24kp-28
高橋 幸佑(北照) 投手 178/80 左/左 | |
今年の高校生左腕の中でも、藤田 琉生(東海大相模)の次に指名されそうなのが、この 高橋 幸佑 なのではないかとみている。 (投球内容) 左のスリークォーターから投げ込むフォームで、この夏は 6試合 34回1/3 20安 7四死 44三 防 0.26 といった成績で、チームを南北海道大会の準決勝まで導いた。北海道の地区予選の頃は調子にムラを感じたが、徐々に調子を上げてきた印象。特に素晴らしかったのは、準々決勝の函大柏稜戦だったと記憶している。 ストレート 135キロ~148キロ ☆☆☆★ 3.5 普段は140キロ前後ぐらいと驚くようなボールを投げ続けているわけではないが、好調時には140キロ台後半を記録するボールの勢いにも上位指名を意識できるものがある。そういった日によってボールの勢いにムラがあるのと、セットポジションになるとガクッと勢いが落ちる傾向が見られる。 それほほど細かいコントロールがあるわけではないのだが、四死球で自滅する危うさはない。ただし、左打者に対しては、狙ったところにあまりコントロールできないのかな?といった印象で、札幌日大戦では甘く入った球を打たれていた。 変化球 スライダー・カーブ・チェンジアップなど ☆☆☆ 3.0 左のスリークォーターらしく、横滑りスライダーとのコンビネーションで投球を組み立ててきます。たまにさらに緩いカーブ、それに小さく右打者外角に逃げる、ツーシームのようなチェンジアップもあるように思える。ただし、そういった球を使う頻度は、それほど高くないのではないのでしょうか。 その他 牽制は、それほど鋭いものは混ぜてきません。クィックは、1.05~1.1秒ぐらいが多く、それなりといった感じです。現状は「 間」を意識してとか、細かいコースの出し入れはできないようには見えます。それでも脱力を意識して、落ち着いて投げられてはいました。 (投球のまとめ) 現状は、まだそれほど細かい投球や凄みのある球を持続できるわけでは無さそうです。しかしながら、好調時のボールの勢いは確かなので、そういった投球が安定して出せるようになると、容易には打てないのではないかと思わせるものはあります。そういった安定感に課題を残しますが、好い時の内容を評価するのであれば、上位指名の可能性を感じます。 (投球フォーム) セットポジションから、ゆっくりとそれほど高い位置まで引き上げて来るわけではありません。そういった意味では、フォームの入りは静かであり、自分のペースを大事にする先発タイプなのかと。軸足一本で立った時には、膝から上がピンと真っ直ぐに伸びてしまっており、バランスをとろうとして膝に余計な力が入りやすくなってしまっています。そのため、全体のバランスとしても トの字 のような直立気味な立ち方になっています。 <広がる可能性> ☆☆★ 2.5 引き上げた足をピンと伸ばすことなく、少し前に倒れ込むような感じで重心を沈めてきます。こうなると、お尻はバッテリーライン上に落ちてしまい、体を捻り出すスペースは充分確保できません。したがってカーブやフォークといった球種を投げるのには、窮屈な感じになります。 また「着地」までの地面の捉えも並ぐらいで、体を捻り出す時間は平均的。そのため、曲がりの大きな変化球よりも、高速で小さな変化を中心に投球の幅を広げてゆくことになるのではないのでしょうか。 <ボールの支配> ☆☆☆★ 3.5 グラブは最後まで体の近くにあり、外に逃げようとする遠心力は内に留めています。したがって軸はブレ難く、両サイドへのコントロールは狂い難いのかもしれません。しかしながら、足の甲での地面の捉えは浅く、浮き上がろうとする力を充分には抑えられてはいません。したがってボールが、高めに集まりやすい要因になっているように感じます。ただし、ボールは比較的前で放せており、「球持ち」自体は悪くは感じませんでした。 <故障のリスク> ☆☆☆★ 3.5 お尻自体は落とせていないものの、カーブやフォークといった球種も滅多に投げないので、窮屈になる機会は少なそう。そういった意味では、肘への負担はそこまで大きくは無さそうです。 腕の送り出しに関しては無理は感じられず、肩への負担は少なそう。それほど力投派でもないので、疲労を溜めやすいということも少なそうです。 <実戦的な術> ☆☆☆ 3.0 「着地」までの粘りは平凡なので、打者としてはタイミングが掴み難いフォームでは無さそう。それでもボールの出どころは隠せているので、投げミスをしなければ痛打も浴び難いのではないかと。 投げ終わったあと腕は体に絡んでくるなど、打者としては吊られやすい勢いは生まれています。ボールにしっかり体重を乗せてからリリースできているわけではないので、あくまでも腕や上半身の振りの鋭さでキレを生み出してゆくタイプなのだと考えられます。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「着地」や「体重移動」は平凡。しかし「開き」を抑えることでボールの出どころを見難くできており、「球持ち」も悪くなく腕の振りの鋭さで空振りが奪えていました。制球を司る動作や故障のリスクも悪くなく、今後はいかに球種を増やして投球の幅を広げて行けるかではないのでしょうか。現状は、嫌らしいフォームではないものの、大きな欠点もないといった可も不可もなしといった感じがします。 (最後に) 好調時のパフォーマンスを安定して出せるようになると、面白いとは思います。しかし、地区大会から見てきて、結構好い時と悪い時の差が激しいのは、正直気になる部分です。その辺で評価が別れそうな気はするものの、評価する球団ならば3位前後ぐらいでは指名するのではないのでしょうか。藤田の次ぎに名前を呼ばれる高校生左腕が彼なのか? ドラフト当日を楽しみにしています。 蔵の評価:☆☆(中位指名級) (2024年夏 南北海道大会) |