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西川 歩(山村学園3年) 投手 172/75 左/左 | |
春季大会で観た時は、常時135キロ前後ぐらいだった 西川 歩 。夏の聖望学園戦では、MAX147キロを記録したとのことだけれども、実際そこまでは速い感じはしなかった。 (投球内容) 小柄な体格から、オーソドックスなフォームから投げ込む好投手。夏の埼玉大会では、3試合 13回2/3 8安 2四死 15三 3失 という内容だった。 ストレート 常時135キロ~MAX147キロ ☆☆★ 2.5 聖望学園では、見た感じでは常時130キロ台中盤~出ていた球でも140キロ前半ぐらいかなといった感じだった。結構低めに来ることも多いので、時々意図的に高めを使ってくるのだが、この球で空振りを奪うケースも多かった。気になるのは、フォームからなのか球威からかわからないのだけれども、簡単に合わされてしまうことも少なくなかったということ。そのため、聖望学園戦では、9回を投げて7安打と打たれていた。 変化球 スライダー・カーブ・チェンジアップ ☆☆☆★ 3.5 主にスライダーとのコンビネーションで、特に左打者の外角低めのボールゾーンに切れ込む球が目立ちます。また、この聖望学園戦では目だなかったのですが、春季大会で観た時には、右打者の外角に抜けの好いチェンジアップを効果的に使っていました。さらに、もう少し緩いカーブもあるように感じました。 その他 牽制は、1.1秒前後とそれなりで、牽制は軽く間を入れる程度のものしかわかりませんでした。ただし、元々好投手タイプでマウンドさばきは良く、テンポ良く相手を追い込み、落ち着いて投球のできるタイプです。 (投球のまとめ) 真っ直ぐも変化球も、プロを想定すると絶対的なものはありません。しかし、試合を作れるセンスとコントロールはあります。けして凄みのある素材ではないのですが、さらにプロ入り後良くなればという期待は抱かせる選手ではあります。 (投球フォーム) セットポジションから、足を引き上げる勢いや高さはそれなりにあります。もっとゆったり入るタイプかと思ったら、意外にリリーフタイプで最初からエネルギーが捻出されるフォームでした。軸足一本で立った時には、膝から上がピンと伸びがちで力みは感じられるものの、バランスある程度保てて立てています。 <広がる可能性> ☆☆☆★ 3.5 引き上げた足をピンと伸ばすことなく重心を下げてゆくものの、お尻はある程度三塁側(左投手の場合は)には落ちていました。そういった意味では、カーブやフォークのような捻り出して投げる球も投げられないことは無さそうです。 「着地」までの地面の捉えも早すぎることはないので、適度に体を捻り出す時間は確保できています。武器になるほどの大きな変化を身につけられるかは微妙ですが、変化球のキレが悪い投手にはなりそうもないです。 <ボールの支配> ☆☆☆☆ 4.0 グラブは最後まで内に抱えられており、外に逃げようとする遠心力を内に留めることはできています。そのため軸はブレ難く、両サイドへのコントロールは安定しやすいのでは。また、足の甲での地面の捉えも悪くないので、浮き上がろうとする力も抑えられています。したがってボールは、それほど高めに浮いて来ないように思います。「球持ち」は平均的ですが、指先の感覚は悪く無さそうでした。 <故障のリスク> ☆☆☆★ 3.5 お尻の落としはある程度できているので、カーブやフォークを投げても窮屈になることは少ないのでは? 現時点では、まだそういった球はあまり観られませんし。また腕の送り出しにも無理は感じませんが、少々腕が外旋してくるので、その辺で少し肩への負担を感じなくもありません。思ったよりも力投派なフォームではありますが、それでも疲労を溜めやすいといったほど極端なものでは無さそうです。 <実戦的な術> ☆☆☆★ 3.5 「着地」までの粘りも適度に作れているますし、ボールの出どころも早いことはありません。簡単に打ち返されてしまうのは、角度の無さから芯がズレ難いことと、ボール自体の力がまだ無いからではないのでしょうか。 腕は強く振れているので、打者としては吊られやすい勢いはあります。ボールに体重を乗せてからリリースできているというほどではないので、この点がグッと前に乗って来られるようになると、球質も変わってきそうです。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、大きな欠点はないものの、「球持ち」や「体重移動」がさらに良くなると、もっと球質が良くなりそう。制球を司る動作に優れ、故障のリスクも高く無さそうだし、将来的には好い変化球を見出してゆくことができそうです。全体的に大きな欠点がなく、今後の努力次第では、より嫌らしいフォームを作り出すことも期待できそうです。 (最後に) ちょっとプロとなると、ボールに壊さながないなというか素直さが気になりました。しかし、今後の導き方次第では、それを改善できる可能性は感じます。左腕ながら制球も悪くないですし、投手としてのセンスも感じます。育成枠あたりでならば、指名もありなのかなと感じました。ということで、評価的には ☆ は付けませんが、今後どのような実戦型の投手になれるのか期待して見守って行きたい投手でした。 (2024年夏 埼玉大会) |