、上積みを残したフォームだとも言える。制球を司る動作は悪くないので、一冬越えたらもっと球筋が安定してきそう。故障のリスクは平均的だが、将来的に武器になるほどの変化球を習得できるかには不安が残る。全体的には、可も不可もなしといった平均点といった感じのフォームとなっている。 (最後に) 投球もフォームも可も不可もなしといった、何が売りなのかがまだハッキリして来ない。こういったタイプは、無理に何か特徴を出そうとするよりも、全体の総合力を引き上げる中で評価を得てゆくのが得策ではないのだろうか。もし秋よりも選抜で成長した姿を示せれば、高校からのプロ入りも現実味を増して来るだろう。 (2023年秋 神宮大会) |