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吉鶴 翔瑛(法政大3年)投手 175/79 左/左 (木更津総合出身) | |
けして派手さのあるタイプではないが、少しずつ良くなっているのを実感させられるのが 吉鶴 翔瑛 。3年秋の 武内 夏暉(国学院大)投手も、今の時期はこのぐらいのパフォーマンスだった記憶がある。最終学年でのさらなる上積みがあれば、最上位での指名も現実味を帯びてくるのではないのだろうか。 (投球内容) キャリアハイとなった3年秋のシーズンは、9試合 3勝2敗 33回2/3 23安 9四死 35三 防 1.87(3位)の好成績を残した。 ストレート 145キロ前後~後半 ☆☆☆★ 3.5 驚くようなボールは投げないものの、適度に勢いと球威は感じられる真っすぐを投げ込んでくる。そのため被安打率も、68.3% と、かなり低く抑えられる。コントロールも、細かいコースの投げ分けは見られないが、四死球率 26.7% とまずまずでコントロールで自滅するような危うさはない。 変化球 スライダー・カーブ・ツーシーム・チェンジアップなど ☆☆☆★ 3.5 大きく横滑りするスライダーに威力があるので、左打者には厄介な印象。他にもチェンジアップやツーシームなどの、右打者の外角に小さく逃げてゆく球もあり、緩いカーブも混ぜてくる。強烈なフィニッシュボールがあるわけではないが、変化球の精度・キレは悪くない。そのため、投球回数を上回る奪三振も奪えている。 その他 牽制も下手では無さそうだし、クィックも1.05秒前後で投げ込める素早さもある。一球ごとに投げるタイミングを変えたりと、いろいろ考えて投球もできている。元々が好投手タイプだったので、そういった工夫は随所に投球からは感じられる。 (投球のまとめ) そんなに凄い球を投げるわけではないが、安定して試合を作れる基礎的な土台はしっかりした投手。フォーム的にはオーソドックスに見えるが、左打者から遠くに逃げてゆくスライダーが有効なので、対左打者は右打者相手よりも得意としている。極端に数字には違いは見られないが、むしろ右打者の内角をもっと突くなど、右打者への投球に課題を残している。少なくても、左腕の割に左打者に弱いという、左腕としての有難味に欠けるタイプではないということは、頭に入れておきたい。 (投球フォーム) 今度は、フォームの観点から考えてみよう。セットポジションから、足を引き上げる勢い高さは並ぐらい。軸足の膝はピンと伸び切ることなく力みは感じられないが、全体のバランスとしては並ぐらいか。 <広がる可能性> ☆☆☆★ 3.5 比較的お尻は三塁側(左投手の場合は)に落とせていて、身体を捻り出すスペースは確保できている。そういった意味では、ひねり出して投げるカーブやフォークを投げるのにも無理は感じられない。 また「着地」までの地面への捉えもそれなりで、身体を捻り出す時間もある程度確保。武器になるほど球種を身に付けられるかは微妙だが、多彩な変化球を習得できる土台があり、変化球のキレは全般に悪くない。 <ボールの支配> ☆☆☆ 3.0 内に抱えられていたグラブが、最後身体から離れて解け気味なのは多少気になる。こうなると、軸のブレを充分抑えられているかは微妙で、実際両サイドへのコントロールも繊細ではではない。 足の甲での地面の捉えも若干浅くは見えるが、できていないわけではない。低めに押し込めるほどかは微妙だが、高めに抜ける球が多いとか、高めに集まりやすいということはなさそう。「球持ち」自体は結構良いので、指先である程度ボールをコントロールはできている。 <故障のリスク> ☆☆☆★ 3.5 お尻の落としは悪くはないので、カーブやフォークを投げても窮屈になることは少なそう。また、そういった球もあまり投げて来ないので、現時点ではあまり気にしなくても良さそう。 腕の送り出しも、多少ボールを持っている肩が上がり、グラブを持っている方の肩が下がる傾向はあるものの、そこまで違和感は感じない。多少投げ終わったとバランスを崩すほどのことはあるが、そこまで力投派ということもないので、疲労を溜めやすいこともなさそうだ。 <実績的な術> ☆☆☆★ 3.5 「着地」までの粘りも適度に作れており、打者としては合わせやすいわけでは無さそう。ボールの出処も隠せているので、投げミスをしなければ踏み込まれる心配も無さそうだ。 腕もしっかり振れており、身体に絡んでくる。ボールの出処も隠せているので、ボールになるような変化球や高めの球にも打者は吊られやすいのではないのだろうか。ただし、投げ終わったあと身体が三塁側に流れてしまうので、作り出したエネルギーをロスしてしまっている。適正なステップ幅を取れるように、股関節の柔軟性や下半身の筋力を強化できると、もっと打者の手元までボールがゆくようになるのではないのだろうか。 (フォームのまとめ) フォームの4大遠うさである「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「体重移動」に課題を抱え、あとの部分は悪くないフォームとなっている。制球を司る動作には甘さを残す分、まだアバウトなところが(四死球で自滅するほどではないが)。故障のリスクも、そこまで高いフォームでは無さそう。武器にするほどの変化球の習得は微妙だが、変化球全般はまずまずのキレが期待できるフォームだと判断する。そういった意味では、絶対的ではないにしろ、適度にまとまった実戦的なフォームには仕上がっている。 (最後に) まだ図抜けた存在ではないが、投球の土台がしっかりしている左腕なので、上位指名(2位以内)も意識できる素材ではないのだろうか。さらに、最終学年で上積みが望めれば、最上位(1位指名)の可能性も出てくると見ている。期待して、最終学年での成長ぶりを見守りたい1人です。 (2023年 秋季リーグ戦) |