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| 渡部 聖弥（大商大４年）中堅 １７７／８８ 右／右 （広陵出身） | |
今年の指名選手の中でも、かなりの確率でモノになるだろうという確信めいたものがあるのが、渡部 聖弥 。今後は、牧 秀悟（DeNA）のような存在に、なってゆくのではないのだろうか。 守備面：☆☆☆★ 3.5 昨年までは中堅手だったが、最終学年はサードメインで、セカンドなどを守ることもあった。三塁手としての動きもまずまずで、広い守備範囲を誇る。多少まだミスなどもあると思うが、サードとしてのボールに向かってゆく姿勢がある選手なので、合っているように思える。 年々体つきが立派になってきており、中堅手としての守備範囲が狭くなっていたのが気になっていた。そういった意味では、三塁や場合によっては二塁あたりを担う方が、彼には好いのかもしれない。元々地肩はA級なので、深いところからの送球にも問題はない。経験を積んで行けば、球界を代表するサードになって行けるかもしれない。 走塁面：☆☆☆ 3.0 年々筋力が付いてきたことで、走力は遅くなってきた。この秋も測ったところ、右打席から ４．４５秒前後（左打者換算で ４．２秒前後）と、ドラフト候補としては 平均以下のレベルまで来てしまった。攻撃的なプレースタイルで、元々動けた選手なので、そこまで走力自体は遅くはないと思うが。この秋も、３盗塁は記録していたので。しかし、プロで足を売りにしてゆく可能性は、厳しくなってきているのではないかと判断する。 （打撃内容） この秋の成績は、１２試合（４８打数） １本 １０点 ３盗 打率.４３８厘 で、２度目の首位打者に輝いた。春は引っ張りにかかって打撃が崩れていたが、この秋はセンターから右への意識を取り戻し、復調することに成功した。 ＜構え＞ ☆☆☆★ 3.5 右打席から、前の足を軽く引きカカトを浮かせて立ちます。グリップは高めに添えられ、後ろ足にやや体重を預けて構えている。そのため、少し全体のバランスや両眼で前を見据える姿勢は並ぐらいといった感じはします。それでも、打席では高い集中力が感じられます。 ＜仕掛け＞ 平均 投手の重心が下がりきったあたりで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。この仕掛けは、ある程度の確実性と長打力を兼ね備えた中距離打者や、勝負強さを売りにするポイントゲッターに多くみられる始動のタイミングです。 ＜足の運び＞ ☆☆☆☆ 4.0 足を引き上げて、軽くベースから離れ方向に踏み出すアウトステップを採用。始動～着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応。アウトステップするように、意識は若干内角寄りにあるように思えます。 踏み込んだ足元も、インパクトの際に我慢できていました。この春は、これが我慢できず引っ張りにかかっていたのですが、そういった部分は修正できたみたいです。そのため今は、逃げてゆく球や低めの球にも食らいつくことができますし、センターから右方向にも自然に打球が飛ぶようになっています。 ＜リストワーク＞ ☆☆☆★ 3.5 打撃の準備である「トップ」の形を作るのも、早めに作れるようになりました。昨秋あたりは、バットを引くのが遅れて速い球に立ち遅れ気味でした。バットの振り出しは、けしてインサイドアウトではありません。しかし、外角の球を捉えるまでには大きなロスは感じられませんし、バットの先端であるヘッドも下がってないので、打球はフェアゾーンに飛びやすいです。 スイングの弧は大きめに取れていますが、以前ほどフォロースルーを使って打球を遠くにという意識は薄れているのかもしれません。むしろバットの捉える接地面を広げて、打ち損じを減らしているようにも感じました。それでも年々体つきが立派になっているので、捉えた打球は強烈です。 ＜軸＞ ☆☆☆★ 3.5 足の上げ下げはソコソコなので、目線の上下動もそれなり。身体の開きは我慢できていますが、少し軸足が前に傾きがちです。身体が突っ込まないように、注意したいところです。それでも軸足の内モモの筋肉は発達しており、強烈な打球を生み出す原動力になっています。 （打撃のまとめ） 結果を求めて引っ張りにかかっていた春と違い、この秋はセンターから右方向への意識が強かったと言えます。また、トップを作るのが遅くなるのも修正されていましたし、素直に自分の打撃を見直すことができたことが、好結果につながったと考えられます。元々ボールを捉える能力は高い選手で、それに力強さも加わってきた。そういった意味では、自分は中距離打者でポイントゲッタータイプだという認識し、強い打球を打つということに徹しられれば、成績は好い方向にゆくと考えられます。 （最後に） 打撃に入る時から、非常に打撃への強いこだわりを感じさせる選手。プレーも攻撃的で前向きなので、そのへんはサードなどの守備でも生きそうです。内面の強さ、努力できる才能、自分の形を修正できるセンスなどもあり、かなりの確率で西武の中心打者、ひいては日本代表などにまで、駆け上がって行けるのではないかと思える選手です。そのため、高い評価を最後に記してみたいと思いました。 蔵の評価：☆☆☆☆（1位指名級） （２０２４年 秋季リーグ戦） |
| 渡部 聖弥（大商大３年）中堅 １７６／８１ 右／右 （広陵出身） | |
下級生のときは、アスリート系の体型に見えた 渡部 聖弥 。しかし最近は、何か肉付きも良くなり、少し「豆タンク」のような体型に変わってきた。確かに力強さは増しているのかもしれないが、三拍子揃ってという部分ではどうだろうか？ 走塁面：☆☆☆ 3.0 下級生の時に計測したときは、右打席から ４．２５秒（前後） で駆け抜けていた。これを左打者に換算すると、４．０秒前後に相当。プロに混ぜても、俊足レベルの脚力だった。しかし昨今は、４．３秒台で駆け抜けることが増え、左打者換算だと ４．１５秒前後 と、ドラフト候補としても、並みのタイムに収まっている。リーグ戦の盗塁数も、毎シーズン １，２個 ぐらい。全く動けないわけではないが、足でガンガンアピールしてくる、そういったプレースタイルではない。 守備面：☆☆☆★ 3.5 チームでは中堅を守っていて、当時からけして下手な外野手ではなかった。肩も強く、プロに混ぜても 中の上～上の下 ぐらいはありそう。しかし、以前よりも守備範囲は狭くなっているような気もしなくてはない。プロだと、センターができないわけではないが、両翼になってしまうかもしれないと思うようになってきた。 以前は、守備も走力も基準以上と言えた。しかし今は、走力は並みで、守備も中の上 ぐらいかなといった感じに落ち着いている。打撃が売りの強打者だと思えば評価できるものの、それほど打撃以外のアドバンテージは薄れつつあるように感じている。 （打撃内容） 生粋のスラッガーというよりも、広角に打ち分ける中距離・ポイントゲッタータイプに思える。この秋は、１３試合 １本 １７点 １盗 打率．４０７厘（６位） と相変わらずの好成績。リーグ戦の通算打率は．３６２厘であり、それ以上に全国大会での成績が １１試合で．４７６厘 と高いのが評価できる。 ＜構え＞ ☆☆☆☆ 4.0 前の足を引いて、グリップを高めに添えます。腰の据わりがよく、全体のバランスもまずまず。両眼で前を見据える姿勢もそれなりで、全体的に高い集中力が感じられる。逆にこれが、力みに繋がらないように注意したい。 ＜仕掛け＞ 早め 投手の重心が下る時に動き出す、「早めの仕掛け」を採用。この仕掛けは、対応力を重視したアベレージヒッターに多くみられる始動のタイミングです。 ＜足の運び＞ ☆☆☆ 3.0 足を大きく引き上げて、ベースから離れた方向にアウトステップしてきます。始動～着地までの「間」は取れており、速球でも変化球でもスピードの変化には幅広く対応。アウトステップするように、内角への意識が強そうです。 気になったのは、松山合宿の時に踏み込んだ足元が動いてしまっていたこと。これだと、逃げてゆく球や低めの球はついて行けず、体勢を崩してなんとかファールしている場面が目立ちました。引っ張っての長打を意識しすぎて、スイングを崩している印象を受けます。 普段は、センターから右方向への打球も打てる選手なので、状態が良くなかったか？ 引っ張りを意識しすぎたからだと思います。これが、来年どうなのか見極めたいポイントです。 ＜リストワーク＞ ☆☆☆★ 3.5 打撃の準備である「トップ」を作るのは自然体で、力みなく呼び込めているところは良いところ。しかし、バットを引くのが遅れて、速い球に立ち遅れないように注意したい。バットの振り出しも、多少アウトステップぶん腰が早く開く部分はあるものの、スイング軌道はそこまで遠回りではありません。 したがってバットの先端であるヘッドが極端に下ることもないですし、大きな弧を描きつつ、フォロースルーを使ってボールを遠くに運ぼうとしています。 ＜軸＞ ☆☆☆★ 3.5 足の上げ下げ大きな選手ではあるのですが、頭の位置はあまり動いていません。ただし、この松山合宿では開きが我慢できなくなっていました。軸足は地面から真っ直ぐ伸びて安定していましたし、軸足の内モモの筋肉も発達していて、強烈な打球を生み出す原動力になっています。 （打撃のまとめ） チームでも4番に座るようになり、また強打者としても注目される存在になってきました。そのせいか？ 大きなのを求めるようになり、打撃を崩しているのではないかと心配になります。そういった粗くなっている部分が、最終学年どうなるのか注視したいところです。 （最後に） 良いところを見せようと雑になっているのは正直気になりましたが、打席に入る時に入念な足場の馴らしなどをみると、打撃に相当なこだわりを持った選手であることは伺えます。もう一度最終学年では、守備や走塁を見つめ直し、元来の広角に打ち返す丁寧な打撃ができるのか気にしてみたいところです。西川 史礁（青学大）のような天性の飛ばし屋というよりは、広角に打ち返す技術があり、意識の高い中距離・ポイントゲッターというのが、彼の本質であるように思います。その持ち味で勝負してゆくのか、さらに長打力を追求してゆくのか気になるところです。 （２０２３年秋 松山合宿） |
