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山縣 秀(早稲田大4年)遊撃 176/80 右/右 (早大学院出身) 





 「何でもできる」





 チームの2番打者として、あらゆる作戦が可能なのが、この 山縣 秀 。 一見ひ弱な打者に見えるのだが、根本的なミート能力があるので、状況に合わせて様々なプレーが可能な選手なのだ。


走塁面:
☆☆☆★ 3.5

 一塁までの塁間は、右打席から 4.2秒前後 。これを左打者に換算すると、3.95秒前後に相当しドラフト候補としても俊足レベル。リーグ戦での盗塁は、この春でも3盗塁と多いとは言えない。しかし、状況に応じてセーフティバントで揺さぶって来るなど、走塁を活かす意識は低くない。

守備面:
☆☆☆☆★ 4.5

 打撃スタイルは、典型的な
「つなぎの二番タイプ」と地味な役回り。その一方で、自慢の守備では実にアクロバティックの動きを魅せる。それこそ飛んだり跳ねたりとしながら、難しい体勢からでも送球してくる。それも瞬時に、ワンバウンドの方が良いと思えば、無理せずにノーバウント送球をしようとはしない、機転の良さも彼の良いところ。堅実な守備というよりも、守備は相当派手なタイプだと言えよう。しかし、それを可能にするのは、確かな技術と身体能力の高さにある。かつてメジャーのショートの代名詞といえば、「オズの魔法使い」と評された オジー・スミス を彷彿とさせるタイプなのだ。彼の守備に関しては、一見の価値があると言えよう。プロに混ぜても、守備で異彩を放つことが期待できる。





(打撃内容)

 
これまでリーグ戦でも2割台だった打率が、この春は 打率.366厘(4位)と急成長。スイングの弱々しさは否めないが、当てる能力は高いので、簡単に三振しないのは良いところ。典型的なはじき返す「つなぎの2番打者」を実践している。

<構え> 
☆☆★ 2.5

 両足を揃えたスクエアスタンスで、
グリップは下げて脱力できている。腰の据わり具合・両眼で前を見据える姿勢・全体のバランスとしてはもう一つで、構えからして、あまり打てる気配して来ない。何か、嫌らしそうというのが伝わってくるようになれば良いのだが ・・・ 。

<仕掛け> 早め

 投手の重心が沈み始める時に動き出す、「早めの仕掛け」を採用。この仕掛けは、対応力を重視したアベレージヒッターに多くみられる始動のタイミングです。

<足の運び> 
☆☆☆★ 3.5

 足を上げて回し込み、軽くアウトステップ気味に踏み込んできます。始動~着地までの「間」は取れているので、速球でも変化球でもスピードの変化には幅広く対応できます。また少しアウトステップ気味に開いてくるので、やや意識は内角への意識が強いのではないのでしょうか。

 インパクトの際には
足元が止まって動かないので、アウトステップ気味でも甘めの外角球や高めの球ならば、問題なく右方向にも打ち返すことができています。

<リストワーク> 
☆☆☆★ 3.5

 打撃の準備である「トップ」の形を作るのは自然体で、
力みなくボールを呼び込めているところは良いところ。ただし、「トップ」自体が浅いので、弓矢の弓をしっかり引かないまま放つ感じになり、強い打球が望めないのが彼の打撃がひ弱に見える要因かもしれません。

 振り出し自体は、上からミートポイントに振り下ろして来るインサイドアウトのスイング軌道。特に内角寄りの球を引っ張るのには適していますが、
外角の強い球に対しては、バットのしなりを活かせないので強く打ち返すことがあまりできません。プロに混ざっても、打撃では苦労するのではないのでしょうか。

 それでもインパクトの際には、
バットの先端であるヘッドまで下がらないので、フェアゾーンにボールが飛びやすい感じ。力負けしないスイングを身につけられれば、根本的な当て勘は悪くないと観ています。

<軸> 
☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げはそこそこで、目線の上下動はそれなりといった感じ。腰は多少早く開くものの、ある程度のところで開きを抑えることができています。軸足の形が前に傾いたりと
ツッコミやすい傾向が観られるので、調子の波が比較的大きなタイプなのかもしれません。

(打撃のまとめ)

 グリップを下げ気味に構えたり、トップを作るのが自然体なので、打席でもリラックスして
柔らかくリストが使えるところが良いところ。トップの浅さやインサイドアウトのスイング軌道から、プロの強い外角を球に対し、いかに力負けしないかが鍵になりそうです。根本的なミート力はあるので、そういったスイングが改善されてくると、率も残せるようになれるかもしれません。


(最後に)

 右打ちのショート、それも守備に関しては、
今年の遊撃手の中でも屈指のレベルにあります。ただし、打撃に関しては、何年かプロのレベルに適応するのには時間がかかりそう。ここを改善できると判断した球団が、リストにいれてくるのではないのでしょうか。プロでも守備で異彩を放てる可能性があるだけに、本会議中での指名も期待できるのではないかとみています。


蔵の評価:
 (下位指名級)


(2024年 平塚合宿)