24dy-17
井上 幹太(金沢学院大4年)外野 185/96 右/左 (神村学園出身) | |
全日本大学代表を決める今年の平塚合宿において、全ての野手の中で最もスイングが強いなと実感させられたのが、この 井上 幹太 だった。試合ではアピールが充分ではなかったので代表こそ逃したが、リーグ戦で残してきた実績にも目をみはるものがある。 (守備・走塁面) 一塁までの塁間は、4.4秒前後と左打者としては遅い部類。全く動けないわけではないが、足でアピールというのは厳しそうだ。また自チームでは、左翼かDHでの出場が多い選手。平塚合宿での守備をみると、守備範囲はあまり広く無さそうだし、動きも好いとは言えない。地肩に関しては弱くないのだが、低く鋭い返球というよりも高く遠くにといったタイプだった。この守備・走塁面の低さをどう見るかだろう。 (打撃内容) 2年秋にはリーグで三冠王を獲得したり、3年春には5本塁打を放った。リーグ通算で、13本塁打をマーク。この春は、3本塁打・11打点 打率.450厘で、二度目の首位打者に輝いている。 <構え> ☆☆☆ 3.0 前の足を引いてカカトを浮かし、グリップは下げ気味構えます。腰はあまり据わらず全体のバランスとしてはもう一つですが、両眼ではそれなりに前を見据えられています。 <仕掛け> 遅め 投手の重心が下る時に一度引き上げた足を地面に下ろしますが、本格的に動き出すのは投手の重心が前に動き出すときで「遅めの仕掛け」になります。この仕掛けは、ボールをできるだけ引きつけて叩く長距離打者や生粋の二番打者に多くみられる始動のタイミングです。 <足の運び> ☆☆☆ 3.0 足を上げて、ベース側に踏み込むインステップを採用。始動~着地までの「間」は短くに、狙い球を絞りその球を逃さないことが求められます。ベース側に踏み込むように、外角への意識が強そうです。 踏み込んだ前の足は、インパクトの際にもブレずに我慢。そういった意味では、逃げてゆく球や低めの球にも食らいつくことができます。 <リストワーク> ☆☆☆ 3.0 打撃準備である「トップ」を作るのは早めで、始動の遅さを補うことができています。バットの振り出しは、ボールを呼び込む時にバットのヘッドが投手側に倒れ込むため、インパクトまでは少し遠回りに出てきます。内角の球に対しては、それほどロスは感じませんし、インパクトの際にはヘッドが下がっていないので、打球はフェアゾーンに飛びやすいのではないかと考えられます。 バットを強く振れるといった部分では、大学球界でも屈指のものがあります。しかし、それほどフォロースルーを使ってとか大きな弧で打球を技術で飛ばすというよりも、腕っぷしの強さで引っ張ったくタイプかと。 <軸> ☆☆☆☆ 4.0 目線の上下動は少なく、頭の動きは安定しています。体の開きも我慢できていますし、軸足も地面から真っ直ぐ伸びて安定しています。そういった意味では、調子の波は少なそう。軸足の内モモの筋肉も発達しており、強烈な打球を生み出す原動力になっています。 (打撃のまとめ) けして確実性が高いスイングだとは言えませんが、捉えたときの打球の速さには目を見張るものがあります。細かい部分はプロで改善してゆけば好いと思いますし、今はバットを強く振れる、それを可能にできるだけの体の強さを評価したいところです。 (最後に) 守備・走力のレベルが低く、打撃に特化したタイプです。タイプ的には、昨年の 佐藤 啓介(静岡大-広島育成)に似たタイプの打者ではないかと感じました。ただし、佐藤が二塁手だったのに比べると、外野手といった部分でも融通性の部分でどうなのか?というのもあり、指名となると、育成であるかないかかと。打撃の良さを、素直に評価してくれる球団が現れることを願っています。 (2024年 平塚合宿) |