23ky-36
平田 大樹(瀬田工)中堅 181/73 右/左 | |
フルスイングできるという意味では、全国の高校生の中でも NO.1 だったのではないかと思われる 平田 大樹 。ただやみくもにバットを振って来るわけでもなく、結構ミート力も兼ね備えたフルスインガーなのだ。 (守備・走塁面) 一塁までの到達タイムは、左打席から多少緩めて 4.2秒弱だった。もし、全力で駆け抜けていたならば、4.秒を切るようなタイムが出ても不思議ではない。めっぽう足が速いかは別にしても、出塁すれば次の陥れるなど、攻撃的なプレースタイルの選手だった。 中堅手としては、正面の当たりでの判断で危うい場面もあったが、それを除けば比較的安定していた。落下点までの入りやキャッチングなどをみると、けして下手で動けない選手ではないように見える。2年秋の送球(当時は右翼)をみる限り、ホームオーバーの送球で、肩は強いが精度の点でまだまだ不安は残った。 守備や走塁に関しては、よく掴みきれない部分もあった。しかし、純粋な脚や肩など、身体能力的には高いものはありそう。ただし、精度や技術に関しては、まだまだこれからといった素材なのだろう。 (打撃内容) この夏の滋賀大会では、2試合で 7打数3安打 2二塁打 1本塁打 打率.429厘 といった内容だった。まだまだ荒削りで、レベルの高い投手相手だと、対応しきれない部分はある。それでも、日野戦で放った右中間への一発は圧巻でした。 <構え> ☆☆☆☆ 4.0 前の足を軽く引いて、グリップは高めに添えられています。背筋を伸ばしつつ、両眼で前を見据える姿勢も良く、適度にバランスのとれた構えに。打席でも、力むことなく立てているところは好いところ。 <仕掛け> 平均的 投手の重心が沈みきったあたりで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。この仕掛けは、ある程度の確実性と長打力をバランス良く兼ね備えた、中距離打者や勝負強さを売りにするポイントゲッターに多くみられる始動のタイミングです。 <足の運び> ☆☆☆★ 3.5 足を引き上げて回し込み、ベースから離れた方向に踏み出すアウトステップを採用。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応。アウトステップするように、内角への意識が強そうなタイムです。 踏み込んだ前の足もインパクトの際にしっかり止まっているので、アウトステップでもある程度逃げて行く球や低めの球にも食らいつくことができます。敗れた彦根総合戦では、レフト方向へ飛ばす打球も目立ちました。 <リストワーク> ☆☆☆ 3.0 打撃の準備である「トップ」を作るのは自然体で悪くはないのだが、ボールを呼び込む際に、一度グリップを下げて引き上げる大きなヒッチする動きがみられる。彼独特のタイミングの取り方だと思うが、プロレベルのスピードやキレに対し、この大きな動作のために対応しきれない恐れがある。 バットの振り出しも、バットを寝せて出してくので、けして内側から出てくるようなスイングではない。それでもアウトステップでスペースを開けてくるので、内角の球でもさばけていた。またバットの先端であるヘッドは下がらないので、広い面でボールを捉えフェアゾーンには飛びやすい。そして何よりも、強くバットを振れるといった魅力を持っている。 <軸> ☆☆☆★ 3.5 グリップの動きは忙しいものの、頭の動きは小さく目線は安定している。体の開きも我慢できているが、少し軸足が前に傾きがち。それだけに、突っ込んだり前に出されたりしないように注意したい。また軸足の内モモは細く、強烈な打球は上半身の力に頼ったものであることが伺われる。 (打撃のまとめ) 下半身の動きは悪くないものの、グリップの動きが忙しく、これを修正した時に持ち味が損なわれないかが鍵になりそう。強靭なスイングをしてくる割には、まだまだ下半身の強さはまだまだなので、自慢の打撃でも時間はそれなりにかかるものと思われる。 (最後に) 肩や脚の能力も低くなく、バットが振れたり独特の感性といったものを感じさせてくれる打撃は興味深い素材。ただし、課題も多く、それを改善しようとした時に、持ち味が損なわれないのか? レベルの高い野球に対し、自分の持ち味を損なわずに貫き続けられるかがポイントとなりそうだ。そういった個性を重視してくれる環境であれば、なかなか興味深い素材ではないかとみている。今年みた高校生の中でも、最も印象的な一人だった。育成枠での指名だったが、☆(本会議級)の評価を記したい。 蔵の評価:☆ (下位指名級) (2023年夏 滋賀大会) |