23ky-33
青野 拓海(氷見3年)投手 180/85 右/右 | |
3年春にも選抜に出場していた 青野 拓海 。夏も、背番号1を付けながらも、3番・一塁手として出場する機会が多かった。プロの世界では、パワフルな打力を生かした野手としての起用となりそうだ。 走塁面:☆☆★ 2.5 一塁までの塁間は、右打席から 4.45秒前後 。これを左打者換算すると、4.2秒前後に相当する。ドラフト指名される選手としては、中の下 ぐらいかの脚力の持ち主。実際試合を見ている限り、全く動けない選手ではないものの、足を売りにするタイプではないだろう。ちなみに、最後の試合とないとなった高朋戦では、5打席目にセーフティバント気味の送りバントで、最初から走り出しながらも 4秒を切るタイムを計測している。最後まで、全力で駆け抜ける意識があるのには、好感が持てた。 守備面:☆☆★ 2.5 特に一塁としては、柔らかく足を伸ばして捕球するとか、グラブさばきが非凡だといった感じはしない。この試合でも、なんでもない送球が捕れなかったりと、格段うまい一塁手ではないように思える。しかし、動き自体は悪くない感じで、鍛えようによっては、強肩を生かして三塁や両翼の外野あたりは視野に入れられるかもしれない。 投手としても、クィックは、1.0秒前後~1.1秒ぐらいと素早く投げられていたし、牽制の際のターンなども鋭かったりと、けして動きの悪い選手ではないからだ。投手としては、常時135キロ前後ぐらいと、地肩に関してはそれなりといった感じだろうか。 プロの野手としては、中の下 ぐらいの身体能力に見えるのだが、けして動けない選手でも、動こうとしない選手でも無さそう。そういった意味では、三塁や両翼 あたりの候補としては見ることができるのではないのだろうか。まぁ彼に求められているのは、破壊力のある打力だとは思うのだが。 (打撃内容) 春のセンバツでは、4打数2安打。この夏も6打数3安打と、数字的には悪くなかった。しかし、敗れた高朋戦では、内角を厳しく突かれることで、持ち味を完全に封じ込められてしまった印象。選抜のときにも感じたが、まだまだ粗い印象は否めなかった。 <構え> ☆☆☆☆ 4.0 両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップは平均的な高さに添えられている。腰を深く沈め、両眼で前を見据える姿勢や全体のバランスとしても悪くない。打席でも少し固さは感じられるものの、強打者としての雰囲気が匂ってくる。 <仕掛け> 遅すぎ 投手の重心が下る時に、ベース側につま先立ち。そこから再度本格的に動き出すのが、リリース直前という「遅すぎる仕掛け」を採用。ここまで遅いタイミングでの始動は、プロレベルの球速・キレを考えると、日本人のヘッドスピードや筋力では立ち遅れる危険性が高い。 <足の運び> ☆☆☆ 3.0 小さく足を上げて、ほぼ真っ直ぐ踏み出してきます。始動~着地までの「間」が短いので、狙い球を絞り、その球を逃さない「鋭さ」が求められます。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でもさばきたいタイプではないかと。 踏み込んだ足元は、なんとか動かずに我慢できています。そのため逃げて行く球や低めの球にも、食らいつくことはできています。気になるのは、腰が早く開くタイプなので、甘めの外角球などでないと、厳しいかもしれません。 <リストワーク> ☆☆☆ 3.0 打撃の準備である「トップ」を作るのは早めに作れており、始動の遅さを補おうとしています。バットの振り出しは、腰が早く開く分、けしてインサイドアウトに出てくる感じではありません。引っ張りが得意そうに見えながら、実は内角をさばくのにもスペースが欲しいタイプということになります。スイング軌道自体は、そこまで遠回りに出てくるとか、ヘッドが下がっているといった感じではないのですが。 そのため現状は、内角は厳しく、真ん中~甘めの外角球をといった感じで、さばけるポイントが狭いのが気になります。スイングはパワフルで当たれば飛んでゆくだけの体の強さはあるものの、まだまだ確実性は高くないように感じました。 <軸> ☆☆☆★ 3.5 足の上げ下げが小さいので、目線の上下動は少なめ。腰が早めに開くところを、しっかり踏み込んで足元を止まらせることで、なんとかスイングを成立させているところがあります。軸足の内モモの筋肉は発達しており、強烈な打球を生み出す原動力になっているのではないのでしょうか。 (打撃のまとめ) 始動が遅すぎることによる弊害と、さばけるコースがか狭いことで、まだまだ確実性が低いことがあげられます。これをプロ入り後広げてゆかないと、苦手なところをどんどん攻められて厳しく感じられます。体幹も強さなどがあるので、捉えられれば強烈な打球を飛ばせるタイプなので、いかに精度を引き上げられるかではないのでしょうか。ただし、本質的には、スラッガーというよりも、強烈な打球が抜けて行くタイプで、勝負強さを売りにするポイントゲッターなのではないかと感じました。 (最後に) 楽天は育成会議には参加しておらず、通常ならば育成級の評価だったのではないかと感じます。かなりモノにするのにはリスキーな素材と感じられ、個人的には ☆ (本会議級)の評価にまでは至りませんでした。右の中心打者を育てたい楽天だけに、こういった選手を下位指名からモノにできるようだと、今後のチーム運用や補強方針にも、大きな変化をもたらすことになるのではないかと感じました。今後の楽天の命運を、握る指名になるかもしれません。 (2023年夏 富山大会) |