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昆野 太晴(白鴎大足利3年)投手 180/86 右/右 





 「力感無くても150キロ前後」





 けして力を入れて投げる感じでなくても、150キロ前後の球速を連発する 昆野 太晴 。凄みのある素材型というよりも、完成度の高い総合力に優れた好投手だった。


(投球内容)

 この春の関東大会では、
3試合 24回 10安 9四死 26三 防 0.75 と好投し、チームの関東大会優勝に大きく貢献した。

ストレート 常時140キロ台中盤~MAX152キロ 
☆☆☆☆ 4.0

 少々
高めに抜けたりバラツキはあるものの、キレの良い快速球で打者の空振りを誘えていた。球威などはさほど感じられないものの、冒頭にも書いたように、無理なく150キロ前後の球速を刻んで来る勢いがある。そのため、24イニングで10安打と、被安打率は 41.7% と、支配的な投球ができていた。

変化球 スライダー・カット・カーブ・フォークなど 
☆☆☆ 3.0

 スライダー・カット系のボールを中心に、カウントを整えて来る。ときには緩いカーブや、どうも縦の変化も試し始めているようなのだ。こういった球が、夏に向けて完成度を高めて来ると、投球にも幅が出てきそうだ。

その他

 クィックは、095秒前後と素早く、牽制も鋭いものを混ぜて来る。そういった
投球以外のレベルも高く、意識の高さが伺われる。それほど「間」を意識してとか、細かいコースの出し入れなどの投球術は見られないものの、落ち着いて冷静に投球を組み立てることができていた。

(投球のまとめ)

 まだキレのある真っ直ぐとスライダー系の単調な投球スタイルであり、時々甘い球や抜けた球も見られる。それでも、投球はしっかり作れる選手であり、高校生としては完成度は高い。むしろ総合力で言えば、昨年の 木村 優人(霞ヶ浦-ロッテ3位)当たり比べると、実戦的なレベルにあると言えそうだ。イメージ的には、
山本 由伸(元オリックス-ドジャース)に近いタイプなのかなといった気がする。





(投球フォーム)

 ワインドアップから振りかぶり、足を引き上げる勢いや高さは並ぐらい、軸足一本で立ったときには、膝から上がピンと伸びてしまい力みは感じられる。それでも適度にバランスが取れて、突っ込まないようにはできていた。

<広がる可能性> 
☆☆☆ 3.0

 引き上げた足を地面に向けて伸ばしがちで、お尻の一塁側への落としは甘くなっている。したがって体を捻り出すスペースが甘く、変化球のキレも鈍くなりがち。

 「着地」までの地面の捉えも平凡で、体を捻り出す時間は並ぐらい。曲がりの大きな変化球を習得するというよりも、球速のある小さな変化で勝負してゆくタイプではないのだろうか。

<ボールの支配> ☆☆☆★ 3.5

 
グラブは最後まで体の近くにはあるので、外に逃げようとする遠心力は内に留めることができている。そのため軸がブレ難く、両サイドのへのコントロールは安定しやすい。

 
足の甲での地面の捉えが深すぎて、膝小僧が地面に着いてしまっている。こうなるとスパイクのエッジが生かされず、浮き上がろうとする力を充分に抑え込めているとは限らない。「球持ち」はそれなりに前で放せており、そのため指先まで力を伝えられ、コントロールを制御しやすい。

<故障のリスク> 
☆☆☆★ 3.5

 お尻の落としに甘さはあるものの、カーブやフォークが投げられないほどではないだろう。ただし、今後多く使うようになると、窮屈になって肘などへの負担は増しそう。

 腕の送り出しなどを見る限り、
肩などへの負担は少なそう。けして力投派ではないので、そこまで疲労を溜めやすいということも無さそうだ。

<実戦的な術> 
☆☆☆ 3.0

 「着地」までの粘りは平凡で、ボールの出どころも並ぐらい。そういった意味では、さほど
打者にとっては苦になるフォームではないだろう。それだけコントロールミスをすると、プロの打者は打ち損じしてくれないかもしれない。

 振り下ろした腕も、体に絡んで来るというほどの粘っこさはさほど感じられない。「球持ち」は悪くないものの、膝小僧が土に着いてしまうほどなので、
前にグッと体重が乗ってゆかず、後ろに重心が残りがち。こうなると、生きた球が打者の手元まで放りづらいと言える。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である、「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「球持ち」は悪くないものの、あとの部分にはもう少し粘りが欲しい感じがする。制球を司る動作や故障のリスクはさほど悪くないが、
将来的にいかに武器になる球を見出し行けるかが鍵になるのではないのだろうか。


(最後に)

 高校生としては、かなり高いレベルまで来ているように思います。それでいて技術的には平均的で、まだまだ改善してゆかないと行けない部分も少なく無さそうです。ただし、牽制やクィックなどの技術の高さからも、そういった細部まで追求できる資質はあるのではないかと思える部分も。2年目~3年目ぐらいと比較的早い時期に、一軍ローテーションに。そういった青写真が描きやすいタイプではないのでしょうか。ドラフトでも2位指名以内で、消える可能性は充分あると見ています。



蔵の評価:
☆☆☆ (上位指名級)


(2024年 春季関東大会)