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吹田 志道(弘前学院聖愛3年)投手 188/83 右/右
 




 「大型だけど粗さはない」





 まだまだ未完成な投手ながら、球筋は安定して粗さを感じさせない 吹田 志道 。近い将来、身体ができた時には、どんな投球を魅せてくれるのか楽しみな投手なのだ。


(投球内容)

 3年夏の青森大会では、
4試合で 10回2/3 13安 4四死 8三 防 4.22 と、数字的には百の足りない。しかしこれは、決勝で先発した青森山田戦に打ち込まれたのが大きく影響し、それまではリリーフでの登板だった。

ストレート 135キロ~140キロ台前半 
☆☆★ 2.5

 球速的には、ほとんどがまだ130キロ台後半といった感じで、ドラフト指名される右腕としては物足りない球速。しかし、球質自体は良く、
そこまで遅くは感じさせない。また、打者の外角中心にボールを集めることができるなど、普段の制球力も安定していた。

変化球 スライダー・スプリット・カーブなど 
☆☆☆★ 3.5

 小さく横滑りするスライダーやカット系の球でカウントを整え、時々沈むスプリットも高い確率で落ちていた。余裕があると緩いカーブなども交え、
変化球一つ一つの曲がり・精度も悪くなかった。

その他

 鋭い牽制などは確認できなかったが、クイックは0.9秒台と高速。「間」を意識してという感じではなかったものの、普段のテンポが良く、外角一杯のゾーンにボールを集めることができ、将来的にはこのゾーンでの微妙な出し入れも期待できるのではないのだろうか。

(投球のまとめ)

 肉体がまだ未完成な部分はあるが、ベースとなる制球・変化球、さらに真っ直ぐの質と悪くない。身体ができてきて球速が上がってくれば、かなり楽しみな投手だと言えるのではないのだろうか。






(投球フォーム)

 では、どんな将来像が描けそうなのか? フォームを分析して考えてみたい。セットポジションから、足を引き上げる勢いや高さはそれほどなく、思ったよりも自分の「間」を重視した
先発タイプなのかもしれない。軸足の膝から上がピンと伸びがちで、力みが感じられるのは気になる。そのため 卜の字 の形で立っていて、突っ込みやすい立ち方になってしまっている。

<広がる可能性> 
☆☆☆ 3.0

 お尻はある程度一塁側に落とせているので、身体を捻り出すスペースはそれなりに確保。したがって、カーブやフォークといった、捻り出して投げる球種を投げるのにも無理は感じられない。

 ただし、
「着地」までの粘りがもう一つで、身体を捻り出す時間は物足りない。今のままだと、曲がりの大きな変化球の修得は厳しくなり、球速のある小さな変化を中心に投球の幅を広げてゆくことになるのではないのだろうか。

<ボールの支配> 
☆☆☆★ 3.5

 
グラブは最後まで内に抱えられ、外に逃げようとする遠心力を内に留めることができている。そのため軸はブレ難く、両サイドのコントロールはつけやすい。足の甲での地面の捉えがまだ浅いので、力を入れて投げると上吊りやすいのかもしれない。それでも「球持ち」自体は好いので、将来的には精度の高い制球力も期待できるかもしれない。

<故障のリスク> ☆☆☆★ 3.5

 
お尻の落としは悪くないので、カーブやフォークなど捻り出して投げる球を投げても、それほど肘などへの負担は少ないのでは?腕の送り出しにも角度は感じても、現状そこまで肩への負担が大きいわけれでは無さそう。現状は、それほど力投派というよりも、まだ恵まれた身体を活かしきれていない部分があり、疲労の蓄積はそこまで多くはないのではないのだろうか。

<実戦的な術> 
☆☆☆★ 3.5

 
「着地」までの粘りが物足りないので、ボールの出どころはやや見やすい。球筋に角度は感じられても、打者としてはそこまで苦になるフォームでは無さそうだ。

 腕の振りは良く身体に絡んでくるが、開きが早いことで打者は吊られ難いのかもしれない。縦の変化を武器にする選手だけに、そのへんは改善したいポイント。ボールには
体重を乗せてからしっかりリリースできているので、ウェートや筋力が付いて来ると、グッと打者の手元まで来るような球が投げられるようになりそうだ。

(フォームのまとめ)

 
フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「球持ち」と「体重移動」は好い一方で、「着地」と「開き」に課題を抱えている。制球を司る動作も良く、故障のリスクも低そう。あとは、いかに武器になる球を見出して行けるかではないのだろうか。


(最後に)

 
球速面の物足りなさは、身体ができてくれば解消されそうで、近い将来は150キロ前後の球速は充分に期待できるのではないのだろうか。その割にコントロールも悪く無さそうで、結構器用にいろいろ組み立てられる先発タイプに育つかもしれない。あとは、縦系の変化を活かすためにも、「着地」までの粘りを作り、開きの早いフォームを改善して行けるかではないのだろうか。かなりの確率で、良くなりそうという予感はさせてくれる素材。それだけに現状が育成レベルでも、(支配下級)の評価をあえてしてみたい。


蔵の評価:
 (下位指名級)


(2024年夏 青森大会)