23ky-6





佐倉侠史朗(九州国際大付3年)一塁 184/110 右/左 
 




「打力は確か」





 1年秋から、佐々木麟太郎(花巻東)や真鍋慧(広陵)と共に、「左打ちのスラッガー三羽烏」と呼ばれてきた 佐倉 侠史朗 。最終学年では、ドラフト上位候補と位置づけられていた二人に比べると、水を開けられている印象を受けた。


走塁面:
☆☆ 2.0

 ゴロでも全力で駆け抜ける機会がほとんどないので、実際のところの走力はよくわからなかった。ただし、ツーベースの時の二塁到達タイムも 8.5秒前後とそこまで悪くない。実際足を売りにすような選手ではないと思うが、ベースランニング等をみると、そこまで動けない選手ではないのかもしれない。

守備面:
☆☆☆ 3.0

 一塁手としての動きや反応、グラブさばきをみると上手い部類に見える。むしろ、このフットワークならば三塁あたりも、鍛えればイケるかもという思いもある。こればかりは混ぜてみないとわからないが、三塁がこなせるようだと起用の幅も大きく変わってきそうだ。






(打撃内容)

 甲子園では、4打数1安打とセンター前一本に終わった。しかし、ヒット以外の打席でも
バットの芯で捉えており、内容は悪くなかった。夏の福岡大会では、7試合 0本 4点 打率.435厘 といった成績。

<構え> 
☆☆☆★ 3.5

 前の足を軽く引いて、グリップは高めに添えます。腰の据わりも良く、全体のバランスもまずまず。両眼で前を見据える姿勢は並ぐらいも、彼なりに、この形がしっくりするのであれば、これでも良いのではないのだろうか。

<仕掛け> 平均的

 投手の重心が沈む切った底のあたりで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。この仕掛けは、ある程度の長打力や確実性を兼ね備えた、中距離打者や勝負強さを売りにするポイントゲッターに多くみられる始動のタイミングとなる。彼が、あまり天性のスラッガーに見えないのは、この始動にも原因があるのかもしれない。

<足の運び> 
☆☆☆★ 3.5

 足を引き上げて、真っ直ぐ踏み出してきます。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でも、スピードの変化にはそれなりに対応。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でもさばきたいタイプではないのだろうか。

 踏み込んだ前の足も、
インパクトの際に止まっている。したがって、逃げて行く球や低めの球にも食らいつくことができる。また、外角の球をレフト方向に流すこともできる選手でもある。

<リストワーク> 
☆☆☆☆ 4.0

 打撃の準備である「トップ」の形は早めにできていて、速い球に立ち遅れません。ちょっと早めに「トップ」に近いところにグリップ持ってき過ぎて、力みが生じリストワークに遊びが無くなっている恐れはありますが。

 バットの振り出しは、
上からインサイドアウトに出てくるタイプ。そのため、真ん中~内角寄りの球を巻き込むのは非常に上手いです。外角の球に対しても、インパクトまでロスなく振り下ろせています。また、インパクトの際にもヘッドが立って、フェアゾーンに飛ばすのは上手い選手だと思います。ただし、それほどしなりを活かしたスイングではないので、木製バットで流した打球が飛んでゆくのかには疑問も残ります。

 インパクト後も大きな孤を描き、尋常じゃない肉体のパワーも相まって、
巻き込んだ時には凄い打球を飛ばせます。ただし、スイングをみる限り、さほど角度が付くスイングではないので、上手く巻き込めた時にじゃないと、打球は上がり難いのかもしれません。このへんも、思ったほどホームランなどがでない要因かもしれません。

<軸> 
☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げはあるので、目線の上下動は並ぐらい。それでも開きを我慢できていますし、軸足も強く安定しています。特に強烈な打球を生み出す要因として、
軸足の内モモの筋肉の強さを強く実感します。

(打撃のまとめ)

 それほど
タイミングを計るのは上手くないのですが、スイング軌道に無駄がなく、ボールを高い確率で捉えられる技術を持っています。その一方で、軸足の内モモの筋肉は発達しているものの、始動のタイミング・ボールに角度を付けて飛ばすインパクトなどの点では、やはり現時点では中距離打者なのかなといった印象を受けました。この辺は、本人が勝負強さを売りにして行くのか、ホームランアーチストを目指すして行くかでも、取り組みが変わってくるように感じられます。


(最後に)

 守備・走塁でのアピールが薄い、左打ちの中距離ヒッター だと判断されれば、その打力以上に低い評価をされてしまっても不思議ではありません。そのへんは、天性の飛ばし屋と位置づけられていた 佐々木麟太郎 とは違っていたのかもしれないかと。その一方で、打撃技術には素晴らしいものを持っており、守備でも
三塁あたりならばイケるかもという可能性を考えると、育成指名にしてはロマンのある素材ではないかと思える部分もあります。ちょっと未知数の部分もあるのですが、このぐらいの順位で獲られるならば、面白い人材を穫れたといった感じすらします。そのため、(支配下級)の評価は、記しても良い選手ではなかったのでしょうか。


蔵の評価:
(下位指名級)


(2023年夏 福岡大会)








佐倉 俠史朗(九州国際大付2年)一塁 182/104 右/左 
 




 「ちょっと筒香っぽい」





 なんとなく観ていると、横浜高校時代の 筒香 嘉智 を彷彿とさせ雰囲気だなと思う 佐倉 俠史朗 。 今年のドラフト戦線では、一塁手の強打者が目立つ年。そんな中で、誰が本物なのだろうか?


(守備・走塁面)

 残念ながら、一塁までの到達タイムは緩めたものが多く参考にならず。ただし、プレーを見ている限りは、プロでもかなり遅い部類の走力に見えてしまう。そのため、上のレベルで足を売りにすることはないのではないかと。筒香 あたりは、結構足が速かったのに比べると、その差は感じられる。

 一方で、一塁手としての動きは、なかなか良い。他のポジションを担えるかはわからないが、グラブさばきやキャッチングなどの能力は、それなりに高いのではないかと。仮に他のポジションを担うとなると、その走力の無さと長い距離のスローイングがどうなのか? といった部分ではないのだろうか。今のところは、上手い一塁手を追求するのが無難ではあるように思える。


(打撃内容)

 2年夏の福岡大会では、打率.500厘 3本 17打点 と打ちまくって甲子園に来たものの、力が入りすぎて 2試合で 8打数1安打 に終わります。

<構え> ☆☆☆★ 3.5

 前の足を軽く引いて、グリップを極端に高くバットを立てて構えます。腰の据わりは良く、両眼で前を見据える姿勢や全体のバランスとしては並ぐらい。アゴをグッと引いて集中力を感じられる一方、構えから力が入りすぎてガチガチなのは気になります。

<仕掛け> 早め

 投手の重心が沈み始めると動き出す、「早めの仕掛け」を採用。この仕掛けは、対応力を重視したアベレージヒッターに多くみられる始動のタイミングです。

<足の運び> ☆☆☆★ 3.5

 足を引き上げて回し込み、ベースから離れた方向に踏み出すアウトステップを採用。始動~着地までの「間」は取れているので、速球でも変化球でもスピードの変化には幅広く対応できる。アウトステップしているように、内角への意識が強そうです。

 踏み込んだ足元は、地面から離れるのが早い印象はあります。引っ張る時はそれでも良いのですが、左方向に打ち返す時にはどうでしょうか? そのため、逃げてゆく球や低めのへの対応に課題があります。ただし、膝は柔らかく使えているので、開きが早い割には低めの球にもついて行けるタイプかもしれません。ホームランの多くは、ライトスタンドに集中している印象です。

<リストワーク> ☆☆☆★ 3.5

 打撃の準備である「トップ」を早めに作れているので、速い球に立ち遅れる心配はありません。バットも上から振り降りしてくるので、ボールを捉えるまでにロスは感じません。外角の球を、バットのしなりを活かせて飛ばせるのか? といった不安はありますが、バットの先端であるヘッドをうまく残して対応できていました。あとは、どのぐらいレフト方向への打撃をモノにできるかではないのでしょうか。

<軸> ☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げがあるので、目線の上下動はそれなり。体の開きはなんとか我慢できているが、地面からの離れは少し早い。軸足は前には崩れがちではあるものの、軸足の内モモの筋肉は強そうで粘りも感じられる。

(打撃のまとめ)

 打球が引っ張り中心なので、どうしても打てる球は限られているように感じます。踏み込んだ足元も、思ったほど我慢できていないので、打撃の安定感や確実性という意味では課題を感じます。それでも極端に脆い感じはしないので、今後の意識や取り組み次第でグッと良くなるかもしれません。


(最後に)

 走力は期待できませんが、一塁手としては下手ではありません。打撃も確実性には課題を残しますが、まともに巻き込めた時の破壊力には見るべきもの があります。指名に関しては、最終学年の内容次第といった感じで、注目度は高いですけれど、高校からのプロ入りがあるのかは流動的だとみています。


(2022年夏 甲子園)