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庄子 雄大(神奈川大4年)遊撃 176/73 右/左 (横浜高出身) | |
こと走ることに関しては、いまプロに混ぜても球界トップクラスなのではないかと思われる 庄子 雄大 。ただし、個人的には幾つか気になるところがある。その辺について、今回は考えてみたい。 走塁面:☆☆☆☆★ 4.5 一塁までの塁間は、速いときならば3.7秒台を記録する。このタイムは、プロ野球全体を観てもトップクラスなのは間違いない。2年秋のシーズンには、11盗塁を記録。リーグ戦では通算54盗塁を記録しており、8シーズンで割ると、1シーズン平均 6.8個の盗塁を記録しているほど(大学のリーグ戦では5個以上が一つ俊足の目安となる)。圧倒的に盗塁技術が高いかは微妙なものの、トップスピードに乗るまでが早く、野球に適した脚力の持ち主だと言える。 守備面:☆☆☆★ 3.5 この脚力を活かし守備範囲は広いし、キャッチング~スローイングまでの流れも悪くない。ただし、少し待って捕る傾向が強いのと、送球自体が緩いことが多いのは気になっている。元来地肩は強い選手なので、送球を乱さないように慎重に投げているのかもしれない。最終学年での22試合で失策は2個と安定感は出てきているが、際どい状況での送球はどうなのだろうか? という不安は持ってしまう。 走力はプロでも売りにできるレベルになる可能性があり、守備もギリギリの状況でのプレー以外ならば安心して観ていられる。そういった意味では、俊足・好守の遊撃手という見方は間違いではないのだろう。 (打撃内容) 1年春からリーグ戦に出続け、通算打率.330厘 と悪くない。柔らかいハンドリングを活かしミート力は悪くないが、スイング自体はまだまだひ弱さを感じさせるところには気になる材料だ。 <構え> ☆☆☆★ 3.5 左打席から前の足を引いて、グリップを高めに添えています。腰の据わり具合・両眼で前を見据える姿勢・全体のバランスと、それなりの感じはします。 <仕掛け> 平均 投手の重心が下り切った底のあたりで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。この仕掛けは、ある程度の長打力と確実性を兼ね備えた中距離打者や、勝負強さを売りにするポイントゲッターに多くみられる始動のタイミングです。 <足の運び> ☆☆☆★ 3.5 足を上げて回し込み、真っ直ぐ踏み出してきます。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でもさばきたいタイプなのかと。踏み込んだ前の足は、インパクトの際にはブレません。したがって逃げてゆく球や低めの球にも食らいつくことができ、レフト方向にも無理なく打ち返します。 <リストワーク> ☆☆☆★ 3.5 打撃の準備である「トップ」を作るのは早めに作れおり、速い球に立ち遅れる心配はありません。バットの振り出しも、インサイドアウトで出てくるので、真ん中~内角寄りの球を無駄なく振り下ろすのには優れています。その反面、バットのしなりを活かしたスイングではないので、外角の強い球を叩くにはひ弱さを感じてしまいます。 リストワークに優れ、インサイドアウトのスイング軌道からも、当てるのは上手い選手に見えます。その一方で、強く叩く・はじき返すといった部分では、プロの球に対し結果を残せるのかには不安が残ります。 <軸> ☆☆☆★ 3.5 足の上げ下げはそれなりで、目線の上下動も平均的。身体開きも我慢できていますし、軸足の形も崩れていません。そういった意味では、調子の波は少ないのではないかと考えられます。軸足の内モモの筋肉にそれほど強さが感じられないのも、打球が弱々しく感じる要因かもしれません。 (打撃のまとめ) ボールを捉えるのには優れている一方で、プロレベルの球をはじき返せるようになるのには、数年かかるのかなといった印象を受けます。そういった意味では、ドラフト候補でも打撃に関しては本会議クラスではないのかなと感じました。そういったスイングを作り直すのに、数年の時間を要するのではないかと考えています。 (最後に) 足は申し分ない素材ですが、盗塁技術に関してはプロでワンランク引き上げたいところ。守備に関しては、やや下がって補球することが多く、また地肩は弱くないものの、送球を乱さないように緩いものが多いのも気になります。打撃もミート力には優れているものの、プロ仕様のスイングを身に付けるのには数年は要するかなと思います。そういった意味では、個人的にはまだ「旬」ではないとか、もし獲得するとしても育成枠での指名かなとみていました。 ただし、持っている脚力は球界でもトップクラスですし、守備も悪くありません。打撃もミートセンスは高い選手なので、時間をかければ頭角を現してくるそういった可能性は感じます。ただしそれがいつになるのかは見えて来ないだけに、個人的には今の時点で ☆ (支配下級)の評価までには至りませんでした。彼が、どのぐらいの期間で一軍戦力になって行けるのか、個人的にも気になるところです。 (2024年秋 横浜市長杯) |