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上原 堆我(花咲徳栄3年)投手 178/84 右/右 | |
春季大会で見た時は、高校からプロというよりも、大学などに進学するタイプなのかと思った 上原 堆我 。しかし、夏の大会を見る限り、かなりボールと体に強さが感じられ、高校からのプロ入りもアリなのではないかと思えるようになってきた。 (投球内容) この夏の埼玉大会では、5試合 26回 13安 12四死 21三 防 2.03 。被安打が50%と少なかったのだが、甲子園では投球回数上回る安打を浴びて敗戦している。 ストレート 140キロ~147キロ ☆☆☆ 3.0 ズシッとした球威力のある球を投げ込んできて、力を入れて投げれば常時145キロ前後を投げ込む馬力があります。両サイドに散らすコントロールはあるものの、春の大会では高めに集まるのも気になったが、甲子園ではそこまでそういった部分は気にならなかった。 ただし、この夏の埼玉大会でも四死球率は 46.1% と高めで、制球力はアバウト。それでもピンチになれば、内角を厳しく突くことはできていた。あとは、合わされやすいフォームでもあり、ボールの威力の割には痛打されやすい点をどう見るかだろう。 変化球 スライダー・カット・ツーシームなど ☆☆☆ 3.0 140キロ前後のカットボール気味な球やスライダーもニ種類あるのか? その球速や変化も違っていた。その他にも沈む球があり、縦スラなのかと思ったら、どうもツーシームのようだ。まだ絶対的な球はないものの、適度にコンビネーションに織り交ぜて来ることはできていた。今後、縦の変化が磨かれてくると、リリーフとしては面白い存在になってきそうだ。 その他 クィックは、1.05秒前後と素早い。牽制もまずまずで、何よりボールを長く持ったりと、走者としてはスタートが切りにくい。そういった部分は、意外に細かいことができるのだと関心した。元々投げっぷりの好いのだが、単に力だけで押す投手では無さそうだ。 (投球のまとめ) 球威・球速的には、高校からプロに入る水準に達しています。制球力も変化球もそれなりであり、投球以外の部分もしっかりしていました。ゲームメイクする先発型というよりも、プロではタフなリリーフあたりで期待を抱きたくなるタイプではないのでしょうか。 (投球フォーム) ワインドアップから、勢い良く足を高くまで引き上げてきます。フォーム序盤から高いエネルギー捻出をしてくるタイプなので、本質的にリリーフ向きなのかなとは思える。軸足一本になった時にピンと膝が伸び切ってしまい余裕がないのは気になるのが、高く引き上げた足も相まってバランス良くは立てていた。 <広がる可能性> ☆☆☆ 3.0 引き上げた足を地面に向けて伸ばすので、お尻の一塁側への落としには甘さを残します。そのため、カーブやフォークといった捻り出して投げる球が投げられないことはないと思いますが、その変化は鈍くなりがち。 「着地」までの地面の捉えも並ぐらいで、曲がりの大きな変化球よりも、球速のある小さな変化を中心に、ピッチングの幅を広げてゆくことになるのではないのだろうか。 <ボールの支配> ☆☆☆★ 3.5 グラブは最後まで内に抱えられており、外に逃げようとする遠心力は内に留めることができている。したがって軸はブレ難く、両サイドへのコントロールはつけやすい。 一方で、足の甲での地面の捉えは浅い。そのため、浮き上がろうとする力を抑え込めず、力を入れて投げるとボールが上吊りやすい。それでも「球持ち」は良く前でボールは放せているので、指先ではある程度ボールをコントロールできるのではないのだろうか。 <故障のリスク> ☆☆★ 2.5 お尻の落としに甘さは残すものの、それほどカーブやフォークといった球種も投げて来ないので、あとはツーシームがどう肘に負担になってくるのか? しかし、ボールを持っている肩は上がりグラブを持っている方の肩は下がりがちで、肩への負担はそれなりにありそう。何より力投派なので、疲労も溜めやすく消耗は激しいフォームではあるように思える。 <実戦的な術> ☆☆☆ 3.0 「着地」までの粘りは平均的で、ボールの出どころも並ぐらい。そういった意味では、打者からは比較的合わされやすいフォームになっている。腕は強く振れており、勢いは感じる。もう少し球の出どころが隠せるようになると、打者はその勢いで吊られやすくなるのでは? ボールにはしっかり体重を乗せ地面を強く蹴り上げているのは好いが、まだ投げ終わったあと一塁側に流れがちなので、その辺で作り出したエネルギーを多少ロスしている可能性はある。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「着地」と「開き」に、もう少し粘りが欲しい。制球を司る動作はそこまで悪くないが、体への負担はそれなりに感じる。あとは、いかに武器になる球を見出して行けるかではないのだろうか。 (最後に) リリーフ色の強い素材だと思うが、その割に冷静な精神面や牽制などの走者を走らせない技術には優れている。少々体への負担が大きいフォームであるのは気になるものの、タフそうで、力で押せるリリーフでに期待するのには面白い素材ではないのだろうか。ドラフトとなると、下位~育成あたりになるのではないかと見ている。個人的には、高校からのプロ入りもアリではないかと評価したい。 蔵の評価:☆ (下位指名級) (2024年夏 甲子園) |