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小船 翼(知徳2年)投手 197/108 右/右
 




「まだ上位確定といったほどでは」 





 秋には150キロを記録したと評判の 小船 翼 。ただし、秋の投球を確認する限り、上位指名が確定的だとか、そこまで圧倒的なものは感じられなかった。


(投球内容)

 秋季大会・常葉菊川戦の模様をみてみた。

ストレート 常時140キロ前後~140キロ台中盤ぐらい 
☆☆☆ 3.0

 あくまでも目測での印象だが、常時140キロ前後~指にかかった時のボールが140キロ台中盤ぐらいまで出ているかも?といった感じで、ボールの質・制球含めて、絶対的なものは感じられない。それほどまだ細かいコースの投げ分けも出来ておらずストライクゾーンに投げ込んでくるといった投球スタイル。確かに
指にかかった時のボールには見るべきものがあるが、それほど打者から空振りを誘うというよりも、力で詰まらせるタイプの球質だった。

変化球 スライダー・チェンジアップ? 
☆☆★ 2.5

 スライダーも使ってくるが、どうも、チェンジアップ系の小さく沈む球を結構使投げ込んでくる。これは、曲がりが鈍いフォークなのかもしれないが、現状打者の空振りをバシバシ空振りを誘う、そういった絶対的な球種は見当たらない。

その他

 牽制は適度に鋭いものがあり、走者を出すと結構じっくりボールを持てる選手。クィックも、0.9秒台で投げ込めるなど、
大型右腕ではあるが動けないとか、体のキレが悪い選手ではない

(投球のまとめ)

 まだまだ素材型の粋を脱しきれず、一冬越えた時にどのぐらい圧倒的なものを身につけているかではないのだろうか。現状は、一ドラフト候補といった感じで、特別なものは感じられなかった。ただし、これだけのスペックですでにある程度できる選手なので、伸び代も含めると楽しみな選手という期待感はいだきたくなる。






(投球フォーム)

 今度は、フォームの観点から将来像を考えてみた。ノーワインドアップから、クィッと足を勢いよく高く位置まで引き上げて来る。軸足の膝はピンと伸び切ることなく力みは感じられないが、全体のバランスとしては並みぐらいだろうか。

<広がる可能性> 
☆☆☆ 3.0

 引き上げた足を地面に向けて伸ばすので、お尻の一塁側にへの落とすは甘さが残す。そのため体を捻り出すスペースは充分ではないので、カーブやフォークといった球は投げられないことはないが、曲がり鈍くなりやすい。

 「着地」までの地面への捉えも並みぐらいで、体を捻り出す時間も平均的。こうなると大きな曲がりの変化球よりも、球速のある小さな変化を中心に、ピッチングの幅を広げてゆくことになりそうだ。

<ボールの支配> 
☆☆☆ 3.0

 グラブが最後まで内に抱えられ、外に逃げようとする遠心力を内に留めている。したがって軸はブレ難く、両サイドへの投げ訳はつけやすいのでは? しかし、実際は、そこまで両サイドへのコントロールもまだ安定していない。

 
足の甲での地面の捉えが浅く見えるので、浮き上がろうとする力を充分には抑えられていない。ボールが高めに集まりそうなのものだが、実際のところはそこまで高めに集まっているというよりも、バラついている感じ。「球持ち」も並みぐらいで、現状はストライクゾーンの枠の中に投げ込んでくるといった投球に終始している。

<故障のリスク> 
☆☆☆ 3.0

 お尻の落としには甘さを残すものの、それほどカーブやフォークを投げ込まなければ負担は少なそう。ただし、チェンジアップのような沈む球がフォークだった場合、かなりの頻度で投げているので、肘などへの負担も生じているのかもしれない。

 多少ボールを持っている方の肩が上がり、グラブを持っている方の肩が下がり気味。これも極端ではないのと、それほど力投派ではないので、現状はそこまでなーバスになる必要はないのかもしれない。

<実戦的な術> 
☆☆☆ 3.0

 「着地」までの粘りは平均的で、ボールの出どころも並みぐらいだろうか。フォームとしては苦になるような感じではないが、長身を活かした角度で、打者は芯でしっかりは捉え難いかもしれない。

 
振り下ろした腕はしっかり体に絡んで来るなど、粘っこさが感じられる。そのため打者としては、適度に吊られやすいのかもしれない。ボールにもある程度体重を乗せてからリリースできているように見えるが、まだまだ改善の余地は残されていそうだ。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、いずれも平均的なフォームだった。それだけまだ、伸び代を残しているとも判断できる。制球を司る動作も、故障のリスクも平均で、将来的に武器になるほどのボールを身につけられるかは微妙。それだけに伸び代感じさせる一方で、
特徴を見出だせずに伸び悩むリスキーさも持ち合わている。


(最後に)

 
まだまだ素材型の粋を脱しておらず、全ては一冬越えた成長次第といった感じがする。そのため、春からチェックしに行って、その成長具合を確認してみたい。果たして、どのような選手に育っているのか? 今から、楽しみな素材であった。


(2023年 秋季大会)