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シンクレア ジョセフ 孝ノ助(22歳・徳島IS)投手 193/94 左/左 (コチス短大-メアリー大出身) | |
巨体を活かして投げ込む左腕は、理屈抜きに打ち難い。そんなことを改めて実感させてくれるのが、シンクレア ジョセフ 孝ノ助 。カナダ出身ながら、日本国籍を持つ異色の経歴の投手だ。 (投球内容) 埼玉県出身のカナダ人と日本人の母親とのハーフ。中学時代には、カナダ代表として世界選手権にも出場した経歴の持ち主だという。 ストレート 常時140キロ台後半 ☆☆☆★ 3.5 特に手元でキレるとかめっぽう球威があるわけではないが、それでも巨体を生かした威圧感と角度で、どうしても左打者などは腰が引けてしまう。かなり制球はアバウトで、とりあえずストライクゾーンの枠の中にといった感じの投球だが、意外にボールはストライクゾーンの外に外にと散ってくる。 変化球 スライダー・ツーシームなど ☆☆ 2.0 横滑りするスライダーが主な変化球で、この球の精度・キレはさほどではない。むしろ、チェンジアップのようなツーシームの方が縦に変化する感じだが、この球の頻度はスライダー以上に少ない。投球の多くは、真っ直ぐ中心に組み立てられている。変化球に関しては、プロ入り後に磨くことが期待される。 その他 クィックは、1.25~1.35秒ぐらいとやや遅め。左投手だけに、そこまで致命的ではないが、牽制がほとんど観られないだけに、スタートは切りやすそう。ベースカバーなどは素早く入るなど、動き自体は大型でも悪くない。まだ「間」を使ってじっくり持つとか、コース一杯に微妙に出し入れするとか、そういった細かい投球術はみられない。こういった投球以外の部分は、かなりファームでみっちり鍛える必要がありそうだ。 (投球のまとめ) あくまでも現時点では、ストライクゾーンの枠の中に投げ込んで行くといった感じ。細かい投球術・変化球・制球力などなど、プロ入り後に磨かないと行けないことは少なく無さそうだ。そういった意味では、素材型の高校生を獲得したのと、あまり変わらない感じだろうか? (成績から考える) 今シーズン残した成績は、11試合 27回 18安 11四死 21三 防 0.67 だった。チームでは、ほとんどがリリーフでの起用となっていた。 1,被安打は投球回数の70以下 ❍ 被安打率は、66.7%と低く、基準を満たしている。巨体から投げ込まれる威圧感、荒れ球で的が絞り難く、打者としては厄介な相手だと言えよう。ただしボール自体は、そこまで手元の伸びや球威があるタイプではないので、その恐怖心を克服できれば打ち返されて不思議ではない。 2,四死球は、投球回数の1/3(33.3%)以下 ✕ 四死球率は、40.7% と、やや高めとなっている。そこまでノーコンではないが、枠の中での投げ訳は基本的に無さそう。むしろ、それほど意識しなくても、ボールがストライクゾーンの外に外に散っているのが、良い方に作用しているのではないのだろうか。 3,三振は1イニングあたり、0.9個以上 △ 1イニングあたりの奪三振は、0.78個 と、リリーフ投手の基準である 0.9個 には開きがある。実際、変化球のキレ・精度は高くなく、狙って仕留めきれるほどの球はないように見えた。 4,防御率は1点台以内 ◎ 四死球でランナーを出しても、それほど三振が多くない割には防御率が低い。それだけ、打者としても中々連打しての得点が難しいということではないのだろうか。 (成績からわかること) 決め手となるほどはないものの、被安打の少なさと防御率の良さからも、なかなか相手打者としては厄介な存在だということではないのだろうか。成績的には圧倒的ではないので、一軍で即戦力になれるといったほどのものはまだ無さそうだった。 (最後に) 制球力、投球術、変化球 などなど課題も多そうで、今後何を得ることができるかで変わってきそうだ。そういった意味では、数年はファームでの育成が必要で、球団も忍耐強さが求められることになりそう。そのため、素材型高校生を獲ったようなもので、3年目ぐらいに一軍を意識できるレベルに引き上げられるかがポイントとなりそう。ただし、なかなか日本人にはいないスペックだけに、その可能性に賭けてみたくなる気持ちもわかる。現時点では、☆(支配下級)の評価はできないが、育成枠らしい育成枠の選手といった感じで、今後どうなって行くのか見守って行きたい。 (2023年 アイランドリーグ戦) |