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 村上 泰斗(神戸弘陵3年)投手 180/73 右/右





 「ボールの質は素晴らしい」





 回転の良い球質と角度を感じさせる球筋が素晴らしい 村上 泰斗 。その一方で、本当のコントロールがないところに、何処か引っかかるものが残った。


(投球内容)

 最後の夏は、
2試合 11回 2安 2四死 16三 防 0.00 。2試合とも、全国区の強豪相手でもなかったので、少し残した数字は割り引いた方が好いのかもしれない。


ストレート 145キロ前後~140キロ台後半 
☆☆☆★ 3.5

 上記にも記したように、
ボールの感じは実に素晴らしい。並の高校生相手ならば、2安打しか打たれず16三振奪えたのも納得ところだ。しかし、だいぶ以前より落ち着いて投げられるように感じられが、それでも高めに抜けてしまう球も多く、全体的に制御できていない点は気になった。よりレベルの上がる対戦相手や、狭いプロのストライクゾーンを想定すると、さらに制球の粗さは顕著に出そう。また試合を見ていると、本当に打力のある高校生ならば、けして捉えられない球ではないようにも思えた。

変化球 カーブ・スライダー・フォークなど ☆☆☆ 3.0

 
普段はブレーキの好いカーブを多く使って来るのですが、もう少し球速のあるパワーカープみたいなのがスライダーなのかもしれません。しかし、この球も抜けてしまうことも少なくありませんでした。昨年の秋は、横滑りするスライダーだかカット系の球を結構投げていたと記憶するも、この夏はあまり見られず。他にも、フォークだかツーシームだか、何やら沈む球も持っている。しかし、この球の精度・落差共に、まだ発展途上といった感じだった。

その他

 
クィックは、1.00秒~1.05秒ぐらいとまずまず。しかし、投げるタイミングを変えるとか、ボールをじっくり持つとか、そういった投球術は見られなかった。そのため、昨年同様に、一辺倒になる恐れは変わらない。牽制は見られず、フィールディングも並ぐらいといった感じだろうか。

(投球のまとめ)

 
時々、「おっ!」といった球は見られるのですが、根本的には、あまり昨年から変わった印象はありません。確かに、指にかかった時の真っ直ぐは素晴らしく、プロでも真っ直ぐで異彩を放てる、そういった可能性は感じます。現状は、先発よりも、大成するとですればリリーフではないかといった気がする。


(投球フォーム)

 セットポジションから、足を引き上げる勢いや高さはそれなりといった感じ。軸足一本で立った時には、膝から上がピンと伸びがちではあるものの、全体的にはバランス良く立てていた。

<広がる可能性> 
☆☆☆★ 3.5

 引き上げた足を地面に向けて伸ばすので、お尻の一塁側への落としには甘さが残る。そのため、カーブやフォークといった球種も投げられないことはないものの、その変化は鈍くなりやすい。

 前に大きく足を逃がすことで、「着地」までの時間は稼げている。そのため、身体をひねり出す時間はある程度は確保できており、カーブやフォークなどで無ければ、キレや曲がりの大きな変化球の習得も期待できそうだ。

<ボールの支配> 
☆☆☆☆ 4.0

 グラブは最後まで内に抱えられ、外に逃げようとする力を内に留めることができている。そのため、両サイドにボールは散りやすい。一方で、
足の甲での地面の捉えも吸い付くようで素晴らしい。しかし、「球持ち」も含めてよいのに、何故か力を入れて投げるとボールが高めに上吊ってしまう。ちょっとパッと見た感じではよくわからず、昨年などは地面を捉えるのが遅く、その効果を得られなかったところがあった。しかし今年は、そんな感じでもなかったのだが ・・・ 。

<故障のリスク> 
☆☆★ 2.5

 お尻の落としに甘さを残し、カーブなど多めに使うので、肘への負担はそれなりに出てきてしまうかもしれない。また、極端ではないにしろ、ボールを持っている方の肩が上がり、グラブを持っている方の肩が下がりがちなので、肩への負担も少ない。結構な力投派なので、疲労も溜まりやすいタイプなのではないのだろうか。

<実戦的な術> 
☆☆☆★ 3.5

 「着地」までの粘りは適度に作れているものの、ボールの出どころは少し見やすいように見える。そのため打者からは、ボールの勢いほどは空振りを誘えない恐れがある。

 
腕は強く振られ勢いがあるので、ボールの出どころを隠せれば効果的になるのでは? 体重を乗せてからリリースできているようにも見えるが、投げ終わったあと一塁側に流れてしまうなど、作り出したエネルギーをロスしてしまっている。この辺が改善できれば、さらに爆発的な球が投げられるようになるのではないのだろうか。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、
「開き」と「体重移動」に課題を残している。制球を司る動作は好いものの、実際には制御できず高めに集まったり抜けたりする球も少なくない。故障のリスクもそれなりに感じさせるが、将来的には好い変化球を習得できる可能性は高いのではないのだろうか。好い部分と悪い部分とが同居しており、どちらの面が前面に出てくるのか、今の時点では判断できない。


(最後に)

 一つ一つのボールは素晴らしいものの、制球力含めて、試合をまとめる総合力はまだまだといった感じがする。もし、プロで大成するとすれば、この爆発力を活かしたリリーフではないかと見ている。アバウトだが勢いのある真っ直ぐがあるだけに、好い変化球を習得して補えれば、短いイニングならば面白い素材だろう。ソフトバンクらしい、
爆発力のあるリリーバーに育つのか、注視して見守ってゆきたい。


蔵の評価:
☆☆☆ (上位指名級)


(2024年夏 兵庫大会)


 








村上 泰斗(神戸弘陵2年)投手 179/73 右/右





 「まだまだ、これから」





 MAX152キロの球速が一人歩きしている感がある 村上 泰斗 。まだまだこれからの選手といった感じはするが、順調に一冬越えて伸びて来られれば、ドラフト候補としてマークできる存在になっていそうだ。


(投球内容)

 夏の大会では、短いイニングで交代していた2試合のみ。夏の龍野北戦の模様を参考に、今回は考えてみた。

ストレート 130キロ台中盤~140キロ台中盤 
☆☆☆ 3.0

 夏の大会では、たまに指にかかった時には「おっ」と思える球はあったものの、ボールもシュート回転して球威・球速・球質共に発展途上といった印象を受けた。ただし、秋季大会の模様を見ると、常時140キロ前後~140キロ台中盤ぐらいは出ていそうで、
かなり勢いが出てきた印象は受けた。

 打者の両サイドに散らすことはできているが、
全体的に球が高く浮いた球を叩かれている。このゾーンの球で打ち取れるほどのボールの球威・質がないからで、この辺は今後もつきまってきそうだだった。

変化球 スライダー・カーブ・フォークなど 
☆☆☆ 3.0

 夏の大会では、変化球は緩いカーブと、何か小さく沈むフォークだかツーシームだかを交えていた印象。しかし、秋の大会では、横
滑りする大きなスライダーを中心に投げていた。この球のキレが良いので、投球の印象はだいぶ変わった。

その他

 クィックは、1.05秒前後とまずまずで、フィールディングは並みぐらい。特に牽制などは確認できなかったり、ランナーが出ても「間」をとか、微妙な出し入れをするとか、そういった投球術は観られず。むしろリズムが一緒になり、
単調になったところを連打されやすい印象を受けた。

(投球のまとめ)

 まだまだ投球術・制球力・ボールの威力など、課題も多い。しかし、秋になりボールの勢いが増したことと、スライダーを交えたピッチングになり、この投球がいつもできるようになっているのであれば、ドラフト候補に入ってくるだろうなという投球はできていた。





(投球フォーム)

 今度は、フォームの観点から、将来像について考えてみたい。セットポジションから、足を引き上げる勢いや高さは並みぐらい。軸足一本で立った時には、膝はピンと真っ直ぐ伸び勝ちも、全体的にはバランス良く立てていた。

<広がる可能性> 
☆☆☆ 3.0

 引き上げた足を地面に向けて伸ばすので、お尻の一塁側への落としは甘くなりがち。カーブやフォークなども投げられないことはないと思うが、その変化は鈍くなりやすい。少なくても夏の大会では、カーブも抜けることが多く、縦の変化も小さく沈む程度といった感じだった。

 「着地」までの地面の捉えも並みぐらいで、体を捻り出す時間も平均的。こうなると、武器になるほどの大きな変化球を習得できるかは微妙な感じがする。ただし、秋季大会では、曲がりの大きなスライダーがキレていた。

<ボールの支配> 
☆☆☆ 3.0

 グラブは
最後まで内にしっかり抱えられており、外に逃げようとする遠心力を内に留めることができていた。したがって軸はブレ難く、両サイドへの投げわけはできていた印象。

 足の甲での地面の捉えはできているように見えるのだが、
抑えるタイミングが遅く、その効果が得られていない。したがってボールも高めに集まりやすく、その球を打たれるケースが目立った。「球持ち」も並みぐらいで、まだまだボールを押し込めるほどではないのだろうか。

<故障のリスク> 
☆☆☆ 3.0

 お尻の落としに甘さは残すものの、今ぐらいの頻度でのカーブやフォークのような使い方であれば、それほど窮屈にはならないのではないのだろうか。そういった意味では、肘への負担などもさほど気にしなくて良さそうだ。

 腕の送り出しも、角度を感じさせる割には送り出しに無理は感じられなかった。また力投派でもなく、むしろ筋力が足りず強く体を使えないといった印象で、現時点ではそこまで疲労を溜め込む心配も無さそう。しかし、逆に体力・筋力の無さから、
無理すると故障に繋がるかもしれない。

<実戦的な術> 
☆☆★ 2.5

 「着地」までの地面の捉えは並みぐらいであり、ボールの出処も平均的。特に打者からすれば、苦になるようなフォームでは無さそうだ。

 腕もまだ強く振れてはいなく、変化球の曲がりや打者が吊られやすいという部分では物足りない。ボールにしっかり体重を乗せてからリリースできているのか?と言われると、まだそうでないことが多く、良い球が安定してゆくといった感じではないのだろう。その辺が、秋は良くなってきていたのかもしれない。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、極端に悪い部分はないものの、
全ての部分でまだ発展途上であり、実戦的とは言えません。逆にまだ、伸び代を多く残しているとも言えます。制球を司る動作では、高低の制球に課題があります。故障のリスクはさほど高いとは言えませんが、体が出来ていなく、無理をすると故障するかもというひ弱さが夏の時点ではありました。また、将来的に武器になるほどの変化球を習得できるかは、現時点では微妙なフォームといった感じで、伸び悩むリスクも結構ある投手だなといった印象は受けます。


(最後に)

 春に152キロを記録したと訊いていたのですが、実際はまだまだ肉体的にも成長途上の投手であり、筋力・体力の弱さが目立ちました。秋になり、だいぶその辺解消されつつあるので、一冬越えてさらに体がビシッとして来ると、高校からのプロ入りも意識できるようになるかもしれません。あくまでも現時点では、楽しみな選手の一人といった感じで、上位指名確実とか、そういった評価は秋の時点ではできないように思えました。今後の成長を、静かに見守りたいところです。


(2023年 秋季大会)