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柴田 獅子(福岡大大濠3年)一塁 186/85 右/左 | |
打撃の中でも、最も難しい内角高めの球をホームランすることができる 柴田 獅子 。投手としてもA級の素材だが、プロでは二刀流を意識できる素材なのだ。 (守備・走塁面) 残念ながら、一塁までの到達タイムは計測できず。夏の福岡大会では、7試合で1盗塁。全く動けないわけではないと思うが、足でガンガンアピールするようなタイプには見えなかった。 また、一塁手としてや投手としてのフィールディングを見ていると、けして俊敏なタイプではない。もしプロで二刀流するとすれば、DHであったり、外野あたりを担うことになるのではないのだろうか。 そのため、この投手は、非凡な打力の持ち主でも、守備や走塁という部分は、目をつむらないと行けないのではないのだろうか。 (打撃内容) 3年夏の福岡大会では、7試 1本 6点 打率..526厘 を記録。インハイの球を強引に引っ張ってのホームランなども飯塚戦では見られたが、逆らわないでレフト前に流すバッティングも魅せている。 <構え> ☆☆☆ 3.0 前の足を引いて、グリップは高めに添えます。後ろ足に重心がかかり気味で、全体のバランスや腰の据わり具合は良くないが、両眼では前を見据えられている。そのため、錯覚を起こすことなく球筋を追うことができている。 <仕掛け> 平均 投手の重心が沈みきった底のあたりで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。この仕掛けは、ある程度の確実性と長打力を兼ね備えた中距離打者や勝負強さを売りにするポイントゲッターに多くみられる始動のタイミング。 <足の運び> ☆☆☆★ 3.5 足を上げて、少しベース側に踏み込んで来る。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化に対応。幾分踏み込むことが多いので、やや意識は外角寄りにありそうだ。 好いのは、踏み込んだ足元がインパクト際にしっかり開かず止まっていること。そのため、逃げてゆく球や低めの球にも、食らいつくことができる。したがって、無理なく反対方向にも打ち返すことができていた。 <リストワーク> ☆☆☆☆ 4.0 打撃の準備である「トップ」の形は自然体で、力みなくボールを呼び込めている。ただし、バットを引くのが遅れないように注意したい。バットの振り出しは、けしてインサイドアウトではない。それでも外の球に対しては、大きなロスもなく、ボールを大きな弧で振り抜けていた。 けして、ボールに角度を付けて飛ばすタイプではないものの、体幹の強さも相まって飛んでゆくのだろう。特に内角の球に対しては、上手く肘をたたんで、ダウンスイングでさばける。何よりインハイの球を、強引に引っ張ってスタンドできるのは、ある意味天性だと言えよう。現状は、引っ張って巻き込めた時に長打が生まれやすいといったスイングではないのだろうか。 <軸> ☆☆☆★ 3.5 目線の上下動は並ぐらいで、体の開きは我慢できている。軸足の内モモにはまだそれほど強さは感じられないが、形は崩れずにキレイな軸回転で振ることができていた。 (打撃のまとめ) タイミングの合わせ方などの対応力に特別ものは感じないものの、内角のさばきは天性のものがある。外角へのスイング軌道にも悪いクセはなく、無理しなくてもレフト方向へはじき返すことができていた。内外角、幅広く対応できる打者になれるのではないのだろうか。上手くゆけば、プロでも20本級の打者に育つかもしれない。ただし、高校時代のプレーを見る限りは、あまり野手としての意識は高くないように思えた。 (最後に) 守備や走力面がネックとなるが、二刀流をDHなり守備的負担の少ないポジションで起用できる球団であれば、アリではないのだろうか? 特にインハイのさばきは圧巻であり、これは天性のもの。打者としても、大物に育つ可能性は秘めている。ただし現時点では、若干投手としての才能を推したいので、野手としてよりも投手の方の評価を高めに記しておきたい。それでも、プロで二刀流に挑んでも、ありの素材ではないのだろうか。 蔵の評価:☆☆ (中位指名級) (2024年夏 福岡大会) |
柴田 獅子(福岡大大濠3年)投手 186/85 右/左 | |
185センチを超える体格の選手で、これだけ腕や上半身を強く振れる選手を初めて見た気がする 柴田 獅子 。そういった稀少価値という意味では、歴史的な素材なのかもしれない。 (投球内容) この夏は、4試合 17回1/3 12安 1四死 13三 防 1.56 。特に、夏の初戦で福岡工業戦の投球は圧巻だった。ただし、大会が進むにつれ、ボールの勢いや躍動感は薄れていった。 ストレート 140キロ~149キロ ☆☆☆★ 3.5 夏の初戦となった福岡工業戦での真っ直ぐの勢いは素晴らしかったが、決勝戦の西日本短大付属では真っ直ぐで押しきれず、左打者から簡単に打ち返されていたのは正直気になった。元々球威で圧倒するタイプではなく、上半身を鋭く振ることでキレを生み出すタイプ。そのため、タイミングが合ってしまうと長打を食らいやすい。四死球で自滅するような危うさはないものの、決勝戦では甘く入ったを逃さず捉えられていた。 変化球 スライダー・カーブ ☆☆☆★ 3.5 腕の振りを活かした、縦・横 のスライダーとのコンビネーション。特に、縦スラの落差があり、空振りが誘えるのが明るい材料。投球の緩急に欠けるので、単調に陥りやすいのが今後の改善点だろう。 その他 クィックは、1.05~1.15秒 ぐらいと平均的。牽制も適度に鋭いが、フィールディングはやや緩慢。この点は、プロでもう少し鍛える必要がありそうだ。特に微妙なコースの出し入れや、間を使ってじっくりといった投球では無い。そういった投手としての技術を、少しずつ学んでゆくことが求められる。 (投球のまとめ) まだまだ基礎体力・基礎筋力が足りておらず、好い球を持続できるだけのものがない。しかし、リフレッシュしている時の腕の振りは素晴らしく、この点での素材の良さはピカイチ。ただし、現時点での投球センスや総合力という意味では物足りず、素材を評価して一位でゆくとなると、それなりに育成力のある球団じゃないと怖い指名とはなりそうだ。 (投球フォーム) セットポジションから、足を引き上げる勢いや高さは静かで、おとなしい入りとなっている。そういった意味では、先発型なのかもしれない。軸足一本で立った時には膝から上が伸びがちで、あまりバランス良くは立ててはいない。 <広がる可能性> ☆☆☆★ 3.5 引き上げた足を地面に向けて伸ばすので、お尻の一塁側への落としには甘さを残す。そのため、カーブやフォークのような捻り出して投げる球を投げられないことはないものの、その変化は鈍くなりがちに。 「着地」までは、適度に前にステップできて時間は稼げている。したがってスライダーやチェンジアップ系の球は、腕の振りなども活かして変化の大きな球を期待できるのではないのだろうか。 <ボールの支配> ☆☆☆★ 3.5 グラブは最後まで体の近くでは抱えられており、外に逃げようとする遠心力は内に留められている。そのため軸はブレ難く、特に右打者外角には安定して集めることができていた。課題は、左打者への投球なのかもしれない。 足の甲での地面の捉えは、まだ若干浅い。このへんは、今後股関節の柔軟性を養いつつ下半身を強化して行ければ、充分に良くなる可能性は高そう。ボールも前で放せているなど、球持ちも悪くない。 <故障のリスク> ☆☆☆★ 3.5 お尻の落としに甘さは残すものの、極端に悪いわけではない。まして、カーブやフォークといった捻り出して投げる球も滅多に投げないので、窮屈になる機会も少なそう。腕の送り出しをみても、肩への負担も大きくはない。ただし、腕の振りなど上半身の振りが鋭すぎたり、強すぎたりして、その分どこかに負担がかかってくる可能性は否定できない。 <実戦的な術> ☆☆☆ 3.0 「着地」までの粘りは適度に作れているが、ボールの出どころとしては平均的。特に左打者からは、少し見やすいのかもしれない。腕や上半身の振りは素晴らしい一方、ボールへの体重乗せ具合は発展途上。「体重移動」がもっと良くなれば、キレだけでなく球威も伴った球が投げられるようになるのではないのだろうか。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、極端に悪いところは見当たらない。ただし、「開き」や「体重移動」などを改善できれば、もっと実戦的な投球も期待できそうだ。フォームの土台が好いので、制球の狂いは少なそう。故障のリスクもさほど高くなく、腕の振りの鋭さを活かせれば、好い変化球を習得して行ける可能性も感じさせる。現状はそこまで完成度の高いフォームではないものの、今後の取り組みや指導次第では、実戦力も兼ね備えた速球派になれる可能性秘めている。 (最後に) 現状の完成度は図抜けていないが、素材としてのポテンシャルや技術的な土台などを考えると、まだまだ良くなって行ける可能性を強く感じさせる。そういった意味では間違いなく上位の器だとは思うのだが、一軍で戦力になるまでには時間と指導力も求められる。それだけに、最上位でゆくのには勇気がいる指名になるのではないのだろうか。いずれにしても、2位の24名以内では指名される選手ではないのだろうか。 蔵の評価:☆☆☆ (上位指名級) (2024年夏 福岡大会) |