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沼井 伶穏(横浜隼人3年)投手 186/82 右/右 





「全身バネを感じる」





 父親はナイジェリア人で、日本人とのハーフであるという 沼井 伶穏 。その走る姿を見るだけでも、見るからにバネを感じさせる素材の良さが伝わってくる。


(投球内容)

 昨年は、腕を前に大きく突き出す感じのフォームだったが、この春はオーソドックスなスタイルに。やや
上半身の強さが勝った感じのフォームではあるものの、思ったよりもまとまっていた。

ストレート 常時140キロ前後~MAX89マイル(143キロ) 
☆☆☆ 3.0

 空振りを誘うというよりも、
ボールの力で詰まらせるタイプの球質。それほどまだ細かいことはできませんが、打者の外角中心に、ボールを集めることができていました。

変化球 スライダー・カーブなど ☆☆★ 2.5

 
横滑りするスライダーとのコンビネーションで、他に緩いカーブもあります。まだ、縦の変化やシュート系の球種に目立つものはありません。特に空振りを取れる球はないのですが、変化球でカウントを整えられるので、四死球で自滅するような、そういった危うさはあまり感じません。

その他

 
クィックは、1.15秒前後と平均的で、牽制も適度に鋭いものがあります。マウンドでも冷静で、追い込まれても淡々と自分の投球を続けていられました。

(投球のまとめ)

 
まだ、力のある球を投げ込んでくるだけといった単純な投球ではあるものの、制球やマウンドさばきに大きな破綻はありません。バネを利かせた素材を活かして伸びて行ければ、まだまだ良くなって行けるのではないかという期待が持てます。


(投球フォーム)

 セットポジションから、足を引き上げる勢いや高さはそれなりで高いエネルギー捻出ができています。軸足一本で立った時に、膝から上がピンと伸び切ることなく、
力み無くバランスよく立てています。

<広がる可能性> 
☆☆☆ 3.0

 引き上げた足を地面に向けて伸ばしがちなので、お尻の一塁側への落としは甘くなりがち。したがって体を捻り出すスペースは充分とは言えず、カーブやフォークといった捻り出し投げる球種の曲がりは鈍くなりがち。

 「着地」までの地面の捉えはそこそこで、体を捻り出す時間は並ぐらい。こうなると、大きな曲がりの変化球よりも、球速のある小さな変化を中心に、ピッチングの幅を広げてゆくことになるかもしれません。

<ボールの支配> 
☆☆☆★ 3.5

 グラブは最後まで内に抱えられているので、外に逃げようとする遠心力を内に留めることができている。そのため軸はブレ難く、両サイドへのコントロールはつけやすい。足の甲での地面の捉えもそれなりにできているので、浮き上がろうとする力をある程度抑えられている。そのため、ボールも抜けたり、高めに集まりやすいということは無さそう。

 あとは、
「球持ち」が浅い感じがして、指先までしっかり伝えていう繊細なコントロールまでは、まだ厳しいかもしれない。

<故障のリスク> 
☆☆☆ 3.0

 お尻の落としには甘さはあるものの、それほどカーブやフォークといった捻り出して投げる球種の頻度も少なく、そこまで神経質になることは無さそう。腕の送り出しに関しては、無理な角度は感じられないものの、やや
腕が外旋して肩で投げている感じ。そういった意味では、肩への負担は少ないとは言えなそう。けして力投派というほどではないのかもしれないが、上半身で投げているだけに疲労の溜まりはそれなりにありそうだ。

<実戦的な術> 
☆☆☆★ 3.5

 「着地」までの粘りはそれなりだし、ボールの出どころも隠せている。そういった意味では、打者としては合わせやすいフォームでは無さそうだ。腕も適度に振れているので、ストライク~ボールゾーンに逃げてゆく球を身につけられれば、勢いで打者は吊られやすいかもしれない。ただし、まだ投げ終わったあと
体が一塁に流れてしまうので、作り出したエネルギーを最後まで伝えきれずロスしてしまっている。この辺が、打者の手元までの勢い・質という意味で物足りなさを残す部分かもしれない。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、
「球持ち」と「体重移動」に課題を残しいます。制球を司る動作はそんなに悪くないのですが、肩で投げている感じがするので、そのへんで負担がどうでるか? そして、将来的に武器になるほどの球を見出して行けるかが鍵になりそうです。


(最後に)

 投手としてはまだまだ
素材型の域を脱していないものの、フォームも制球にも大きな破綻はありません。肉体的にも、技術的にもまだまだ伸び代を残していそうで、本人がプロ志望であるのならば、育成枠あたりならば指名してくる球団が出てきそうです。夏までにさらに良くなれば、本会議での指名も見えて来るかもしれません。夏まで追いかけて、最終的な判断をしてみたいところです。


蔵の評価:
追跡級!


(2024年 春季神奈川大会)