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田中 稜真(旭川実3年)投手 178/80 右/右





「正直、スケールはあまり感じない」





 田中 楓基(ロッテ)の弟として早くから注目されてきた 田中 稜真 。球速も150キロを超えるなどしているが、正直あまり素材としての奥行きが感じられないのは、その体格のせいなのだろうか?


(投球内容)

 中背の体格から、勢いのあるボールを投げ込んできます。この夏の成績は、
37回1/3 26安 9四死 24三振 防 2.41 といった内容だった。チームは、北北海道大会の準決勝まで進み、クラーク国際戦で13三振を奪うも、7失点をして敗れている。

ストレート 145キロ前後~150キロ 
☆☆☆★ 3.5

 平均球速という意味では、
全国の高校生の中でもトップクラスといった感じはする。そのため、適度な勢いも感じさせるのだが、球速の割に打者が苦になく捉えられている印象。また、四死球で自滅するような危うさはないものの、ストライクゾーンの枠の中ではアバウトで、結構甘かったり高めに浮いて来る

変化球 スライダー・カーブ・チェンジアップ? 
☆☆☆ 3.0

 スライダーとのコンビネーションで、カウントを整えてきます。その他には、さらに球速を落としたカーブ。それに沈む球があり、チェンジアップとのことだが、
フォークのようにキレイに落ちることがある。この球の精度・落差が安定してくると、もっと投球内容も変わってきそうだ。

その他

 クィックは、1.0~1.1秒とまずまず。走者への目配せはできていたが、牽制は確認できず。フィールディングもよくわからなかったが、動き自体は良さそうな選手だった。マウンドさばきは落ち着いていたが、それほど「間」を意識してとか、微妙なコースの出し入れとか、そういった投球術は見られない。
単調になりやすいので、いろいろと工夫する必要がありそうだ。

(投球のまとめ)

 真っ直ぐの勢い・球速は悪くないものの、合わされやすいフォームだったり、甘く入ることも少なくない。スライダーでカウントを整えられ、マウンドさばきも悪くない。すでにある程度のレベルまで来ているが、今後縦の変化などが磨かれてくると、またピッチングの感じも変わってきそうだ。






(投球フォーム)

 セットポジションから、足を引き上げる勢いや高さはそれなりにあります。フォームの序盤からエネルギー捻出が高いことを考えると、どちらかというと
リリーフ向きなのかなといった気がします。軸足一本で立った時に、膝から上がピンと伸びがちで、バランス良く立とうとするために、どうしても膝に余計な力が入りやすい立ち方になっています。

<広がる可能性> 
☆☆☆★ 3.5

 引き上げた足を地面に向けて伸ばしがちなので、お尻の一塁側への落としには甘さを残します。カーブやフォークといった球種を投げられないほどではないと思いますが、体を捻り出すスペースが充分ではないので変化は鈍くなりやすい感じがします。

 前に大きくステップさせることで、
「着地」までの時間は稼げています。したがってカーブやフォークといった球種でなければ、ある程度曲がりの大きな変化球の習得も期待できそうです。

<ボールの支配> 
☆☆☆ 3.0

 
グラブは最後まで体の近くにあるので、外に逃げようとする遠心力は内に留めることができています。そのため軸はブレ難く、両サイドのコントロールはつきやすいのではないかと。しかし、足の甲での地面の捉えが浮いてしまっており、力を入れて投げると浮き上がろうとする力を抑えられず、ボールが上吊りやすい。「球持ち」も並ぐらいでボールが押し込めていないので、抜ける球も少なくないのではないのでしょうか。

<故障のリスク> 
☆☆☆ 3.0

 お尻の落としに甘さは残すものの、カーブの頻度がそれほど多くなく、縦の変化もチェンジアップとのことで、現状はそこまで窮屈になる機会は多くはないのかなと。腕の送り出しを見ていると、肩への負担は少なそう。やや力投派ではあるものの、そこまで疲労を溜めやすい感じはしませんでした。

<実戦的な術> 
☆☆☆ 3.0

 「着地」までの粘りは悪くはないものの、
ボールの出どころは少し早いように思います。そのへんが、球速の割に合わされやすい要因かもしれません。

 
腕は強く振って勢いがあるのですが、ボールの出どころが隠せていないので打者は吊られないのかもしれません。また、ボールにしっかり体重を乗せられるま前にリリースしているので、打者の手元までの勢いや球威といった点では、まだ改善の余地がありそうです。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、
「開き」と「体重移動」に課題を感じます。足の甲の抑えが浮いてしまって高めに集まりやす点があるの気になりますが、故障のリスクが高いかや将来的に投球の幅を広げて行けるかは、今後の彼の取り組み次第といった感じでしょうか。極端に大きな欠点はないものの、打者としては苦になり難いフォームではあるように思います。


(最後に)

 ボールの勢い・球速はあるので、それを速く感じさせる、より活かす術など、実戦力を磨いてゆく必要がありそうです。縦の変化が上手く落ちる時は良いので、そういった球の精度が増してくると、またピッチングの感じは変わってくるように感じます。課題も少なくないのですが、段階を踏んで課題を改善できるようだと、リリーフあたりで一軍の戦力になっても不思議ではありません。ただし、現時点での評価となると、下位~育成ぐらいに留まるのではないかとみています。


蔵の評価:
(下位指名級)


(2024年夏 北北海道大会)