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茨木 佑太(帝京長岡3年)投手 187/92 右/右 | |
兄・秀俊(阪神)が、惚れ惚れするようなフォームから投げ込む正統派ならば、弟は独特の沈む球を織り交ぜるクセモノタイプといった感じがする 茨木 佑太 とは、どのような投手なのか考えてみたい。 (投球内容) 北信越大会を制した実績や、体格的には兄をも上回るものを持っている。この夏は、2試合 18回 12安 9四死 17三 防 2.00 。夏の初登板は、準々決勝の北陸戦から。温存して挑んだ新潟大会だったが、決勝で打ち込まれ甲子園の夢は絶たれた。 ストレート 135キロ~144キロ ☆☆★ 2.5 ドラフト候補としては、140キロ前後であり右腕としてはやや物足りない球速。両サイドに投げ分けるコントロールはあるが、全体的にボールが高めに集まったり、抜けたりすることが多い。まだ、真っ直ぐの勢いで圧倒するほどの球威や球質はなく、基本は打たせてとるタイプではないのだろうか。 変化球 スライダー・チェンジアップなど ☆☆☆★ 3.5 スライダーでカウントを整えつつ、縦の変化で引っ掛けさせたり、空振りを誘ったりする。この球がフォークのような見えるが、チェンジアップだという。この球が、投球における大きなインパクトになっている。 その他 牽制は適度に鋭く、クィックは、1.15秒前後と平均的。ベースカバーやフィールディングは並ぐらいで、マウンドさばきは悪くない。ただし、それほど微妙な出し入れや「間」を使ってという感じではない。 (投球のまとめ) 現状、真っ直ぐにあまり見栄えがしないので、物足りなくは見えてしまう。ただし、縦の変化が独特で、この球がさらに磨かれてくると、厄介なタイプになって来られるのかもという期待は抱きたくなる。肉体的にも恵まれているので、まだまだ真っ直ぐが変わってくることが期待できる素材ではないのだろうか。 (投球フォーム) セットポジションから、足を引き上げる勢いや高さはそれなり。軸足一本で立った時には、膝にはあまり余裕はないものの、少し背中を後ろに傾けて Yの字 の形を作ってバランスを保てている。 <広がる可能性> ☆☆☆ 3.0 引き上げた足を地面の方に向けつつピンと足を伸ばすことなく重心を沈めて来るので、お尻の一塁側への落としには甘さを残す。そのため、体を捻り出すスペースは充分ではないので、カーブやフォークといった球種にはあまり適さないかもしれない。 それでも適度に前に足を逃がすことはできているので、体を捻り出す時間はそれなり。カーブやフォークといった球種でなければ、変化の大きな球を習得しても不思議ではないだろう。現時点でも、フォーク並に沈むチェンジアップを使うことができている。 <ボールの支配> ☆☆☆ 3.0 グラブは最後まで内に抱えられており、外に逃げようとする遠心力を内に留めている。したがって軸はブレ難く、両サイドへのコントロールは安定しやすい。足の甲での地面の捉えが浮いてしまっているので、浮き上がろうとする力を抑えられず、ボールが高めに集まりやすい。「球持ち」自体は悪くないが、まだ繊細なコントロールといったほどではないように思える。 <故障のリスク> ☆☆☆★ 3.5 お尻の落としに甘さは残すものの、それほどカーブやフォークといった捻り出し投げる球種は投げずに、窮屈になる機会は少なそう。また、腕の送り出しを見る限りは、肩への負担も少ないのでは? けして力投派でもないので、疲労を溜めやすいといったほどでもないように思える。 <実戦的な術> ☆☆☆ 3.0 「着地」までの粘りは適度に作れているが、体の「開き」は並ぐらい。それほど、打ち難さは作れていない。また腕は強く振れているので、ボールの出どころがもう少し隠すことができると、もった打者が吊られやすくなるのではないのだろうか。 ある程度は体重を乗せてからリリースできているように見えるが、まだ投げ終わったあと一塁側に重心が流れがちで、作り出したエネルギーをリリースまでしっかり伝えきれていない。この辺が変わってくると、打者の手元までの勢いや球質も更に良くなってくるかもしれない。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」で大きな欠点はないが、「開き」「体重移動」がさらに良くなる余地が残されている。足の甲で抑えが浮いてしまい高めに集まりやすい制球力には課題はあるが、故障のリスクはさほどではなく、将来的にも良い変化球を習得できる可能性は感じさせる。まだまだ発展途上ではあるが、今後実戦的な投手への変貌も期待できるのではないのでしょうか。 (最後に) 現状の投球内容をみると、育成会議での指名になるのかなといった気はしています。しかし、兄以上に実戦的ですし、体格的にも兄以上に大きいです。今後の導き方次第では、見違えるように良くなるかもしれません。ただし、現時点では育成クラスという評価に、留めたいと思います。 (2024年 新潟大会) |