24kp-35
堀江 正太郎(文星芸大付3年)投手 187/81 右/右 | |
140キロ台後半を記録するスピード能力がありながら、投球の多くが変化球で構成されている 堀江 正太郎 。この春もピッチングも見ていたのだが、夏の大会を観終えても、なんとも表現の難しい投手との印象は変わらなかった。 (投球内容) この夏の栃木大会では、2試合 18回 8安 5四死 31三 防 0.50 。特に奪三振率が、15.5 個と、右投手では破格の数字を残している。 ストレート 145キロ前後 ☆☆★ 2.5 球速こそ147キロなどを記録していたが、速球の割合は少ない。また頻度が少ない割に、簡単に打ち返されたり、コントロールがバラついたりしていた。そのため、真っ直ぐは球速ほどの威力は無いように思えるし、キレイな回転の真っ直ぐではないので、あまり速くは感じられない。 変化球 スライダー・カット・カーブ・チェンジアップなど ☆☆☆☆ 4.0 スライダー・カット系のボールが中心だが、なかなか真っ直ぐとの見極めも難しく、容易に芯で捉え難い。また時々、緩いカーブや落差のある縦の変化球が観られるが、これはチェンジアップやスライダーが縦に切れ込むこともあるのだろうか? そういったグニャグニャ球が曲がるので、打者としては的を絞り難いし、空振りも誘えていた。 その他 牽制はまずまず鋭く、クィックも1.0秒前後と素早い。特に「間」を使ってとか、細かいコースの出し入れは観られない。むしろ同じリズムで投げており、単調にならないように注意したい。 (投球のまとめ) 真っ直ぐが暴れてもコントロールで自滅しないのは、スライダーやカットボールでしっかりカウントを整えられるから。これらの球が高速で、打者としては真っ直ぐとの見極めが困難。さらに、緩い球や縦にも変化するので、なかなか的を絞ることができず三振の山を築いてしまうのだろう。 (投球フォーム) セットポジションから、足を引き上げる勢いや高さはまずまず。軸足一本で立った時にも、膝から上がピンと伸び切ることなく、力むことなくバランスを保って立てていた。 <広がる可能性> ☆☆☆☆ 4.0 足を高い位置でピンと伸ばせており、お尻は一塁側に落ちています。したがって体を捻り出すスペースは確保できており、カーブやフォークといった捻り出して投げる球種には適していると思われます。 前に大きめにステップすることで、体を捻り出す時間も確保。したがって曲がりの大きな変化も期待でき、現時点でもグニャグニャと独特の曲がりをする球を生み出しています。 <ボールの支配> ☆☆☆☆ 4.0 グラブ最後まで内に抱えられており、外に逃げようとする遠心力を内に留めています。そのため、軸はブレ難く、両サイドのコントロールはつけやすいのでは? 足の甲でも地面を捉えており、浮き上がろうとする力も抑えられています。しかし、真っ直ぐは抜け球も多く、まだまだボールを押し込んでリリースできていないのかもしれません。 <故障のリスク> ☆☆☆★ 3.5 お尻は落とせているので、カーブやフォークといった球種を投げても負担はかかり難そう。多少ボールを持っている肩が上がり、グラブを持っている方の肩は下がり気味。それでも極端ではないので、肩への負担はそこまでではないのでは? 、また力投派でもないので、疲労は溜め難いことはないのではないのだろうか。 <実戦的な術> ☆☆☆ 3.0 「着地」までの粘りは作れているので、打者としてはタイミングが合わせやすいわけでは無さそう。それでもボールの出どころは少し早いので、コースを突いた球でも打ち返されてしまう危険性はあります。 腕は振れているのですが、体に巻き付くような粘っこさは物足りません。ある程度体重を乗せてからリリースできているようには見えるのですが、ステップが広すぎて、前に体重が乗って行かずに後ろに残ってしまっているのかもしれません。そのためか? 真っ直ぐの手元までの勢いには課題を残しているように見えます。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「開き」を中心に、「球持ち」や「体重移動」にも改善の余地が残されているように感じます。制球を司る動作は悪くないので、リリースが固まってくれば制球は安定しそう。故障のリスクもさほど高く無さそうですし、将来的に好い変化球を武器にして行けそうです。そういった意味では課題も少なくはないのですが、可能性を感じさせるフォームではあります。 (最後に) ドラフトとなると、育成枠であるか無いかぐらいかといった感じはしています。真っ直ぐの球質・精度には物足りなさを残しますが、そのぶん変化球が独特で、それによって欠点を補うことができています。。かなりの個性派だと思うので、育成枠ならば面白いと判断する球団が出てくるかもしれません。個人的には ☆ は付けませんが、こういった選手が今後どうなってゆくのかは注視して見守りたいところです。 (2024年夏 栃木大会) |