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長島 幸佑(富士大4年)投手 186/82 右/右 (佐野日大出身) | |
逸材揃う今年の富士大の中でも、その体格が目をひく 長島 幸佑 。大学生ではあるが、数年後を期待しての発展途上の投手だと言えよう。 (投球内容) この秋の成績は、6試合 1勝0敗 14回 13安 5四死 11三 防 3.21 で、けしてリーグでも圧倒的な成績を残していたわけではありません。 ストレート 145キロ前後~150キロ ☆☆☆ 3.0 均整の取れた体格から繰り出す、角度のある球筋に特徴があります。ただし、真っ直ぐが高めに浮いたところを打ち返されるケースが多く、ゾーン内での制球力や簡単に打ち返されてしまう球質に改善が求められます。 変化球 スライダー・カーブ・スプリットなど ☆☆☆ 3.0 スライダーや緩いカーブなどでカウントを整えてきつつ、積極的に縦の変化を使ってきます。この縦の変化は、それほど空振りを奪うというよりも、低めを意識させたり、引っ掛けさせるといった感じのスプリット。まだ速球含めて、ここぞの場面で空振りが取れる球はありません。 その他 クィックは、1.05~1.20秒 ぐらいと平均的。特に鋭い牽制を入れてくるといった感じではなく、それでいてボールをじっくり持って走者のスタートを切り難くするような足を防ぐ技術は高くありません。また、微妙なコースを出し入れするとか、そういった投球技術もこれからといった気がします。 (投球のまとめ) もう少し、真っ直ぐの威力・精度や、縦の変化で空振りが取れるようになって欲しいといった部分はあります。それほど荒れ荒れの素材ではないのですが、細部の詰めやレベル向上をプロで引き上げられるかに懸かっています。 (投球フォーム) セットポジションから、足を引き上げる勢いや高さは並ぐらい。軸足一本で立った時に、膝から上がピンと伸び切ってしまい、 トの字 のような形になってしまっている。こうなるとバランスを取ろうと余計な力みに繋がり、制球が悪い投手に多くみられる立ち方になってしまう。 <広がる可能性> ☆☆☆ 3.0 引き上げた足を地面に向けて伸ばすので、お尻の一塁側への落としは甘くなる。カーブやフォークといった球種を投げられないことはないと思うが、その変化は鈍くなりがち。 「着地」までの地面の捉えはそれなりで、身体を捻り出す時間はある程度確保。したがって、カーブやフォークといった球種以外ならば、曲がりの大きな変化球の修得も期待できそうだ。ただし現状では、それほど空振りを誘えるほどの変化球は持っていない。 <ボールの支配> ☆☆☆ 3.0 グラブをしっかり抱えられるタイプではないが、それほど身体から離れてはいない。そのため、そこまで軸がブレやすくはなく、両サイドへのコントロールを大きく乱す要因にはなっていない。 足の甲での地面捉えが遅めなので、浮き上がろうとする力を充分に抑え込めてはいない。リリースでの押し込み等もあると思うが、高めに甘く浮くことが多い。 <故障のリスク> ☆☆☆ 3.0 お尻の落としに甘さを残す割に、スプリットとはいえ多くの縦の変化球を使って来る。そういった意味では、窮屈になって肘などへの負担が生じていないわけでは無さそうだ。 腕の送り出しに関しては、それほど角度に無理は感じられない。ただし、やや腕が外旋してブンと振って来る傾向にあり、負担が少ないとは言い切れない。それほど力投派ではないので、そこまで疲労を溜め込みやすいタイプには見えないが。 <実戦的な術> ☆☆★ 2.5 「着地」までの粘りはそれなりに作れている上に球筋にも角度があるので捉え難いようにも見えるのだが、開きが早くボールの出どころが見やすい。その上に、ゾーン内に甘く入ってきてしまうところに、ヒットを食らいやすい原因がありそうだ。 腕もそれほど投げ終わったあと絡んで来るような粘っこさや鋭さがまだないので、縦の変化での空振りも誘えていない。ある程度体重を乗せてからリリースできているように見えるが、まだグッと前に体重が乗って行っているといったほどでは無さそうだ。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、全体にどれも粘っこさを求めたいところであり、特に「開き」に課題を抱えている。制球を司る動作には、足の甲での地面の捉えが遅いことでボールが高めに集まりやすい。故障のリスクは平均ぐらいで、今後いかにして武器になる球を見出して行けるかではないのだろうか。まだまだ、フォームの観点でも発展途上の選手だと言える。 (最後に) 恵まれたスペックの選手ではあると思うが、現状は何処に活路を見出して行けるのか見つけるのは難しい印象は受けた。全体的に能力を引き上げつつ、縦の変化の精度・キレを磨いてゆくのが大成への近道かもしれない。いずれにしても数年はファームでといった感じにはなると思うので、その中で何を優先し伸ばしてゆくのか? そのセンスと取り組みが高く求められることになりそうな選手だった。 (2024年秋 東北d代表決定戦) |