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宮原 駿介(東海大静岡キャンパス4年)投手 175/83 左/左 (静岡学園出身) 
 




 「力強さを増している」





 昨年までは、投手としてはまとまりはあるものの、球威や球速に欠けドラフト候補といった匂いがしなかった 宮原 駿介 。しかし、今年に入る力強さを増し、実戦型のサウスポーとして魅力を増してきた感がある。


(投球内容)

 この春のリーグ戦では、
8試合に登板し、5勝1敗 54回 25安 17四死球 79三 防 1.17 の好成績を残している。

ストレート 常時145キロ前後~MAX148キロ 
☆☆☆★ 3.5

 昨年までは、常時135キロ前後といった感じだったので大幅に球速を増している。平塚合宿では2イニング限定というのもあり、普段のリーグ戦よりは力を入れて投げられたというのはあるのだろう。それでも、短いイニングでならば、このぐらいのボールが投げられるというのがわかったのも大きい。マイガンでも92マイル・148キロを記録してました。

 球速だけでなく、
球威も付いて実に力強くなってきた。両サイドに散らせるコントロールがあり、四死球で自滅するタイプではない。ただし、コーナー一杯にとかいった繊細なコントロールをというよりも、安定して枠の中に集められる制球力があるといったタイプだろうか。

変化球 スライダー・カット・チェンジアップなど 
☆☆☆ 3.0

 スライダーとのコンビネーションで、カウントを整えてきます。他にも140キロ前後のカットボール、あまり精度が高いとは思いませんが、チェンジアップ系の球もあるように見えました。ただし、この球はあまりブレーキが利いておらず、高めに浮いたところを打たれていました。まだ追い込むと、
真っ直ぐ以外に仕留められる変化球がなく、その点は正直気になりました。

その他

 牽制は観られませんでしたが、しっかり走者に目配りをしていました。クィックは、1.1秒前後と、それなりといった感じです。元々マウンドさばきの好い好投手タイプなので、
投球以外のプレーにもセンスを感じさせる選手です。

(投球のまとめ)

 まとまりのある好投手タイプから、力と技を兼ね備えた実戦派へと変貌してきました。まだ、それほど細かいことができるわけではないのと、変化球に絶対的なものがないところは気になります。それでも、大学からの指名を意識できるレベルになってきました。






(投球フォーム)

 セットポジションから、足を引き上げる勢いや高さはそれなり。軸足一本で立った時にも、膝から上がピンと伸び切ることなく、力み無く立てているところは好いところ。

<広がる可能性> 
☆☆☆☆ 4.0

 お尻は適度に三塁側(左投手の場合は)に落とせており、体を捻り出すスペースを確保。そのため、カーブやフォークを投げるのに無理は感じられません。フォークの場合、手の大きさなどの関係もありますが、そういった緩急や落ちる系のボールを投げられる下地は持っています。

 「着地」までの地面の捉えも早すぎることはなく、体を捻り出す時間も確保。こうなると、曲がりの大きな変化球の習得も期待できるので、将来的には、もっと好い変化球を身につけて行けるのではないかと感じます。

<ボールの支配> 
☆☆☆☆★ 4.5

 グラブは最後まで内に抱えられており、外に逃げようとする遠心力を内に留めることができています。したがって軸はブレ難く、両サイドのコントロールも安定しやすいはず。足の甲での地面の捉えもできており、浮き上がろうとする力も抑えられています。そのため、高めに抜けたり・集まりがちということは無さそうです。「球持ち」も悪くないので、もっと微妙なコントロールがついても不思議ではないように感じました。

<故障のリスク> 
☆☆☆☆ 4.0

 お尻の落としもできているので、窮屈になり難くく肘などへの負担は少なそう。腕の送り出しでは、ボールを持っている方の肩が上がり、グラブを持っている方の肩が下がりがちなものの、極端ではないので肩などへの負担も許容範囲のように感じます。また、それほど力投派でもないので、疲労を溜めやすいというタイプではないように感じます。

<実戦的な術> 
☆☆☆☆★ 4.5

 「着地」までの粘りも適度に作れている上に、ボールの出どころも隠せています。打者としては、見えないところからズバーンとボールが来る感じがするのではないのでしょうか。

 
腕も強く振れており、打者としては吊られやすい腕の振りです。ボールにも適度に体重を乗せてからリリースできており、投げ終わったあとにも地面を力強く蹴り上げられています。

(フォームのまとめ)

 今年の候補の中でも、
フォームの完成度・技術の高さという意味では指折りの素材だと言えると思います。まだ、その土台の割に、繊細な投球や変化球のレベルが追いついてきていない感じはします。しかし、土台はしっかりしているので、確かな指導を受けてやってゆけば、技術的には段階を踏んでの進化が期待できそうです。


(最後に)

 大学生としては完成度が高い素材ですが、本当の意味で一軍で活躍できるようになるには、ファームで一年ぐらいの時間は必要かもしれません。それでも将来的には、チームにとっては大きな役割を果たせる可能性を感じます。現時点でのパフォーマンス的には、☆☆ (中位指名級)ぐらいだと思います。しかし、フォームの土台の良さや投手としてのセンスの良さも加味すると、実際の能力はそれ以上になっていっても不思議ではありません。個人的には、今年の候補の中でも
イチオシの一人になりそうです。


蔵の評価:
☆☆ (中位指名級)


(2024年 平塚合宿)