24kp-51
鈴木 圭晋(横浜創学館3年) 投手 183/85 右/左 | |
私の地元の学校の選手なので注目していたが、もう一つ何かが物足りない 鈴木 圭晋 。その何かを考えてみたい。 (投球内容) オーソドックスな右の本格派で、3年夏は 3試合 11回 2安 5四死 9三 防 0.00 と、安定した内容で終えている。 ストレート 135キロ~140キロ台前半 ☆☆★ 2.5 まだドラフト候補としては、驚くほどの球威・球速はない。ただし、ゆったりしたフォームの選手であり、球速的な上積みは、これから期待できるのではないのだろうか。両サイドに投げ分けるコントロールはあるものの、球筋が全体的に高いのも気になる。11イニングで5四死球の数字が示す通り、ここでストライクが欲しいというところで、まだ決まってくれないもどかしさがある。 変化球 スライダー・チェンジアップ ☆☆☆ 3.0 横滑りするスライダーでカウントを整えたり、フォークのように低めて沈むチェンジアップの精度は悪くない。ただし、フォークではないようで、落差自体はそれほどではない。スライダーでもチェンジアップでも空振りを誘えるが、絶対的なキレまではまだ無いようだ。 その他 クィックは、1.05~1.20秒ぐらいとそれなり。牽制も適度に鋭く、時々投げるタイミングを変えるなど、そういった投球術は持ち合わせている。 (投球のまとめ) まだ真っ直ぐに絶対的なものがないのと、バラツキがあるので決まって欲しい時にビシッと決めきれないもどかしさがある。その辺が、観ていて何か物足りなく見える要因ではないのだろうか。それでも変化球の精度・キレは悪くなく、マウンドさばきなどのセンスも悪くない。素材としての奥行きも感じられるので、数年後にどのレベルにまで引き上がってくるのか、期待して見守りたい。 (投球フォーム) セットポジションから、足を引き上げる勢いはゆったりしながらも、高い位置まで引き上げエネルギー捻出。軸足一本で立った時には、膝から上がピンと伸びがちも、全体的にはバランスを保って立てていた。 <広がる可能性> ☆☆☆☆ 4.0 比較的高い位置でピンと足が伸ばされており、お尻は適度に一塁側に落ちている。したがって身体を捻り出すスペースは適度に確保できており、カーブやフォークといった捻り出して投げる球にも適していそう。 「着地」までの地面の捉えも悪くなく、それなりに身体を捻り出す時間も確保できている。そのため、曲がりの大きな変化球の修得も期待できるのではないのだろうか。 <ボールの支配> ☆☆☆☆ 4.0 グラブは最後まで内に抱えられており、外に逃げようとする遠心力を内に留めている。そのため軸はブレ難く、両サイドへのコントロールはつけやすいのでは。また、足の甲での地面の捉えもできているように見え、浮き上がろうとする力も抑えられている。あとは、ボールをもう少しリリースで押し込めるようになれば、もっと低めにも好い球が行きそう。そういった意味では、身体ができてリリースが安定するようになれば、コントロールの乱れも落ち着いてくるのではないのだろうか。 <故障のリスク> ☆☆☆ 3.0 お尻の落としは悪くないので、カーブやフォークなどを投げても窮屈になる機会は少なそう。また現時点では、そういった球はほとんど観られない。 気になるのは、ボールを持っている肩が上がり、グラブを持っている方の肩が下がりがち。また、テイクバックした時に、背中のラインよりも肩が後ろに入り込んでいる、そういった意味で肩への負担は大きいそうに見える。けして力投派ではないので、そこまで疲労を溜めやすいフォームには見えないのだが。 <実戦的な術> ☆☆☆★ 3.5 「着地」までの地面の捉えも粘れており、ボールの出どころも隠せている。そういった意味では、打者としては合わせやすいフォームではないだろう。この夏11イニングを投げて、被安打は2本に抑えられていた要因かもしれない。 もう少し腕の振りに鋭さが欲しいのと、ボールへの体重の乗せ具合も発展途上の印象は受けた。この辺が変わってくると、打者の手元までのボールの強さ・勢いも変わってきそうだ。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「球持ち」と「体重移動」に改善の余地がありそう。制球を司る動作自体は好いものの、まだまだ球筋は不安定。また、肩への負担なども大きいそうで、身体のケアには注意したいところ。しかし、好い変化球を投げられる下地も高く、土台としてのフォームは好いのではないのだろうか。 (最後に) 投球自体は、ボールの強さ・制球力など、真っ直ぐを中心に物足りなさは残る。それでも、フォームの土台は好いだけに、身体ができてきた時は楽しみといった感じがする。現時点では育成が妥当な評価だとは思うが、今後大いに良くなる可能性を秘めているだけに、育成ならばありの素材ではないのだろうか。ゆったりとしたモーションの投手だけに、上手く育てば一軍でも先発を任されるような存在に育って行けるかもしれない。 (2024年夏 神奈川大会) |