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有馬 恵叶(聖カタリナ学園3年)投手 190/78 右/右 





「日々成長中」





 愛媛大会を観た時には、育成指名ぐらいかなと思えた 有馬 恵叶 。見るたびに良くなっている感じがする投手で、甲子園ではさらに成長した姿を魅せてくれた。


(投球内容)

 夏の愛媛大会では、
4試合で 29回 19安 17四死 19三 防 2.48 。甲子園では、7回2/3 6安 6四死 3三 0失 といった内容だった。

ストレート 130キロ台後半~MAX144キロ 
☆☆★ 2.5

 球速は140キロ前後で、甲子園では自己最速となる144キロを記録。ボールはキレ型で空振りを誘える一方、甘く入ると長打を食らいやすい。普段は両サイドに散らすことはできているものの、
四死球を出すことも少なくない。多少相手にプレッシャーをかけられても、無駄なフォアボールを与えないように改善して行きたい。

変化球 スライダー・カーブ・フォークなど 
☆☆☆ 3.0

 フォークには自信があるのか? 結構多く使ってきて、投球のアクセントになっています。ただし、まだまだ、ストンと落ちて三振をバシバシ狙えるほどではありません。カーブはあまり投げてきませんし、スライダーの精度・キレがもう一つ。この球でしっかりカウントが取れて来ると、もっと投球が楽になりそうです。

その他

 牽制には鋭いものがあり、甲子園では走者を刺していました。クィックも、1.0~1.1秒 ぐらいとまずまず。大型ですが、そういった
投球以外の部分もしっかりできるところは好いところ。パッとマウンドを外したりと、投手らしい一面もあります。まだ細かい駆け引きや投球術はこれからといった感じですが、そういったセンスがないわけでは無さそうです。

(投球のまとめ)

 今後は、もっと縦の変化を全面に出した投球スタイルになってくるかもしれません。しかし、
スライダーやチェンジアップなどの中間球を磨いてゆかないと、投球が汲々となってしまうでしょう。そういった意味では、体作りと平行して、投球の引き出しを増やしてゆくことが求められます。





(投球フォーム)

 セットポジションから、足を引き上げる勢いや高さは並ぐらい。軸足一本で立った時に、膝から上がピンと伸びがちで、全体のバランスとしても並ぐらいだろうか。制球が悪い投手は、この
膝に余裕がなく余計な力が入って立っている選手が少なくない。

<広がる可能性> 
☆☆★ 2.5

 引き上げた足を地面に向けて伸ばすので、お尻はバッテリーライン上に残りがち。そのため、体をひねり出すスペースが充分とは言えず、カーブやフォークといった球種には適さないように思える。

 「着地」までの地面の捉えは平均的で、体をひねり出す時間も並ぐらい。こうなると曲がりの大きな変化よりも、球速のある小さな変化を中心にピッチングの幅を広げてゆくことになるのではないのだろうか。

<ボールの支配> 
☆☆☆★ 3.5

 
グラブは最後まで内に抱えられているので、外に逃げようとする遠心力は内に留めることはできている。そのため軸はブレ難く、両サイドへのコントロールはつきやすい。足の甲での地面の捉えは、まだ若干浅い。そのため力を入れてしまうと、ボールは上吊りやすいのかもしれない。ただし、今の感じだと、もっと下半身の柔軟性が増せば、そのへんも改善されそう。「球持ち」も前で放せており、将来的には球筋も安定してきそうだ。

<故障のリスク> 
☆☆☆ 3.0

 お尻の落としができていない割に、結構縦の変化を多く使ってくる。握りの浅いスプリットにして負担を軽減させることもできるが、今後縦の変化を多く使うようになると、窮屈になって肘などに負担が増しそうだ。肘などのケアには、充分注意して欲しい。

 それでも腕の送り出しには無理は感じられず、肩への負担は少なそう。現状は、力投派でもないので、疲労を溜めやすいといったほどでは無さそうだ。

<実戦的な術> 
☆☆★ 2.5

 「着地」までの粘りは平均的で、
ボールの出どころは少し見やすいように見える。そのため、打者としては苦になるようなフォームでは無さそう。

 その一方で、
腕はしっかり振れており、投げ終わったあと体に絡んできている。ボールにもある程度体重を乗せてからリリースできているのだが、投げ終わったあと一塁側に流れるなどするので、作り出したエネルギーをロスしてしまっている。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「球持ち」以外には改善の余地が残されている。制球を司る動作は、体ができてくれば安定してきそう。故障のリスクはそこまで高くはなさそうだが、
将来的にいかに武器になる球を見出して行けるかではないのだろうか。


(最後に)

 投球内容的には、まだ育成クラスではないかと考えられる。ただし、まだまだ伸びて行けそうな肉体的な余力を感じること。自分の身体を活かす身体能力やセンスがあり、今後は制球も安定してきそうだと考えられば好素材ではないのだろうか。現状は、本会議にかかるか、かからないかぐらいのボーダーライン上にいる選手だと思うが、あえて 
 を付けてみたい。今後、大きく化けることを期待してみたいと思った。


蔵の評価:
(下位指名級)


(2024年夏 甲子園)