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菊地 ハルン(千葉学芸3年)投手 200/103 右/右 | |
2メートル・103キロ と破格の体格ながら、その投球からは器用さが感じられる 菊地 ハルン 。自分の身体を自在に操れる能力は、一種の才能だと捉えたい。 (投球内容) 春季大会までは、まだまだだという評判を訊いていた。しかし、この夏始めて観てみると、思った以上にピッチングのできる投手だったのに驚いた。この夏の成績は、2試合 10回 7安 5四死 11三 防 2.70 といった内容だった。 ストレート 常時135キロ~MAX142キロ ☆☆☆ 3.0 空振りを誘うというよりも、球威で詰まらせるタイプのボールです。打者の内外角中心に集めつつ、打ち損じを誘います。時々シュート回転して中に入ってくるのは気になりますが、この角度を活かして合わされやすさは感じません。打者の内角を意識的に突いて詰まらせようという意識がありますが、それがまだしっかりコントロールできないことがあります。 変化球 スライダー・カーブ・フォーク ☆☆☆★ 3.5 スライダーでしっかりカウントを整えられますし、縦の変化も結構使ってきて空振りを誘える時もあります。緩いカーブは滅多に観られませんが、今後縦の変化に磨きがかかってくると面白いと思います。 その他 牽制は結構鋭く、走者を刺したり二塁にも投げてきます。クィックも1.0秒前後~1.1秒と悪くないですし、フィールディングの動きもまずまずでした。ミスなどが出ても、冷静に淡々と投げ込んでくるなど、気持ちに大きなブレは感じませんでした。 (投球のまとめ) アドゥア(広島)のように、淡々と投げ込んでくるタイプかもしれません。スペック的には破格ですし、自分の身体を操る能力もある。まだまだ本格的なトレーニングを積んでゆけば、伸びて行ける将来性も感じます。個人的には、この夏みた選手の中でも、かなりインパクトを感じた一人です。 (投球フォーム) セットポジションから、勢い良く高い位置まで引き上げてきます。そういった意味では、早くからエネルギー捻出を行うフォームで、リリーフ向きなのかもしれません。軸足一本で立った時にも、膝から上がピンと伸び切っていないので、余計な力は感じられません。また、バランス良く立てています。 <広がる可能性> ☆☆☆★ 3.5 お尻の一塁側に落としには甘さが残るものの、カーブやフォークが投げられないといった感じではありません。ただし、少しその変化が鈍くなる恐れはあります。 「着地」までの地面の捉えも早すぎることはなく、適度に体を捻り出す時間は確保できているようには見えます。武器になるほどの大きな変化球は厳しいかもしれませんが、変化球のキレ自体が悪い投手ではないように感じます。 <ボールの支配> ☆☆☆★ 3.5 グラブは最後まで内に抱えられており、外に逃げようとする遠心力を内に留めることができています。したがって軸はブレ難く、両サイドのコントロールはつけやすいのでは? むしろ、足の甲での地面の捉えが浮いてしまっているので、浮き上がろうとする力を抑えられています。そのためボールは高めに集まりやすい恐れがあります。 それでも「球持ち」は比較的良く、そのことである程度ボールを押し込むことができているのかもしれません。ボールがシュート回転することはありますが、抜け球はあまり観られないように見えます。指先の感覚としては、並ぐらいではないかと。 <故障のリスク> ☆☆☆ 3.0 お尻の落としの甘さが残る割に、結構フォークを使ってきます。そのため多少窮屈に感じる部分もあり、将来的にもっと縦の変化を全面に押し出した投球スタイルになってきた時には、肘への負担などは心配にはなります。 腕の送り出し自体に無理は感じられないのですが、顔がそっぽ向いて腕がブンと振られているので、そのへんが制球を乱したり肩に多少負担がかかっている可能性はあります。また、それほど力投派といったほどではないので、そこまで疲労を溜めやすいといった感じではないように思いました。 <実戦的な術> ☆☆☆★ 3.5 「着地」までの粘りは悪くないですし、ボールの出どころも平均的な感じ。特にタイミングをとるのに苦労する嫌らしいフォームではないのですが、ボールに角度がある分、イメージよりも芯で捉えるのは難しい可能性は感じます。 腕は強く振れているので、打者としては吊られやすい要素はあります。ボールにもある程度体重を乗せてからリリースできているようには見えるものの、少し顔がそっぽ向いたり体が流れ気味なので、リリースまでにエネルギーをロスしている感じはします。そのことが、打者の手元までのボールの勢いや質に影響しているのかもしれません。 (フォームのまとめ) フォームの4大要素である、「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」に、大きな欠点は見当たりません。そうかといって、特別すぐれている部分もまだないので、今後は精進してさらに各動作を高めてゆくことで、より実戦的なフォームになっていって欲しいです。足の甲での地面の捉えが浮いてしまっていて、全体に高めに集まりやすい感じはします。しかし、故障のリスクは平均的で、あとはいかに武器になる変化球を身につけてゆけるかではないのでしょうか。 (最後に) 現状は、まだ恵まれたポテンシャルを活かしきれているといったほどではありません。しかし、大きな身体を動かせる運動能力もあり、またそれを活かせるだけのセンスも悪くないように思います。そういった意味では、まだまだ成長途上の投手であり、今後本格的な指導を受けることで、グングン良くなる可能性が高いのではないかとみています。 評価としては育成枠レベルにはなってしまうと思いますが、個人的には指名はアリだと観ており、☆ を付けたいと思いました。彼のような選手が、今後どのような成長を遂げてゆくのか、興味深く見守りたいところです。 蔵の評価:☆ (下位指名級) (2024年夏 千葉大会) |