24kp-30
金渕 光希(八戸工大一3年) 投手 183/83 左/左 | |
U-18の日本代表候補にも選出されていた 金渕 光希 。ボールの勢いで抑えるサウスポーかと思っていたら、バランスの良いフォームから、適度にまとまりのある実戦派であることに驚かされた。 (投球フォーム) この夏の青森大会では、敗れた青森山田戦でこそ8失点したものの、それまでは安定した内容を魅せていた。この夏の成績は、18回2/3 14安 9四死 31三 防 1.93 といった内容で、青森山田戦の数字を含めてもこの成績だけに、他の試合の内容が良かったのか伺うことができるだろう。 ストレート 常時130キロ台中盤~MAX144キロ ☆☆★ 2.5 投球の多くは130キロ台の球で構成され、要所で力を入れた時に140キロ台のボールを投げ込んでくるといった感じ。ボールがキレるとか球質の点ではそれほどでもなかったが、打者の外角中心にボールを集められるコントロールがある。そしてここぞの時には、打者の内角へズバッと投げ込んでくる。アベレージの真っ直ぐという意味では、まだドラフト候補としては若干劣る印象は残る。 変化球 スライダー・カーブ・チェンジアップ ☆☆☆ 3.0 スライダーとのコンビネーションで、特に右打者の内角低めに食い込んで来る球を多く使ってくる。さらに緩いカーブやチェンジアップ系の球もあるが、投球の中心はスライダー。しかし、こういった変化球が、青森山田戦では甘く入り打たれていた。 その他 牽制は適度に鋭いものを織り交ぜ、クィックも1.2秒弱と平均的。特に細かい出し入れしたり、「間」を使ってといった感じではなく、淡々とコースに集めて来るタイプではないのだろうか。 (投球のまとめ) この夏の大会を見る限りは、コントロールを重視して丹念に投げ込んでくる印象。そのため、まだ真っ直ぐに凄みを感じるとか、変化球の精度・キレとなども発展途上のようには感じられた。それでも荒れ荒れといった感じはしなく、体ができてくれば実戦的な投手になれる、そういった才能の片鱗は感じられた。 (投球フォーム) ノーワインドアップから、足を引き上げる勢いや高さは平均的。軸足一本で立った時に、膝がピンと伸び切ってしまい、トの字 のように、直立したような形で立ってしまう。こうなるとバランスとろうと余計な力みが生じやすく制球を乱しやすい。 <広がる可能性> ☆☆★ 2.5 引き上げた足を地面に向けて伸ばしがちなので、カーブやフォークを投げられないほどではないものの、体を捻り出すスペース不十分で、その変化は鈍くなりがちに。 「着地」までの地面の捉えも早いので、体を捻り出す時間も充分とは言えない。したがって曲がりの大きな変化球よりも、球速のある小さな変化を中心に投球の幅を広げてゆくことになりそうだ。 <ボールの支配> ☆☆☆ 3.0 グラブは最後まで体の近くで抱えられているので、外に逃げようとする遠心力は内に留めることができている。したがって、両サイドへのコントロールはつけやすい。 その一方で、足の甲での地面の捉えが浅いので、浮き上がろうとする力が抑えられずボールは高めに集まりやすい。「球持ち」も現状並ぐらいなので、それほど繊細なコントロールがあるわけでは無さそうだ。 <故障のリスク> ☆☆☆ 3.0 お尻の落としに甘さはある上に、結構カーブを使ってくるので、窮屈になって肘に負担がかかっていないかは心配。腕の送り出しには大きくは無理は感じられないが、やや外旋になって腕がブンと振られている。極端な力投派ではないので、そこまで疲労を溜めやすいということは無さそうだが。 <実戦的な術> ☆☆☆ 3.0 「着地」までの地面の捉えが淡白なので、打者はイチ・ニ・サンでタイミングを図りやすそうなのは気になる。その一方で、ボールの出どころは隠しているので、その点は救いなのかと。 腕は強く振れており、ボールの出どころも隠せているので打者としては勢いで吊られやすい。しかし、ボールにしっかり体重を乗せてからリリースできていないので、打者の手元まで生きた球がまだ投げられていない。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「着地」と「体重移動」に課題を抱えている。この辺が改善してくると、タイミングが合わされ難くなり、打者の手元までのボールの勢いも変わってきそう。足の甲の地面の捉えが浅く高めに浮きやすい制球力に、故障のリスクに関しては平均的。将来的に、武器になるほどの変化球が習得できるかが鍵になりそうだ。フォーム的には、課題も少なくないので、実戦的な投手になれるかは微妙だといった印象を受けた。 (最後に) まだまだ良くなりそうな素材と、現時点である程度試合を作れる投手としてのまとまりは持っている。そういった意味では、プロでしっかりした指導を受ければ、大きく才能を伸ばせるのではという期待は抱く。その一方で、かなり技術的にも課題が多く、伸び悩む可能性は捨てきれない。この辺どっちに転ぶかわからないが、可能性を信じて ☆ を付けてみたい。 蔵の評価:☆ (下位指名級) (2024年夏 青森大会) |