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小船 翼(知徳3年)投手 198/108 右/右 | |
昨年チェックしたときは、時々指にかかった時のボールに良さはあったものの、まだまだ上位指名確実といった内容ではなかった 小船 翼 。しかし、この春の投球の模様を見る限り、だいぶ実戦的な投手へと変わってきた印象なのだ。 (投球内容) ノーワインドアップから、日本人離れした大きな体格から投げ下ろしてきます。春季静岡大会・浜松城北戦では、9回 3安 1四死 14三 無失点と好投し、一冬越えて成長した姿を印象づけた。 ストレート 140キロ台中盤~152キロ ☆☆☆★ 3.5 昨年見たときは、常時140キロ~中盤ぐらいといった感じだった。しかし、この春は、コンスタントに5キロぐらい上がっている印象で、ボールにも勢いが感じられるようになっている。今でも空振りを誘うというよりも、球威で詰まらせたり、ズバッと投げ込み見逃しの三振を奪うといった感じ。まだストライクゾーンの枠の中ではアバウトな印象だが、四死球で自滅するような危うさはなかった。 変化球 スライダー・フォーク ☆☆☆★ 3.5 曲がりの大きなスライダーで、しっかるカウントを整えてくる。同じぐらいの頻度で、フォークも多く投げ込んでくる。まだストンと落ちて空振りをというよりも、チェンジアップ的で沈む感じ。それでも、けして真っ直ぐだけの選手ではないことを印象づけた。こういった変化球もあるので、投球回数を遥かに上回る奪三振が奪えている。 その他 クィックは1.0秒前後と高速で、牽制も適度に鋭いものを混ぜてくる。特にランナーへの目配せもできており、大型でも動作が緩慢ではないところは良いところ。そういった意味では、想像以上に自分の身体を自在に操れるタイプなのかもしれない。 (投球のまとめ) まだまだ全国レベルの総合力があるかと言われると、コントロールや投球術など含めて、物足りないものはある。それでも、今後の伸び代も含めて考えれば、許容範囲のまとまりと変化球レベルを持っているという判断もできる。夏の大会でしっかり存在感をアピールできれば、上位指名を狙える位置にいるのではないのだろうか。 (投球フォーム) ノーワインドアップから、足を勢いよく高くまで引き上げてきます。最初からエネルギー捻出が高いフォームであり、リリーフタイプに多く見られる入りです。軸足一本で立ったときには、膝にあまり余裕は感じられませんが、全体のバランスとしては並ぐらいでしょうか。 <広がる可能性> ☆☆☆★ 3.5 引き上げた足を地面に向けて下ろすので、お尻の一塁側への落としは甘くなりがち。それでもカーブやフォークを投げられないということはないと思いますが、その変化は鈍くなってしまうかもしれません。 着地までの地面の捉えは、適度に前にステップできていて、体を捻り出す時間は確保。したがって、カーブやフォークといった以外の変化球のキレ・曲がりは良いものが期待できます。昨年よりも、前へのステップを取れるようになり、粘りが出てきた気がします。 <ボールの支配> ☆☆☆★ 3.5 グラブは最後まで内に抱えられており、外に逃げようとする遠心力を内に留めることができています。そのため、両サイドへのコントロールはつけやすいのではないのでしょうか。足の甲での地面の捉えは、昨年よりも良くなっているものの、まだ捉えている時間が短めに見えます。したがって浮き上がろうとする力を充分抑え込めず、力を入れて投げるとボールが上吊ったり高めに集まりやすい恐れはあります。「球持ち」に関しては、平均的なレベルでしょうか。ただし、一冬越えて、だいぶ制球力は改善されてきました。 <故障のリスク> ☆☆☆ 3.0 お尻の落としに甘さは残すものの、カーブやフォークが投げられないほどでは無さそう。ただし、かなりフォークの頻度が高いので、そういった意味では肘への負担は窮屈になりがちで大きくなるかもしれません。 腕の送り出しをみると、極端ではないにしろボールを持っている肩は上がり気味で、グラブを持っている肩は下がりがち。肩への負担を、感じないわけではありません。それでも力投派というほどではないので、疲労は溜め難いのではないのでしょうか。 <実戦的な術> ☆☆☆★ 3.5 「着地」までの粘りはそこそこで、体の「開き」も早すぎることはありません。巨体から投げ下ろされる圧と角度によって、打者としては打ち難い側面はありそうです。 腕の振りは相当以上に良く、投げ終わったあと体に絡んできます。したがって勢いで、打者は吊られて空振りは誘えそう。ボールにもある程度体重を乗せてからリリースできており、投げ終わったあとの地面の蹴り上げなども良くなってきている。もう少しリリース我慢して投げられるようになれば、打者の手元までの勢いも増してくるのではないかと期待します。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」でも、どれでも極端に優れているわけではないが、大きな欠点は見当たらない。さらに、動作が全体的に粘っこくなれば、かなり実戦的なフォームになって行けそう。制球を司る動作はそれなりで、一冬越えた成長が感じられる。故障のリスクは並ぐらいだが、「着地」までの粘りが作れるようになってきて、いわゆる下が使えるフォームに成長してきている点は買いたい。 (最後に) 秋は恵まれた体格から投げ込んでいるだけといった感じで、正直それほど特別な存在には思えませんでした。しかし、この春は、制球力も改善され、下半身が使えるようになり、フォーム全体・ボールの質など、全体的に総合力が引き上がってきている気がします。そういった意味では、実際のパフォーマウンスにも成長が感じられ、良い感じで最後の夏を迎えようとしているのではないのでしょうか。さほどじっくり見られた選手ではないので、この春の評価はしませんが、順調に夏の大会アピールできれば、上位でのプロ入りを意識できそうな素材に見えます。 (2024年 春季静岡大会) |
小船 翼(知徳2年)投手 197/108 右/右 | |
秋には150キロを記録したと評判の 小船 翼 。ただし、秋の投球を確認する限り、上位指名が確定的だとか、そこまで圧倒的なものは感じられなかった。 (投球内容) 秋季大会・常葉菊川戦の模様をみてみた。 ストレート 常時140キロ前後~140キロ台中盤ぐらい ☆☆☆ 3.0 あくまでも目測での印象だが、常時140キロ前後~指にかかった時のボールが140キロ台中盤ぐらいまで出ているかも?といった感じで、ボールの質・制球含めて、絶対的なものは感じられない。それほどまだ細かいコースの投げ分けも出来ておらずストライクゾーンに投げ込んでくるといった投球スタイル。確かに指にかかった時のボールには見るべきものがあるが、それほど打者から空振りを誘うというよりも、力で詰まらせるタイプの球質だった。 変化球 スライダー・チェンジアップ? ☆☆★ 2.5 スライダーも使ってくるが、どうも、チェンジアップ系の小さく沈む球を結構使投げ込んでくる。これは、曲がりが鈍いフォークなのかもしれないが、現状打者の空振りをバシバシ空振りを誘う、そういった絶対的な球種は見当たらない。 その他 牽制は適度に鋭いものがあり、走者を出すと結構じっくりボールを持てる選手。クィックも、0.9秒台で投げ込めるなど、大型右腕ではあるが動けないとか、体のキレが悪い選手ではない。 (投球のまとめ) まだまだ素材型の粋を脱しきれず、一冬越えた時にどのぐらい圧倒的なものを身につけているかではないのだろうか。現状は、一ドラフト候補といった感じで、特別なものは感じられなかった。ただし、これだけのスペックですでにある程度できる選手なので、伸び代も含めると楽しみな選手という期待感はいだきたくなる。 (投球フォーム) 今度は、フォームの観点から将来像を考えてみた。ノーワインドアップから、クィッと足を勢いよく高く位置まで引き上げて来る。軸足の膝はピンと伸び切ることなく力みは感じられないが、全体のバランスとしては並みぐらいだろうか。 <広がる可能性> ☆☆☆ 3.0 引き上げた足を地面に向けて伸ばすので、お尻の一塁側にへの落とすは甘さが残す。そのため体を捻り出すスペースは充分ではないので、カーブやフォークといった球は投げられないことはないが、曲がり鈍くなりやすい。 「着地」までの地面への捉えも並みぐらいで、体を捻り出す時間も平均的。こうなると大きな曲がりの変化球よりも、球速のある小さな変化を中心に、ピッチングの幅を広げてゆくことになりそうだ。 <ボールの支配> ☆☆☆ 3.0 グラブが最後まで内に抱えられ、外に逃げようとする遠心力を内に留めている。したがって軸はブレ難く、両サイドへの投げ訳はつけやすいのでは? しかし、実際は、そこまで両サイドへのコントロールもまだ安定していない。 足の甲での地面の捉えが浅く見えるので、浮き上がろうとする力を充分には抑えられていない。ボールが高めに集まりそうなのものだが、実際のところはそこまで高めに集まっているというよりも、バラついている感じ。「球持ち」も並みぐらいで、現状はストライクゾーンの枠の中に投げ込んでくるといった投球に終始している。 <故障のリスク> ☆☆☆ 3.0 お尻の落としには甘さを残すものの、それほどカーブやフォークを投げ込まなければ負担は少なそう。ただし、チェンジアップのような沈む球がフォークだった場合、かなりの頻度で投げているので、肘などへの負担も生じているのかもしれない。 多少ボールを持っている方の肩が上がり、グラブを持っている方の肩が下がり気味。これも極端ではないのと、それほど力投派ではないので、現状はそこまでなーバスになる必要はないのかもしれない。 <実戦的な術> ☆☆☆ 3.0 「着地」までの粘りは平均的で、ボールの出どころも並みぐらいだろうか。フォームとしては苦になるような感じではないが、長身を活かした角度で、打者は芯でしっかりは捉え難いかもしれない。 振り下ろした腕はしっかり体に絡んで来るなど、粘っこさが感じられる。そのため打者としては、適度に吊られやすいのかもしれない。ボールにもある程度体重を乗せてからリリースできているように見えるが、まだまだ改善の余地は残されていそうだ。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、いずれも平均的なフォームだった。それだけまだ、伸び代を残しているとも判断できる。制球を司る動作も、故障のリスクも平均で、将来的に武器になるほどのボールを身につけられるかは微妙。それだけに伸び代感じさせる一方で、特徴を見出だせずに伸び悩むリスキーさも持ち合わている。 (最後に) まだまだ素材型の粋を脱しておらず、全ては一冬越えた成長次第といった感じがする。そのため、春からチェックしに行って、その成長具合を確認してみたい。果たして、どのような選手に育っているのか? 今から、楽しみな素材であった。 (2023年 秋季大会) |