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石田 充冴(北星学園大付3年)投手 191/86 右/右





 「将来性は抜群」





 ドラフト会議では育成指名になってしまうかもしれないけれど、その将来性は極めて高そうなのが、石田 充冴 。全国的にも、今年みた高校生の中では、非常に将来楽しみ素材だと実感させられた一人であった。


(投球内容)

 この夏は、地区代表決定戦で敗れてしまったものの、夏に行われたサマーリーグにも参加。夏の予選よりも、さらに力強さを増していた。

ストレート 常時140キロ前後~MAX147キロ 
☆☆☆★ 3.5

 夏に見た時は、まだ140キロ前後ぐらいといった感じで、今後まだまだ速くなりそうといった予感めいたものがあった。先日のサマーリーグでは、常時140キロ台を越えてきて、MAXで147キロまで到達。短いイニングというのもあったとは思うが、
ボールの強さが短期間に上がっていることを実感した。

 夏見た時は、ボールが引っかかり過ぎてワンバウンドするような機会も見られたが、サマーリーグではそういう感じは見られなかった。まだまだ
制球力はアバウトではあるものの、ストライクが取れずに自滅するといった粗さは感じなかった。

変化球 スライダー・フォークなど 
☆☆☆ 3.0

 横滑りスライダーに特徴があり、この球とのコンビネーションでカウントを整えます。他にもチェンジアップやフォーク系の球もあるものの、抜けたり曲がり切らなかったりと精度・キレとも発展途上な気がします。

その他

 クィックは、1.0秒前後と素早いですし、フィールディングの動きも基準以上。190センチ台の
大型選手ですが、動きに緩慢さを感じさせないところに可能性は感じます。まだ、細かい投球術や制球力はありませんが、まだまだ良くなって行ける素材だと判断します。

(投球のまとめ)

 夏の大会で見たときよりも、サマーリーグではもうワンランク
真っ直ぐ勢いや球速を増していたように感じました。そういった意味では、育成クラスかなと感じた夏よりも、評価はワンランク上げても好いのかなと思う部分もある。その辺をどう判断するか、フォームを分析して考えてみたい。





(投球フォーム)

 セットポジションから、足を引き上げる勢いや高さがあり、最初から高いエネルギー捻出はできています。また、軸足一本で立った時には、あまり膝に余裕がなく力みがちには見えますが、全体的にはバランスを保って立つことはできています。

<広がる可能性> 
☆☆☆ 3.0

 引き上げた足を地面に向けて伸ばすので、お尻はバッテリーライン上に残りがち。したがって体を捻り出すスペースは充分ではないので、カーブで緩急を付けたり、フォークのような縦に落差のある球は習得し難いようには感じます。

 「着地」までの地面の捉えも並ぐらいで、体を捻り出す時間は平均的。そういった意味では、曲がりの大きな変化よりも、球速のある小さな変化球を中心に、投球の幅を広げてゆくことになるのではないのでしょうか。

<ボールの支配> 
☆☆☆ 3.0

 グラブは内に抱えられているように見えるものの、最後は後ろに流れがち。そういった意味では、充分に外に逃げようとする遠心力を抑えられず、軸はブレやすいのかもしれません。そのへんが、両サイドへのコントロールにも影響している可能性があります。

 また、足の甲での地面の出来ているように見えるのですが、その時間が短いように見えます。それだけ浮き上がろうする力を、充分には抑えられていないのでは? そうなると、ボールが浮きやすい要因になりかねません。「球持ち」が悪いようには見えませんが、そこまで指先の感覚が好いようにも粘っこさも感じませんでした。

<故障のリスク> 
☆☆☆ 3.0

 お尻の落としに甘さはあるものの、現状カーブやフォークといった球種を多く投げてくるわけではありません。そういった意味では、窮屈になる機会も少なく、そこまで肘に負担がかかっているようには見えませんした。

 腕の送り出しを見ても、肩への負担もそこまで大きくは無さそう。けして、力投派といったほどでもないので、疲労も溜まりやすいといったことは無さそうです。

<実戦的な術> 
☆☆☆★ 3.5

 「着地」までの粘りは平均的なので、それほどタイミングがとり難いフォームではないのでは。それでもボールの出どころは隠せているので、コントロールミスをしなければ、痛打を浴びる機会は少なそうです。

 腕も適度に振れていますし、ボールにもある程度は体重を乗せてからリリースできています。そのため、投げ終わったあとも、ある程度地面を蹴り上げた足が上がってきています。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重異動」では、特に悪い部分はありません。ただし、「着地」や「球持ち」など、各動作に粘っこさが出てくると、もっと嫌らしい投球ができそうです。制球を司る動作や故障のリスクは平均的で、可も不可もないといった感じのフォームです。肉体的な余力はまだまだありそうなので、真っ直ぐの威力を上げることで、パフォーマンスを引き上げてゆくタイプの選手ではないのでしょうか。


(最後に)

 夏の大会から1ヶ月あまりでも成長を感じさせてくれた素材ですし、
素材的にもまだまだ良くなって行けそうな将来性は魅力です。その一方で、実戦力なタイプかと言われると微妙なだけに、今後いかに真っ直ぐの球威・球速が伸びるに懸かっているようには思えます。それでも、その将来性を加味すれば、本会議で指名しても悪くはないぐらいの素材ではないかと個人的には評価致します。


蔵の評価:
 (下位指名級)


(2024年夏 南北海道大会)