23ky-27





森田 大翔(履正社3年)三塁  179/70 右/右 





「自分のツボを持っている」 





 このゾーンの球ならば、高い確率でスタンドインさせられる、そういった絶対的な強さを持っている 森田 大翔 。この夏の大会で5本のアーチを架けて、一躍ドラフト戦線に名乗りをあげた。


走塁面:
☆☆ 2.0

 一塁までの到達タイムは、右打席から 4.5秒台 。これを左打者換算すると、4.3秒前後に相当する。ドラフト指名されるような野手としては、遅い部類 。けして盗塁をして来ない選手ではないが、プロで足を売りにして行くといったタイプでは無さそうだ。

守備面:
☆☆☆ 3.0

 時々怪しい動きも観られるが、三塁手としては総じて悪くないし、送球もまずまず安定している。地肩もサードとしては基準を満たしており、今年は一塁手の候補が多い中ではアドバンテージになっている。プロで鍛えてゆけば、三塁も担って行ける素材ではないのだろうか。しいて言えば、横の動きは悪くないのだがが、
打球に対し下がって捕ろうとする傾向があり、その点で三塁手としてはどうなのかな? という若干の不安はよぎらなくはないのだが ・・・ 。





(打撃内容)

 夏の甲子園では、
10打数4安打 2本 5点 打率.400厘 を残し、その活躍が認められ、U-18の日本代表にも選出。そこでも、打率.278厘ながら中軸を担い続け、チームの初の世界一に貢献した。

<構え> 
☆☆★ 2.5

 両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップの高さは平均的。腰があまり据わらず、両眼での前の見据え方や全体のバランスとしてはもう一つ。それ以上に気になったのが、構えた時に体をどこも動かさずに立っているので、どうしても
固く脆そうに見えてしまうこと。体を動かして構えることで、瞬時の反応も素早くなる。

<仕掛け> 早め

 投手の重心が下がり始める時に動き出す、「早めの仕掛け」を採用。この仕掛けは、対応力を重視したアベレージヒッターに多くみられる仕掛けです。ホームランアーチストのイメージが強いバッターだが、本質的には確実性を求めていることが伺われます。

 ただ、甲子園で気になったのは、後半に出てきた変則気味の投手に対し、
タイミングが上手く取れていなかったこと。また、変化球に脆い印象も受けました。タイミングを図るのが、始動が早い割に下手なのではないかと感じます。

<足の運び> 
☆☆☆★ 3.5

 足を引き上げて、真っ直ぐ踏み出してきます。始動~着地までの「間」は取れているので、速球でも変化球でもスピードの変化には幅広く対応しやすいはず。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角の球でもさばきたいタイプなのでしょう。

 踏み込んだ前の足は、インパクトの際に止まって動きません。したがって逃げて行く球や、低めの球にも食らいつくことができています。したがって引っ張りを好む傾向はありますが、
右方向への打球も意識的に放つことはできます

<リストワーク> 
☆☆★ 2.5

 あらかじめ「トップ」に近い位置にグリップを持っていているので、速い球には立ち遅れ難い。ただし、ボールを呼び込む時にグリップが上げる
ヒッチする癖があるようで、ここでタイミングが狂いやすいのではないのだろうか? あと「トップ」自体はあまり上手く作れていないのも、タイミングをあわせるのが下手な理由かもしれない。

 インパクトまでの振り出し、軌道に大きなロスは感じられないものの、バットの先端である
ヘッドが下り気味。こうなると、外角の球に力負けしたり、ファールになりやすい恐れがある。そういったところが出にくい、引っ張りにかかった時に強さを発揮するタイプではないのだろうか。甲子園でのホームランも、インハイの真っ直ぐを見事に巻き込んでのアーチだった。

<軸> 
☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げはあるので、目線の上下動はそれなり。しかし、体の開きは我慢でき、軸足も地面から真っ直ぐ伸びてツッコミは観られません。むしろ気になるのは、
足元が窮屈そうで奥行きがないので、この辺に余裕が出てくると、もっと対応できるポイントが増えてきそうです。

(打撃のまとめ)

 「トップ」を作るのが下手だったり、「ヒッチ」することで脆さが出ているように思われます。また、下半身がしっかり止まっていたり、スイング軌道も悪くない割に、ヘッドが下がってしまうことで外角の球を打ち損じてしまうことも多そうです。そのため、
得意のゾーンと苦手のゾーンがハッキリしているような気がします。


(最後に)

 右打ちのスラッガーで、さらにサードの守備も悪くない。それならば、ものすごく評価されても良いはずなのに、そこまで評価が上がってきません。これは、やはり独特の脆さを現場も感じているからではないかと思われ、これがプロ入り後に修正可能とみるかで評価は変わってきそうです。それでもドラフトでは、3位前後での指名があるのではないかとみています。欠点が極端な穴にならなければ、確実性は高くなくても、一定数割合でホームランを放つことができる、
ホームランアーチスト になりうる素材ではあるとみています。


蔵の評価:
☆☆ (中位指名級)


(2023年夏 甲子園)