荒巻 悠(上武大4年)三塁&一塁 183/87 右/左 (祐誠出身) | |
大学選手権の時に観た時に、評価を保留していた 荒巻 悠 。 その後のプレーを追ってみて、最終的な結論を下したい。 走塁面:☆☆ 2.0 一塁までの塁間は、左打席から 4.4秒前後 とかなり遅い。しかし、以前に二塁打のときに計測した時には、8.0秒前後で到達するなど遅くはなかった。ただし、走力全体としては、プロに混ぜると 中の下 ぐらいなのではないのだろうか。そのため、プロで足を売りにしてゆくことは無さそうだ。 守備面:☆☆★ 2.5 一塁手としては、けして下手な選手ではない。しかし、三塁や二塁なども守ることがあるが、キャッチングは危なっかしく上手くはない。そういった意味では、内野はいろいろ守れるものの、結局は一塁を守るのが無難だという判断になるかもしれない。こちらも、一塁以外のポジションだと、中の下 ぐらいなのではないのだろうか。ただし、地肩 は、かなり強い部類だと言える。そういった意味では、将来的には一塁や左翼あたりに落ち着く可能性もある。 (打撃内容) 春の打率.444厘に続き、この秋も.458厘 と、リーグ戦では高い打率を残している。この選手は、右にも左にも叩き込める長打力がありながら、追い込まれると食らいつくシブとさを併せ持っているのが特徴だった。 <構え> ☆☆☆☆ 4.0 前の足を引いてグリップの高さは平均的で、バットを立てて構えている。腰はしっかり据わり、両眼で前を見据える姿勢や全体のバランスもまずまず。打席でも固くならないように、常に身体を動かして構えている。 <仕掛け> 遅すぎ 投手の重心が沈みきったあたりでベース側につま先立ちし、本格的に動き出すのはリリース直前という「遅すぎる仕掛け」を採用。この仕掛けを扱うには、日本人レベルの筋力やヘッドスピードだと中々プロレベルの球を打ち返すのには厳しくなる。打撃スタイルとしては、最初に動き出した時に起因するので、中距離・ポイントゲッターというのが、この選手の本質なのかもしれない。春は若干早く動き出し「遅めの仕掛け」ぐらいだったので、その辺意図して始動を遅くしていたのだろうか? <足の運び> ☆☆☆ 3.0 足を小さくステップして、真っ直ぐからインステップしてして踏み出してきます。始動~着地までの「間」がないので、あらかじめ狙い球を絞り、その球を逃さない鋭さは求められます。真っ直ぐからインステップするので、内角寄りも外角への意識が強いのではないのでしょうか。 踏み込んだ前の足は、インパクトの際になんとか我慢。そのため、逃げてゆく球や低めの球にも対しても、それなりに対応することができます。そのため、レフト方向へも大きな打球が飛ばせるのではないのでしょうか。また春は、アウトステップしていたので、内角への意識が強かった打ち方です。いろいろ使い分けているのかもしれませんが、春との違いはその辺でしょうか? <リストワーク> ☆☆☆★ 3.5 打撃の準備である「トップ」の形を作るのは自然体で、力みなくボールを呼び込めているところは良いところ。ただし、始動が遅いだけに余計にバットを引くのが遅れないように注意したい。バットの振り出しは、内角の球に対しては適度に肘を畳んでさばけています。また、外角の球に対しては大きなロスは感じられません。 バットの先端であるヘッドも下がりませんし、広い面でボールを捉えられていてフェアゾーンに飛びやすいです。思ったよりも、フォロースルーを使ってだとか、大きな弧を描いてとか、そういった強打者らしいスイングではありませんでした。 <軸> ☆☆☆★ 3.5 足の上げ下げは小さいので、目線の上下動少なめ。身体の開きも、なんとか我慢できています。また、軸足の内モモの筋肉は発達していて、強烈な打球を生み出す原動力になっています。あとは、軸足は少し前に傾きがちなので、身体が突っ込まないように注意したいところです。 (打撃のまとめ) 始動が遅すぎて、バットを引くのも遅いので、プロのスピードへの対応が一つ鍵になるように思います。タイミングの図り方含めて、確実性が一つ課題になるのではないかと思います。また、言われているほど長打力打者のスイングではないので、そこまで本塁打が出るのかは現状は微妙です。やはり彼に求められるのは、長打力にあるのではないかと思っていますので。 (最後に) 巨人には、左打ちの強打者が不足していて、その辺のニーズを期待されての高い評価だったと考えられます。ただし、対応力や守備位置が限られていることを考えると、支配下で獲得するほどの選手だったかなといった気はしました。そのため ☆ は付けませんが、今後彼がどのような存在になってゆくのか、注視して見守って行けたらと思います。 (2024年 横浜市長杯) |
荒巻 悠(上武大4年)三塁&一塁 183/87 右/左 (祐誠出身) | |
神宮大会の出場を懸けた横浜市長杯では、右に左に本塁打を放ち、学生球界でも上位の長打力があることを示した 荒巻 悠 。今春のリーグ戦でも、3本塁打・15打点 の好成績を残し、健在ぶりをアピールした。 (守備・走塁面) 残念ながら、一塁までの到達タイムは計測できず。しかし、大学選手権では、センターがボール処理をもたつく間に二塁を陥れるなど積極的な走塁が光った。二塁までの到達タイムは、8.0秒前後であり、けして足が遅い選手では無さそうだ。ちなみに今春は、リーグ戦でも3盗塁を記録している。 大学選手権の初戦では、サードとして出場。キャッチングなどに怪しいところはあったものの、肩はかなり強い部類だと考えられる。また、一塁としては、動きの好い方ではないのだろうか? サードとしての安定感に欠けると判断された場合には、将来的に外野を担うことになるかもしれない。 守備・走塁共に、充分にはわからない部分もあった。しかし、走力も肩も基準レベル以上のものはありそうで、足でアピールするタイプではないが、身体能力的にプロ野球選手として大きく見劣ることは無さそうだ。 (打撃内容) 打球に角度をつけて飛ばすというよりも、強烈な打球が、そのままスタンドに突き刺さる感じだろうか。フルスイングして来る選手ではあるが、ヘッドを残してうまく拾ったりと、技としぶとさも兼ね備えていて、今春のリーグ戦では .444厘 のハイアベレージ残している。 <構え> ☆☆☆☆ 4.0 前の足を軽く引いて、グリップの高さは平均的。腰を沈ませて構え、全体のバランスとしては悪くない。両眼で前を見据える姿勢もそれなりで、全体に理にかなった構えではないのだろうか。 <仕掛け> 遅め 投手の重心が下がりきって、前に移動する段階で動き出す「遅めの仕掛け」を採用。この仕掛けは、ボールをできるだけ引き付けてから動き出す、長距離打者や生粋の二番打者に多くみられる始動のタイミング。彼の場合は、前者のタイプではないかと。 <足の運び> ☆☆☆ 3.0 足を小さくステップさせて、軽くアウトステップ気味に踏み込んできます。始動~着地までの「間」は短く、あらかじめ狙い球を絞り、その球を逃さないことが求められます。アウトステップ気味ですが、それほど極端ではありませんので、内角への意識が少し強いぐらいでしょうか。 インパクトの際には、なんとか踏み込んだ足元がブレずに我慢。そのため、逃げてゆく球や低めの球に対しても、ある程度食らいついてゆくことができていました。ただし、ステップは狭めなので、打てるポイントは狭いのかなといった印象を受けました。 <リストワーク> ☆☆☆★ 3.5 打撃の準備である「トップ」の形をつくるのは自然体で、力みなくボールを呼び込めているところは好いところ。ただし、始動が遅いだけに、バットを引くのが遅れないように注意したい。 バットの振り出しは、けしてインサイドアウトに出てくるという感じではありません。それでも、外角の球を叩くまでには大きなロスは感じられませんし、バットの先端であるヘッドも下がらないでの、フェアゾーンにボールが飛びやすいです。また内角の球に対しては、肘をしっかり閉じて上からボールを叩けるなど、コースによって違うスイングを使い分けることもできていました。 <軸> ☆☆☆★ 3.5 足の上げ下げは小さいので、目線の上下動は少なめ。体の開きも我慢できていますし、軸足の形も大きくは崩れないで我慢できていました。 (打撃のまとめ) 打てるポイントは狭そうですが、うまく捉えた打球は長打に結びつきやすいのかもしれません。けして確実性が高い打撃とは言えないものの、内外角のさばきも使い分け、バットのしなりを活かしたスイングはプロ使用ではあるように思います。時間はある程度かかるかもしれませんが、大化けする可能性は秘めています。 (最後に) ポジション的には三塁が怪しく、一塁ならばといった感じで評価され難いのは確か。しかし、肩・足の身体能力は悪くないので、将来的には外野を担うようになるかもしれません。強く遠くに飛ばせる資質はあるので、そういった部分が面白いと、育成枠あたりでならば指名があるかもしれません。個人的にも、秋まで追いかけてその可能性がどうなのか見極めてゆきたいところです。 蔵の評価:追跡級! (2024年 大学選手権) |