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永見 光太郎(東京3年)投手 180/65 右/右





 「強豪を次々撃破」





 この春、強豪校を次々と撃破した原動力になったのが、この 永見 光太郎 という投手だった。一体、この男は、どのような選手なのだろうか?


(投球内容)

 甲子園出場経験もある成立学園や、プロ注目の選手がいた桐朋高校を相次いて完封。さらに、強豪・二松学舎大付属の対しても、9回を投げて1失点で勝利を果たした。180センチ・65キロ と、まだまだ
線の細さが感じられるものの、筋の良い正統派右腕といった感じだった。

ストレート 135キロ前後~138キロ 
☆☆★ 2.5

 球速こそ135キロ前後と、まだまだドラフト候補としては
球威や球速は物足りません。しかし、両サイドに投げ分ける確かなコントロールがあり、線の細さからも、この球がどんどん良くなってゆく、そういった予感めいたものは感じられます。

変化球 スライダー・カット・カーブ・チェンジアップなど 
☆☆☆★ 3.5

 右打者の外角に、カット・スライダー系の球を織り交ぜカウントを整えてきます。左打者には、逆に内角に食い込んで来る球筋を得意としています。それでも、外角にもしっかり投げわけることができ、緩いカーブやチェンジアップ系の球もきっちり使い分けてきます。まだ絶対的な球はありませんが、
多彩な球種を上手く織り交ぜて投球を組み立てて来られます。

その他

 牽制は、それほど鋭いものを入れてくるわけではありません。クィックは、1.1秒前後と平均的なものと、0.9秒台の高速のものもあり、状況に応じて使い分けているのかもしれません。しっかり投球を組み立てられる、
先発タイプの好投手です。

(投球のまとめ)

 まだボールに凄味は感じられませんが、
投手としてのセンスが良く、肉体的にも大いに上積みが望めそうな素材です。投球の基礎がしっかりできている上に、変化球をきっちり投げ分けられる制球力もあり、安心して見ていられるタイプ。現時点では、育成枠あたりならば指名がありそうかなと思えるぐらいですが、夏までにさらに真っすぐに磨きがかかってくると、本会議での指名も見えてくるかもしれません。




(投球フォーム)

 今度は、ファームの観点から、今後の可能性について考えてみましょう。セットポジションから、足を引き上げる勢いや高さはそれなりといった感じ。軸足一本で立ったときに、膝から上がピンと伸びがちなものの、
全体的にはバランス良く立てている。

<広がる可能性> 
☆☆★ 2.5

 引き上げた足を地面に向けて伸ばすので、お尻の一塁側への落としな甘くなりがち。したがって体を捻り出すスペースが充分確保できず、カーブやフォークといった捻り出す必要のある球種は、変化が鈍くなってしまうかもしれない。

 
「着地」までの地面の捉えも粘りが足りず、体を捻り出す時間は充分ではない。そういった意味では、曲がりの大きな変化球よりも球速のある小さな変化を中心に投球の幅を広げて行くことになるかもしれない。

<ボールの支配> 
☆☆☆★ 3.5

 
グラブは最後まで内に抱えられており、外に逃げようとする遠心力を内に留めている。したがって軸はブレ難く、両サイドのコントロールはつきやすい。足の甲での地面の捉えもしっかりできているので、力を入れて投げてもボールは上吊り難い

 
「球持ち」がまだ充分ではないので、この辺がもう少し良くなると、指先まで力が伝えられるようになり、繊細なコントロールを身につけられるようになるのではないのだろうか。

<故障のリスク> 
☆☆★ 2.5

 お尻の一塁側への落としが充分ではないので、カーブやフォークといった球種を投げると窮屈になりがち。現状はそういった球を多くは使って来ないので神経質になるほどではないが、肘へのケアなどには注意したい。

 
それ以上に気になるのが、ボールを持っている方の肩が上がりグラブを持っている方の方が下がるなど、腕の送り出しに負担を感じるところ。それでも、現状はそれほど力投派ではないので、疲労は溜め難いのではないのだろうか。

<実戦的な術> 
☆☆☆★ 3.5

 「着地」までの粘りが平凡で、打者としてはタイミングは合わせやすいかも。それでも、
ボールの出どころは隠せており、角度のある球筋で芯では捉え難いのかもしれない。

 
腕は投げ終わったあとしっかり絡んで来るなど、打者としては吊られやすい。まだ、体重が乗る前にリリースを迎えてしまっているので、打者の手元まで球威力のある球が投げ込めないでいる。全体的に、体重が後ろに残りがちのように感じられた。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「開き」こそ抑えられているものの、まだ全体的に課題を多く残している。制球を司る動作には優れているが、
故障のリスクが高いのと、いかに武器になるような球を見出して行けるかが鍵になりそうだ。それだけ、まだまだ伸び代を残しているとも言えるのかもしれない。


(最後に)

 肉体的にもまだ成長途上で、投球フォームにも改善の余地が多く残されている。それでも、土台となる
投球の基礎はしっかりしているので、素直にパワーアップを段階的に踏んで行ければ、青写真は描きやすいタイプなのでは? 現状は育成指名ぐらいだと思うが、夏までの成長次第では、本会議での指名も意識できるようになるかもしれない。今後も追いかけて、最終的な評価を判断して行きたい。


蔵の評価:
追跡級!


(2024年 春季東京大会)