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小川 哲平(作新学院3年)投手 183/92 右/右 | |
力と技を兼ね備えた投球で、秋の関東大会を制した 小川 哲平 。続く神宮大会でも準優勝に輝くなど、実戦力のある剛腕として、偉大なる先輩のなぞられて「江川卓2世」の呼び声まで出たほどだ。しかし、選抜では、強豪・神村学園前にリズムに乗れず、不完全燃焼なまま甲子園をあとにした。 (投球内容) 骨太の堂々とした体格から、力むことなく投げ込んでくるのが、この選手持ち味。しかし、この選抜では、5回を投げて、5安打・6四死球・3三振 3失点 と、抜ける球も多く初戦で敗れた。 ストレート 130キロ台後半~145キロ ☆☆☆ 3.0 適度な球威と勢いを感じさせるボールが武器なのだが、この試合ではシュート回転して抜け球が多く、甘く入ったところを狙い打たれた。秋の大会では、59イニングで11四死球しか与えていないことを考えると、いかに力が発揮できていなかったことが伺われる。 また、下級生の頃から注目されてきた素材だが、制球が磨かれる反面、真っすぐの凄みは陰を薄れめてしまった物足りなさは、秋口から感じられた。それだけに、力と技のバランスがまだ充分できていないように思える。 変化球 スライダー・カット・カーブ・チェンジアップなど ☆☆★ 2.5 カットボールが最大の武器で、この球とのコンビネーション。更に曲がりの大きなスライダーや緩いカーブ。それにチェンジアップなども持っている。ただし、基本は速球とカットとのコンビネーションなので、投球が単調になりやすい。 その他 クィックは、1.0秒前後と高速で、フィールディングの動きも悪くない。ごつい体つきにしては、野球センスは高い方なのだろう。ランナーを背負っても、パッとマウンドを外したりと一辺倒にならないように注意している。 (投球のまとめ) 現状は、真っすぐで押し切れるほどの圧倒的な力が強さがない。そうかといって、空振りを誘えるほどの変化球がなく、実戦派になりきれていないなど中途半端な部分が気になった。昨年の 日当 直喜(東海大菅生-楽天3位)のような、剛腕型の実戦派 をイメージしていたが、果たして夏までに、その領域まで到達できるだろうか? (投球フォーム) ノーワインドアップから静かに入るフォームだが、足は比較的高い位置まで引き上げてくる。軸足一本で立ったときに、膝から上がピンと伸び切ってしまい、バランス良く立つために余計な力が入りやすい。 <広がる可能性> ☆☆★ 2.5 引き上げた足を地面に向けて伸ばすので、お尻の一塁側への落としには甘さが残る。カーブやフォークといった球種を投げられないことはないものの、曲がりは鈍くなりやすい。「着地」までの地面の捉えも平均的で、体を捻り出す時間は並ぐらい。それだけに、武器になる変化球を見出し難い。高速で小さく変化する球を中心に、投球の幅を広げて行くことになるのではないのだろうか。 <ボールの支配> ☆☆☆★ 3.5 グラブは最後まで抱えられているので、外に逃げようとする遠心力は内に留めている。したがって軸はブレ難く、両サイドコントロールはつけやすい。しかし、足の甲での地面の捉えが浅く、力を入れて投げるとボールが上吊りやすい。その辺が、選抜では力が抜けず制御できなかったようだ。元来は「球持ち」も良く、上手く指先まで力を伝えコントロールできているのだが ・・・ 。 <故障のリスク> ☆☆☆★ 3.5 お尻の落としには甘さが残るので、カーブやフォークといった球種には窮屈になりがち。しかし、そういった球を滅多に投げないので、この点ではあまり悲観しなくても良さそう。 腕の送り出しを見る限りは、肩への負担は少なそう。けして力投派でもないので、疲労も溜め難いのではないのだろうか。 <実戦的な術> ☆☆☆ 3.0 「着地」までの粘りは並で、ボールの出どころも平均的。そういった意味では、それほど打者としては合わせ難いフォームでは無さそうだ。腕の振りはそれなりで、「球持ち」は悪くないので適度に体重を乗せてからはリリースできている。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、大きな欠点は見当たらないかわりに、特別すぐれているところもないように思える。それだけに、動作全体にもう少し粘っこさが出てきて欲しい。制球は普段は悪くないが、足の甲での地面の捉えが浅いので、高めに抜けやすい。故障のリスクはけして高そうではないが、将来的に、真っすぐ含めていかに空振りを奪える球を見出だせるかではないのだろうか。投球フォームは、秋からほとんど変わっていなかった。 (最後に) けしてスペックの低い投手ではないのだが、現状決め手に欠ける部分がある。この体格なら、ボールの力で圧倒するとか、実戦型ならばもう少し隙無しの部分を示して行かないと、高校での指名は微妙となるだろう。順調に最終学年を迎えれば中位指名ぐらいは狙えるかと思ったが、現状は指名ボーダーラインといった印象だった。夏までの立て直しを期待して、今は静かに見守りたい。 蔵の評価:追跡級! (2024年 選抜大会) |
小川 哲平(作新学院2年)投手 183/82 右/右 | |
威力抜群の速球を投げ込む割に、その球をしっかりコントロールできる 小川 哲平 。一冬越えた選抜での内容次第では、上位指名を意識できる素材ではないのだろうか。 (投球内容) その体型から雰囲気から、同校OBの 江川卓(元巨人)を彷彿とさせると言う人もいるかもしれない。江川氏が高めの真っすぐで空振りを誘えるタイプの快速球投手だったのに対し、こちらは球威のある球で詰まらせるタイプの剛球タイプの速球派だ。 ストレート 140キロ~140キロ台中盤 ☆☆☆★ 3.5 川勝 空人(生光学園)のような全身を振って150キロ前後の真っすぐを投げるタイプではなく、淡々と両サイドや低めにボールを集めてくるタイプです。そのため球速も140キロ~中盤ぐらいと、驚くほど速い球を投げ込んでくるわけではありません。それでも、ボール自体には力があり、速球のコマンドの高さ、投球術の確かさには目をひきます。真っすぐで空振りを誘うよりも、コースを突いて詰まらせるといったピッチングスタイルです。 変化球 スライダー・カット・カーブ・チェンジアップなど ☆☆☆ 3.0 スライダーやカットボールを中心に、右打者の外角一杯から少し外のボールゾーンで出し入れしてきます。他にも緩いカーブを織り交ぜたり、チェンジアップ系の沈む球も時々使ってきます。どれも空振りを誘うといった大きな変化ではないものの、これらの球もしっかりコントロールして自分のものにできているところは評価できます。 その他 走者への目配せなどはしっかりできているものの、確認した試合では牽制は確認できず。その分クィックなどは、0.9秒前後~1.0秒前後と超高速でいて、それでいて制球を乱しません。また、フィールディングの動きも平均レベルはありそうです。 微妙な出し入れができる投球術もありますし、ある程度ボールも長く持ってといった、そういった実戦的な投球ができる選手です。 (投球のまとめ) 全国でも指折りの剛腕でありながら、そのボールをしっかり操れるといった実戦力の高さも兼ね備えます。このベースをもとに、更にスケールアップが望めるようだと、上位指名も意識できそうな秋の内容でした。 (投球フォーム) 今度は、技術的な観点から考えてみましょう。セットポジションから、足を引き上げる勢いや高さのあるダイナミックな入りです。膝はピンと伸びがちですが、軸足一本で立った時のバランスは取れた立ち方になっています。 <広がる可能性> ☆☆☆ 3.0 引き上げた足を地面に向けて伸ばしがちなので、お尻の一塁側への落としは甘くなりがちです。したがってカーブやフォームといった球種を投げられないことはありませんが、その変化は鈍くなりやすい傾向にあります。 「着地」までの地面の捉えは並みぐらいなので、体を捻り出す時間は平均的。こうなると曲がりの大きな変化球よりも、球速のある小さな変化を中心にピッチングの幅を広げてゆくことになるのではないのでしょうか。 <ボールの支配> ☆☆☆★ 3.5 グラブは最後まで体の近くに抱えられており、外に逃げようとする遠心力を内に留めることができています。そのため軸はブレ難く、両コーナーへの安定した投球を実現できているように思われます。 足の甲での地面の捉えは浅いので、浮き上がろうとする力を充分抑えられてはいません。そのため、力を入れてしまうとボールが上吊る傾向にあるのかもしれません。現状は、「球持ち」の良さを活かした指先の感覚の良さと、ある程度力をセーブすることで、ボールを制御しているのかもしれません。 <故障のリスク> ☆☆☆☆ 4.0 お尻の落としに甘さは残るものの、そこまで悲観するほどではありません。まして、カーブやフォーク系の球も滅多に観られないようなので、窮屈になる機会も少なそう。 腕の送り出しを観ていても、肩への負担なども少なそう。それほど力投派でもないので、そこまで疲労を溜め込むことも現状はなさそう。 <実戦的な術> ☆☆☆★ 3.5 「着地」までの粘りは平均的でタイミングを合わせるのには苦にならないタイプですが、ボールの出処は隠せているので、コースにしっかり投げていれば痛手は喰らい難いかと。 腕はしっかり振れているので、打者としては吊られやすい。「球持ち」も良いので体重を乗せてからリリースできており、打者の手元まで力のあるボールが投げられている。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「着地」こそ並みですが、あとの部分はしっかりできています。制球を司る動作は、足の甲の地面の捉えが浅く、そのせいで力を制御せざる得ないのかもしれません。故障のリスクは少なそうなのは良いのですが、あとはいかに武器になる変化球などを見出して行けるかが鍵になりそうです。ただし、全体的に実戦的なフォームの部類に入るのではないのでしょうか。 (最後に) コントロールや投球術や精神面など、そういった部分の総合力はすでに非常に高いレベルにあります。ボールの力も確かなのですが、これからスケールを追求する時に、今のバランスを損なわないのか? あるいは、武器になる変化球を見出していったりできるのか? そういった部分が最終学年でも気にしてみたいです。順調に一冬越えた成長を感じられれば、上位(2位以内)も見えてきそうな内容でした。 (2023年秋 栃木大会) |