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境 利月(大牟田3年) 投手 173/70 左/左 | |
凄みのある球を投げるわけではないが、いかにも好い投手といった投球ができる 境 利月 。通常こういったタイプは大学進学するケースが多いのだが、実戦的な投球ができるので、左腕であれば高校からのプロ入りもアリなのではないのだろうか。 (投球内容) この夏の福岡大会では、2試合 13回 7安 6四死 6三 防 2.77 。福岡城東戦では、味方のエラーなどもありリズムに乗れなかった。しかし、初戦となった筑紫高校戦では、5回を無安打に抑えている。 ストレート 135キロ~140キロぐらい ☆☆★ 2.5 現状ドラフト候補としては、球威や球速としてはやや劣る気はします。しかし、キレと勢いを兼ね備えた球質で、それほど見劣りは感じません。ただし、タイミングがあってしまうと長打を食らいやすいことは否めませんが。 両サイドに投げ分けられるコントロールがあり、投げミスも多い感じはしませんでした。左腕であることも考えれば、そこまで悲観することはないように感じます。 変化球 スライダー・チェンジアップ・カーブ ☆☆☆★ 3.5 絶対的な球種があるわけではないのですが、上手くコンビネーションにどの球種も交えることができています。そういった意味では、コンビネーションで打ち取るタイプかと。特に左打者には外に逃げてゆくスライダー、右打者には外角に沈んでゆくチェンジアップをそこに集めることができています。その合間に、時々緩いカーブを使ってきます。 その他 クィックは、1.05秒ぐらいとまずまず。フィールディングの動き・反応は悪くなかったのですが、牽制は確認できませんでした。ただし、走者にはしっかり目配せをして投げ込んでいました。特に投げるタイミングを変えるとか、じっくりボールを持っていう感じの投球ではありません。しかし、両コーナーに丹念に集められる制球力があります。 (投球のまとめ) 投球の基礎がしっかりできているので、あとは素直に肉付けして球威・球速を伸ばして行ければといった青写真が描きやすいタイプかと。そういった意味では、総合力では全国でも上位のサウスポーだったと思います。プロに入っても、比較的早い段階から、実戦に入って行ける投手ではないのでしょうか。 (投球フォーム) ノーワインドアップから、足を引き上げる勢いや高さがあります。先発タイプかと思いきや、フォームの入りにはリリーフタイプに見えました。軸足一本で立った時に、膝からピンと伸びがち。しかし、高く引き上げた足によって、バランスは適度に保てていました。 <広がる可能性> ☆☆☆ 3.0 引き上げた足を地面に向けて伸ばすので、お尻はバッテリーライン上に残りがち。したがって体を捻り出すスペースは充分ではなく、カーブやフォークといった捻り出す球種には適していないように思います。 それでも適度に前にステップさせ、着地までの粘りは適度に作れています。そのため体を捻り出す時間はある程度確保でき、空振りを誘えるほどの変化球を習得できるかは微妙ですが、変化球全体のキレは悪くないように思いました。 <ボールの支配> ☆☆☆ 3.0 グラブは最後まで内に抱えられており、外に逃げようとする遠心力を内に留めることができています。そのため軸はブレ難く、両サイドのコントロールは安定しやすいはず。一方で、足の甲での地面を捉える時間が短く、球持ちもさほど良くは見えません。それでも高めに抜ける球はあまり見られず、全体的に高めに集まりがちということもないので、そこまで気にする必要はないのかもしれません。やや腕も外旋するので、そのへんでコントロールミスは起こりそうなフォームではあるのですが。 <故障のリスク> ☆☆★ 2.5 お尻は落とせないものの、カーブの頻度は少なくフォーク系の球も現状は投げないので、そこまで窮屈になる機会は少なそう。多少ボールを持っている腕が肩が上がり、グラブを持っている方の肩が下がり気味ですが、極端ではありません。むしろ、外旋することでブンと腕を振る感じになるので、肩などに負担がかかっていないのかは多少気になりました。 <実戦的な術> ☆☆☆★ 3.5 「着地」までの粘りは適度に作れていますし、ボールの出どころも隠せています。そういった意味では、見えないところからピュッと出てくる感じで、打者は差し込まれやすいのではないかと。 腕も適度に振れているので、打者としては吊られやすいと思います。まだ、ボールにしっかり体重を乗せてからリリースできていないので、「球持ち」が我慢できるようになれば、グッと前に体重が乗ってくるフォームになってきそうです。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「球持ち」と「体重移動」にまだ改善の余地がありそうです。コントロールは、動作の割には好いように見えました。やや故障のリスクが高いのと、今後武器にできるような球を見出せるかが鍵になりそうです。 (最後に) そんなに嫌らしいフォームでも、凄い球があるわけではありません。しかし、投手としてのセンスがあり、左腕にしてはしっかりした制球力を持っています。したがって、素直にパワーアップを遂げて行ければ、一軍でも通用する投手に育つのではないかと期待しています。指名となると育成になってしまうかもしれませんが、個人的には ☆ を付けてみたい選手でした。 蔵の評価:☆ (下位指名級) (2024年夏 福岡大会) |