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吉岡 暖(阿南光3年)投手 182/78 右/右 | |
荒れ球の真っ直ぐだけでなく、多彩な変化球で的を絞らせない 吉岡 暖 。打者としては、掴みどころのない投球で、なかなか捉えることができず厄介な投手だと言えよう。 (投球内容) センバツでは、3試合 26回 18安 5四死 30三振 防 1.53 と安定し、その力が全国レベルでも通用することを証明して見せた。 ストレート 130キロ台後半~MAX143キロ ☆☆☆ 3.0 球速は140キロ前後と驚くほどのものは無いが、ズシッと球威のある球が決まる。特に変化球の割合も多いので、ズバッと良いところに決まると打者も手が出ない。その一方で、ボールが高めに抜けることなども多く、真っ直ぐに関しては結構荒れ球だと言えよう。 変化球 スライダー・カーブ・カット・フォーク・ツーシーム ☆☆☆★ 3.5 スライダーも横滑りのものと縦割れものがあるように思えるし、さらに小さく変化するカットボールや緩いカーブなども使ってくる。またシュート系の球もツーシームのような小さな変化に加え、落差のあるフォークを使いわけ、両サイドだけでなく高低へも意識を配らないと行けない。特に変化球でしっかりカウントが整えられるので、真っ直ぐが荒れ球でも四死球は少なめですんでいる。 その他 パッと「間」が悪いと思うとマウンドを外したり、牽制を入れてくる。そういった部分は、投手らしい投手といった感じがする。クィックは、1.2秒台と遅いのは気になったが、必要に応じて1.1秒前後のスピードでも投げられるので、状況に応じて使い分けているようだ。フィールディングも、冷静に対処できていた。 (投球のまとめ) 驚くほどの球速はまだないものの、ボール自体に力があり、変化球も実に多彩だ。縦の変化も使えるので、投球回数以上の奪三振も奪えている。それでいて投手としてのセンスも兼ね備えており、嫌らしいタイプの実戦派に育ってゆく可能性を秘めているのではないのだろうか。 (投球フォーム) セットポジションから、足を引き上げる勢いは適度にあるものの、足はあまり引き上げて来ない。軸足一本で立った時には膝に余裕がなく、トの字になって立ってしまっている。こうなるとバランスよく立つために余計な力が入って力みやすくなったり、ツッコミがちなフォームになってしまう。 <広がる可能性> ☆☆☆ 3.0 お尻をほとんど落とさず、バッテリーライン上で投球動作を行っている。そういった意味では、カーブやフォークを投げるのには無理があるものの、カーブやフォークは適度に使ってくるし、変化自体は悪くない。 前に大きくステップすることで、体をひねり出す時間を確保。そのため、曲がりの大きな変化球の習得は期待できるフォームではある。 <ボールの支配> ☆☆☆★ 3.5 グラブは最後までに内に抱えられ、外に逃げようとする遠心力を内に留めている。そのため軸はブレ難く、両サイドへのコントロールは悪くない。しかし、足の甲での地面の捉えが浮いてしまっているので、力を入れて投げるとボールが上吊りやすい。「球持ち」自体は悪くないので、大きく制球を乱すことはないのだが。 <故障のリスク> ☆☆★ 2.5 お尻が落とせず窮屈になるのに、カーブやフォークなどの捻り出して投げる球種を多く使う。したがって、肘などへの負担はそれなりに大きいと考えられる。腕の送り出しも、やや押し出すような感じであり、それほど力投派ではないにしろ、肩への負担も少ないとは言えないだろう。そういった意味では、体のケアには充分に注意してもらいたい。 <実戦的な術> ☆☆★ 2.5 「着地」までの粘りは適度に作れ、球筋に角度があるので、ボールを芯で捉えられ難い側面はありそう。ただし、ボールの出どころはやや見やすいので、コースに投げた球を踏み込まれたりとか、縦の変化などを振ってもらえない恐れはある。 腕も体に巻き付くような粘っこさがないので、打者が何処まで吊られるか? 前にしっかり体重が乗って行っていないので、打者の手元までの勢いという意味では物足りない。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「開き」と「体重移動」に課題を残している。制球を司る動作では、ボールが高めに抜けやすいこと。故障のリスクが高さそうなところが、フォーム的には気になるところだろうか。実戦的な投球をする反面、技術的には課題も多く残している。 (最後に) そこまでギクシャクしたフォームではないが、何処となく 小桧山雅仁(慶大-ENEOS-ベイスターズ)投手に、似たタイプの投手とのいった印象を受ける。センバツの時点で支配下級の内容ではあったと思うが、現状は5位前後ぐらいの投手なのかなといった印象を受けた。夏までのさらなる成長で、その評価を高めて行って頂きたい。 蔵の評価:☆ (下位指名級) (2024年 選抜大会) |