23ky-39
高見沢 郁魅(敦賀気比3年)三塁 182/81 右/左 | |
長打力よりも、対応力が勝って見える 高見沢 郁魅 。選抜でも攻守に活躍していたが、長打で魅了するタイプではないので、高校からプロといった感じはしなかった選手だと記憶している。そこで今回は、改めて夏の大会をみて、彼の本質に迫ってみたい。 走塁面:☆☆★ 2.5 一塁までの到達タイムは、左打席から 4.3~4.4秒 ぐらい。これは、プロに入る左打者としては、やや遅い部類だと言える。しかし、試合を見ている限り、出塁すると盗塁を試みるなど、走塁への意欲は低くないことがわかる。プロで足を売りにすることは無いと思いますが、けして足を引っ張るタイプでもないのではないのだろうか。 守備面:☆☆☆★ 3.5 高校生の三塁手としては、上手い部類ではないのだろうか。大型故に、それほどプレーにスピード感だとか、動作に切り返しにキレは感じられない。ただし、肩も基準以上ありそうだし、キャッチングに安定感があるので、三塁だけでなく二塁あたりもこなせるようになると面白い。 走力は 中の下 、守備力は 中の上 ぐらいでは評価できそうで、けして動けない、守れない選手ではない。プロ入り後、安定感のある三塁、もしくは二塁までこなせる可能性も感じさせる。 (打撃内容) ツボにはまればスタンドインのパンチ力を秘めるが、対応力が勝った中距離ヒッターといった感じです。この夏も、9打数6安打 と打ちまくりました。 <構え> ☆☆☆☆ 4.0 前の足を引いて、グリップを高めに添えます。背筋を伸ばしつつ、両眼で前を見据える姿勢や全体のバランスもとれた良い構えだと思います。打席での集中力や、リラックス感も程よいのではないのでしょうか。 <仕掛け> 早め 投手の重心が下る時に動き出す、「早めの仕掛け」を採用。この仕掛けは、対応力を重視したアベレージヒッターに多くみられる始動のタイミングです。 <足の運び> ☆☆☆★ 3.5 足を引き上げてから、ベース側から離れた方向に踏み出すアウトステップを採用。始動~着地までの時間は充分あり、速球でも変化球でもスピードの変化には対応しやすいです。しかし、彼の場合は、引き上げた足が早く地面に降りてしまうので、「間」というものがうまく取れていません。そのため、早めに足を上げた効果は薄いように感じます。その辺が、少し抜かれたりすると、タイミングが狂わされやすい要因ではないかと。 アウトステップを採用しているように、内角への意識が高いのではないのでしょうか。踏み込んだ前の足は、インパク際にも動かず。そのため、逃げて行く球や低めの球にも食らいつくことができます。 <リストワーク> ☆☆☆☆ 4.0 打撃の準備である「トップ」の形は早めに作れているので、速い球に立ち遅れ難いのでは? バットの振り出しも、上からミートポイントまでロスなく捉えるので、確実性は高いように思います。また、バットの先端であるヘッドも立てているので、外角低めの難しい球でも、上手く体を残してフェアゾーンに飛ばせます。 しいて言えば、それほどスイングの弧が大きく打球が鋭いとか、フォロースルーを使って打球に角度をつけるとかそういったタイプではないので、破壊力よりも確実性の高いスイングのような気がします。 <軸> ☆☆☆★ 3.5 足の上げ下げは静かなので、目線の上下動は少なめ。体の開きも、踏み込んだ足元が止まって我慢できています。気になるのは、上記にも書いたようにステップ狭めに早めに足が地面を捉えてしまうこと。そのため、軸足が持て余す感じのスイングになり、打てるポイントが限られているようにも感じられます。もう少し軸足で粘るようにしながら、「間」が図れるようになると良いのではないのでしょうか。 (打撃のまとめ) スイング自体は、長打よりも対応力を重視した形。ただし、180センチを越える大型内野手で、バットも振り込んでいるのか? 体幹は強いのではないのでしょうか。そのため、うまく巻き込めたときには、一発も放つことができる、そういったタイプなのだと思います。 あとは、「間」が取れるような感性が生まれてくると、その打撃内容も大きく変わってきそう。三塁の守備で信頼を得つつ、二塁などもこなせるようだと、起用の幅も広がりそうです。現状は、サードにしては破壊力・インパクトの点で物足りません。その辺が良い選手ですが、育成枠まで理由ではないのでしょうか。ただし、対応力を含めた打撃能力は、本会議級の選手に遜色無いようにも感じられます。プロでボールを捉える感覚がつかめるようだと、大化けするかもしれませんね。現時点で育成枠の評価は妥当だと思いますが、将来に可能性を感じさせる選手でした。 (2023年夏 福井大会) |