23ky-23





星野 ひので(前橋工3年)右翼 182/84 右/右 
 




「印象的な一人」





 この夏みた高校生の中でも、印象的な強打者だったのが、この 星野 ひので 。 夏の大会前には、すでに12球団が視察に訪れていたと訊いていた。その期待に応えるべく、夏の大会でも 8打数4安打 2本塁打 と、結果を残して魅せた。


(守備・走塁面)

 一塁までの到達タイムは、右打席から 4.4秒前後。これを左打者換算にすると、4.15秒前後に相当するタイムで、プロに入る選手としては平均的タイム。ただし、計測した時の打球が、一塁への悪送球でややスピードを落としていたことを考えると、もう少し速いタイムが出ても不思議ではないだろう。50メートルを6秒2で走る走力があるそおうで、プロでも 中  ぐらいの脚力はあるのかもしれない。ただし、体格やプレースタイルからすると、プロで足を売りにして行くといったタイプに育つのかには疑問が残る。

 打球への反応・落下点までの入り、キャッチングなども、平均 レベルはありそう。めっぽう上手いわけではないが、次のプレーも想定したり、カバーリングなどへの意識も低くない。肩に関しては、中の上 ぐらいはありそう。そういった意味では、プロでも 右翼・左翼 あたりならばこなせて行けそうだ。

 守備でも走力でも売りにできるレベルまでとはゆかないまでも、打撃の売りの選手であることを考えれば合格点ではないのだろうか。



(打撃内容)

 捉えた時の打球は見事なのだが、
強打者でありながら脆さがないところも彼の魅力。あとは、もう少し身体やスイングにキレみたいなものが出ててきて欲しい。

<構え> 
☆☆☆★ 3.5

 ほぼ両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップを高めに添えた強打者スタイル。腰の据わり具合、両眼で前を見据える姿勢、全体のバランスはそれなりといった感じで、大きな欠点はない構えだった。

<仕掛け> 遅め

 投手の重心が下がり切って、前に移動する段階で動き出す「遅めの仕掛け」を採用。ボールを手元まで引き付けてから動き出す、長距離打者などに良くみられる始動のタイミングです。

<足の運び> 
☆☆☆★ 3.5

 小さくステップして、軽くベースから離れた方向に踏み出します。始動~着地までの「間」が短いので、あらかじめ狙い球を絞り、その球を逃さないことが求められます。軽くアウトステップするように、内角への意識が若干強いようには感じます。

 それでも踏み込んだ前の足は止まって我慢できているので、甘めの外角球や低めの球にも食らいつくことができます。打球も、引っ張りだけでなく、センターからレフト方向にもはじき返すことができていました。

<リストワーク> 
☆☆☆★ 3.5

 打撃の準備である「トップ」の形を作るのは自然体で、力みがないのは良いところ。ただし、
バットを引くのが遅れがちになるので、その点は注意したいところです。振り出し自体も、少し肘が下がって内から出てきている感じではありません。それでもヘッドを上手く立ててスイングできるので、低めの球でも上手く拾ってヒットにすることができています。そのためタイミングさえ合えば、フェアゾーンに打球を飛ばすのは下手ではありません。

 スイングの孤自体も取れていますし、スイングの最後にはグリップの位置が引き上がってきて、ある程度フォロースルーを使って引っ張った時には打球を運ぶことができていました。意外にパワーで飛ばすというよりも、
上手く乗せて運ぶタイプの打者だと感じます。あとは、スイングや身体にキレが出てくると良いのではないのでしょうか。

<軸> 
☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げが小さいので、
目線は大きくは動きません。体の開きも我慢できますし、軸足の内モモ実に太く力強いです。それだけ強烈な打球を飛ばせる下地があるのですが、やや前に傾きがちで出されているので、体が突っ込まないように注意したいところです。

(打撃のまとめ)

 「トップ」の形成が遅れがちになったり、少しスイングが遠回りに出たり、キレに欠けるところがあります。そういった意味では、
プロのスピードやキレへの対応には一定の時間が必要なのではないかと感じます。その一方で、ギリギリまで引き付けてからの始動や、フォロースルーを使ったボールの運び方、軸足の内モモの強さなどから、将来飛距離を売りにして行ける可能性も感じられます。


(最後に)

 まだまだ精度という意味では粗さはあるものの、将来大化けする可能性は秘めた素材ではないのでしょうか。大物打ちですが、そこまでも脆さが無い点。強打者ですが、守備・走力のレベルが低くない点も買えま。そういった意味では、評価的には 下位指名~育成 ぐらいかもしれませんが面白味のある素材だとみています。上位でスラッガー候補を獲得できなかった球団が、下の順位でそういった候補を獲得する時の候補となってきそうです。


蔵の評価:
 (下位指名級)


(2023年夏 群馬大会)