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乾 健斗(霞ヶ浦3年) 投手 188/88 右/右 | |
188センチの大型な体格ながら、実際その投球を観ていると変化球が多い 乾 健斗 。この投手は、一体どのような選手になってゆくのだろうか? その将来像について考えてみた。 (投球内容) 恵まれた体格から、肘が突っ張って投げるアーム式に近い腕の振り。3年夏の茨城大会では、8回2/3 7安 6四死 8三 防 2.08 といった内容で、特に準決勝の守谷戦では、先発して7回まで試合を作った。 ストレート 135キロ前後 ☆☆ 2.0 球速は常時135キロ前後ぐらいで、最速では144キロだと言われている。肘がしなる投げ方ではないので、ボールはキレイな回転の真っ直ぐといった感じではない。そのため、打者の空振りを誘うというよりも、詰まらせて打ち取るタイプ。球筋もかなり暴れている印象だった。救いなのは、中に中に入ってくるというよりも、ストライクゾーンの外に外に散ってゆくという感じで、あまり甘く入って来ない点だろうか。 変化球 スライダー・カーブ・チェンジアップなど ☆☆★ 2.5 ストレートが暴れる一方で、変化球でカウントを整えられているところは好いところ。まだ、打者の空振りを誘うほど絶対的な球は無さそうだったが、チェンジアップ系の球が低めでしっかり沈むときは効果的。そのため信頼できるのは変化球みたいで、変化球の割合の高いピッチングとなっている。 その他 クィックは0.95~1.05秒 と素早く、大型でも動きは悪くない。牽制も適度に鋭く、そういった投げる以外の部分は悪くない。今後は、「間」を意識したりとか、投球術に磨きをかけてゆく必要はありそうだが、まだマウンドでそこまでの余裕が無さそうだ。 (投球のまとめ) 将来的には、ボールを動かすようなピッチングにシフトしてゆくのではないのだろうか? まだ精度は高いとは言えないが、時々低めに球がゆくこともあるので、動かしつつ低めに落とすなどして、打たせて取るピッチングへの未来像が浮かんでくる。 (投球フォーム) 今度は、フォームの観点から、この選手の可能性について考えてみたい。セットポジションから、スッと足を引き上げ、その高さは並ぐらい。軸足一本で立った時には、膝から上がピンと伸び切ることなく、適度なバランスを保って立てていた。 <広がる可能性> ☆☆☆ 3.0 引き上げた足を比較的高い位置でピンと伸ばせているので、お尻の一塁側への落としは悪くない。そういった意味では、身体を捻り出して投げる、カーブやフォークを投げるのに無理は感じない。 ただし、「着地」までの地面の捉えが平凡なので、身体を捻り出す時間が充分とは言えない。そのため、曲がりも平凡となり、武器になるほどの変化球を見出だせるかは微妙だと言わざるえない。将来的には、球速のある小さな変化を中心に、投球の幅を広げてゆくのではないのだろうか? <ボールの支配> ☆☆☆ 3.0 グラブを最後まで内に抱えられており、外に逃げようとする遠心力を内に留めている。そういった意味では、両サイドへのコントロールはつけやすい。しかし、足の甲での地面の捉えが完全に浮いてしまっているので、浮き上がろうとする力を抑えられず、力を入れて投げてしまうとボールが上吊ってしまう。「球持ち」自体は比較的好いので、何処まで指先でボールをコントロールできるかだろう。 <故障のリスク> ☆☆☆★ 3.5 お尻の落としには甘さは残すものの、カーブやフォークなどを投げても、大きな負担にはならなそう。腕の送り出しには、多少ボールを持っている肩が上がり、グラブを持っている肩が下がりがちも、これもそこまで気にするほどでは無さそう。けして力投派でもないので、疲労もそこまで溜めることも無さそうだった。 <実戦的な術> ☆☆☆ 3.0 「着地」までの粘りがもう一つで、打者としてはタイミングは合わせやすいように思います。まして、ボールの出どころもやや早く見えるだけに。腕はしっかり振れていて好いのですが、開きが早いために打者としては吊られ難い部分があります。ある程度体重を乗せてからリリースできているようにも見えるのですが、もっとグッと体重が乗せられるようになっても不思議ではありません。そのへんが更に良くなると、打者の手元まで強い球が投げられるようになるのではないのでしょうか。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「球持ち」以外の部分では改善の余地が残されていそうです。制球を司る動作は、高低の動作に課題を抱えていますが、故障のリスクはそこまで高く無いように見えました。あとは、いかにプロで武器になる球を見出して行けるかではないのでしょうか。 (最後に) 現状、全ての部分でまだまだなので、育成枠での指名は妥当だった気がします。それでも恵まれた体格の持ち主でもあり、ボールを動かしながら低めに丹念にボールを集める、そういった投球に終始できると、捉えられそうで捉えれきれない、そういった投手になってゆく可能性は感じられます。スペックがあるから、今後爆発的に球速を伸ばす、そういった方向にはシフトしてゆかないのではないかとみています。果たしてオリックスの育成力で、彼をどのように仕立ててゆくのか、興味深いところです。 (2024年夏 茨城大会) |