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山城 航太郎(法政大4年) 投手 180/80 右/右 (福岡大大濠出身)





 「スライダー投手」





 確かに時々投げ込む真っ直ぐは、コンスタントに150キロ近く出る 山城 航太郎 。しかし、投球の多くは変化球で構成され、本質的には技巧派投手なのではないかと思っている。


(投球内容)

 3年秋からリーグ戦で登板するようになったが、本格的に試合に出るようになったのは4年秋から。今シーズンは、
7試合 14回2/3 10安 3四死 13三振 防 1.84 といった内容だった。

ストレート 145キロ~150キロ台前半 
☆☆☆★ 3.5

 真っ直ぐの勢い・威力は確かにあり、時々
ズバッと打者の内角に投げ込んできた時には威力があります。ただし、かなり真っ直ぐのコマンドが低く暴れているので、どうしても変化球に頼らざるえないというのが現状のようです。

変化球 スライダー・カーブ・フォークなど 
☆☆☆ 3.0

 
信頼できる変化球はスライダーで、この球とのコンビネーションが中心。余裕がある時には、緩いカーブを織り交ぜてきます。縦の変化球もあるのですが、まだ精度が低く、信頼できるほどではないように思います。ただし、スライダーではカウントは整えられるものの、打者の空振りを誘う、そういった球ではありません。

その他

 
クィックが1.2秒台と遅めなので、鋭い牽制を多く混ぜてきます。フィールディングの動きなどは非常に良いので、クィックが上手くないのは何故なのかな?といった気はします。それほど、まだ「間」を活かしてとか、微妙な出し入れをするとか、そういった投球術は無さそうです。

(投球のまとめ)

 まだまだ素材型の域を脱していない感じで、洗練されている感じではありません。クィック含めて、プロに入っても数年基礎を固めるに費やす必要があるのではないのでしょうか。それでも根本的なスペッはが高いだけに、プロの環境で大化けするのを期待してみたい素材ではありました。





(投球フォーム)

 セットポジションから、足を引き上げる勢いは並ぐらいも、高い位置まで引き上げてきます。軸足の膝はピンと伸びがちで力みは感じられるのですが、高く引き上げた足も相まってバランスは保って立てています。

<広がる可能性> 
☆☆☆ 3.0

 引き上げた足は地面に向けがちなので、お尻の一塁側への落としには甘さを残します。そのため、カーブやフォークといった捻り出して投げる球種が投げられないことはないと思いますが、その変化は鈍くなりやすいのではと。

 「着地」までの地面の捉えも平凡で、身体を捻り出す時間も並ぐらい。そのため曲がりの大きな変化というよりも、球速のある小さな変化を中心に、投球の幅を広げてゆくことになるのではないのでしょうか。

<ボールの支配> 
☆☆☆☆ 4.0

 
グラブは最後まで内に抱えられ、外に逃げようとする力を内に留めることができています。したがって軸はブレ難く、両サイドのコントロールはつきやすいように思えます。また、足の甲でも地面をしっかり捉えているので、浮き上がろうとする力も抑えられています。そういった意味ではボールが低めに集まりそうなものです。

 気になるのは、その割に
制球が暴れてボールが抜けることが少なくありません。一つは、まだリリースが不安定で再現性が低そうだということ。もう一つ、リリース時にボールが押し込めておらず、そのへんが抜けてしまう要因になっているのかもしれません。

<故障のリスク> 
☆☆★ 2.5

 お尻の落としに甘さはあるものの、それほどカーブやフォークといった捻り出して投げる球種は使ってきません。今の頻度ぐらいであれば、そこまで気にする必要は無さそう。

 むしろ、ボールを持っている肩が極端に上がり、グラブを持っている肩が下がっているので、
腕の送り出しに無理が感じられます。そのため、肩への負担などは大きいそうなこと。まだ力投派というよりも、身体を活かしきれていないタイプなので、疲労はそれほど溜めやすいというほどでは無さそうです。

<実戦的な術> 
☆☆☆ 3.0

 「着地」までの粘りは平均的で、ボールのみやすさも並ぐらいといった感じで可も不可もありません。ただし
腕はしっかり振れているので、もう少しボールが見え難くなると打者も吊られて三振が多く奪えそう。まだしっかり体重を乗せきる前にリリースを迎えてしまっているので、球速は出ても打者の手元までの勢いや伸びというのは発展途上のように思います。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、全ての動作に改善の余地が残されており、そこを伸び代と見ることもできます。ボールの押し込みが足らず高めに抜けがちな制球や、肩への負担の大きいそうな腕の送り出し。将来的に武器なるほどの変化球を見出だせるのかといった心配もあり、それなりに
リスキーな側面を持ったフォームだと言えます。


(最後に)

 大学4年秋になって、ようやく本格化してきた遅咲きの選手です。スペック的にはまだまだ余力を感じますので、プロの指導や環境で己を高めて行けるか? そこが期待できるのであれば、プロ入り後の大化けも期待できそうです。そこに期待して、
 (支配下級)の評価を記してみたいと思いました。


蔵の評価:
(下位指名級)


(2024年秋 秋季リーグ戦)