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狩生 聖真(佐伯鶴城3年) 投手 186/72 右/右





 「一目みて好い投手」





 スラッとした投手体型から、その柔らかい身のこなしをみれば、誰もが好い投手だと実感させられる。そんな投手なのが、この 狩生 聖真 だ。


(投球内容)

 この夏は、
3試合 13回 10安 5四死 14三 防 1.38 。まだ体力・筋力が足りないのか? 3試合ともに5イニング以下の登板に留まっていた。

ストレート 140キロ~149キロ 
☆☆☆★ 3.5

 ボールの力よりも
キレで勝負するタイプで、コンスタントに145キロ前後を投げ込むスピード能力がある。コントロールは良く、両サイドにきっちり投げ分けることができていた。まだ打者の手元までの強さというところに物足りなさは残すが、体ができてくれば改善して行けるだろう。

変化球 スライダー・チェンジアップ・カーブ 
☆☆☆★ 3.5

 柔らかい腕の振りを活かし、キュッと体で近くで曲がるスライダーを投げ込んでくる。また、チェンジアップも効果的であり、さらに緩いカーブも織り交ぜてくる。
変化球の曲がり・精度ともに、想像以上だった。

その他

 クィックは、1.05~1.15秒 ぐらいとまずまずで、牽制のターンも鋭い。特別投げるタイミングを変えるとか、ボールをじっくり持ってといった感じではないものの、
投手らしい投手といった感じだった。

(投球のまとめ)

 まだ凄みのある球を投げるわけではないが、今後筋力・体力がついてくれば、
プロでも先発を担って行けそうな素材。コントロールも安定していて、各変化球のレベルも悪くない。あとは、ボールや体に芯が入って来るかではないのだろうか。





(投球フォーム)

 ノーワインドアップから、足を引き上げる勢いや高さは平均的。軸足一本で立った時には、
膝に余裕があり力みがなく、バランスを保って立てていた。

<ボールの支配> 
☆☆☆★ 3.5

 引き上げた足を地面に向けて伸ばすので、お尻の一塁側への落としには甘さを残す。カーブやフォークといった捻り出して投げる球種を投げられないことはないが、その変化は鈍くなりやすい。

 それでも前にステップさせ、「着地」までの粘りはそれなりに作れている。したがって体を捻り出す時間は適度に確保でき、変化球のキレ自体は悪くない。そのため変化球を織り交ぜ、コンビネーションで打ち取ることができていた。

<ボールの支配> 
☆☆☆ 3.0

 
グラブは最後まで内に抱えられており、外に逃げようとする遠心力を内に留めることができている。したがって軸はブレ難く、両サイドへのコントロールは安定している。まだ足の甲での地面の捉えがしっかり捉えられていないので、力を入れて投げるボールが高めに浮いてしまうのかもしれない。また、現状「球持ち」は並ぐらいか。しかし、指先の感覚は良さそうで、制球で苦労するタイプではないだろう。

<故障のリスク> 
☆☆☆ 3.0

 お尻の落としに甘さは残すものの、カーブやフォークといった球種はあまり投げないので、窮屈になることは少なそう。それ以上に、ボールを持っている肩は上がりがちで、グラブを持っている肩は下がりがっている。そのため、
肩への負担はそれなりにはありそうだ。現状は、力投派といったほどではないので、そこまで疲労を溜めやすい感じはしないのだが。

<実戦的な術> 
☆☆☆ 3.0

 「着地」までの粘りはそこそこ作れているが、体の「開き」は平均的。そのため、打者としては素直であまり苦になるフォームではないのかもしれない。

 
腕はしっかり振れて打者は吊られやすいが、ボールの出どころはあまり隠せていないので、その効果は限定的。投げ終わったあとに一塁側に流れるなど、まだ作り出したエネルギーを指先まで伝えきれていない。また、ボールにしっかり体重が乗せるまで、リリースを我慢できていない。この辺が変わってくると、もっと打者の手元までの球威や勢いが変わってグッと来る感じが出てくるのではないのだろうか。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、
「着地」以外には改善の余地が残されている。足の甲での捉えが浅いので、多少がボールが上吊りやすい。腕の送り出しは、肩への負担はそれなりにありそう。あとは、将来的に武器になるほどの変化球が習得できるだかが鍵に。身のこなしは惚れ惚れするようなフォームだが、技術的には課題が多い


(最後に)

 まだ投球的に技術的にも発展途上であり、肉体的にもこれからといった感じ。それでも
投手としての筋が好い素材で、このまま順調に体作りを進めてゆければ、数年後には一軍のローテーション投手へと育って行けそうな青写真を描きたくなる。特に、本格派でありながら、両サイドの制球力がしっかりしている点。それに各変化球のキレに優れ、土台の良さが感じられる。ドラフトでも、2位前後ぐらいでは消えてしまう選手ではないのだろうか。ひょっとしたら、一位の12名にも入ってくるかもしれない。


蔵の評価:
☆☆☆ (上位指名級)


(2024年夏 大分大会)