23ky-21





坂根葉矢斗(履正社3年)捕手 171/90 右/右 





 「総合力は高い」





 履正社では4番を任され、捕手としても総合力に優れている 坂根 葉矢斗 。本人の意欲次第では、高校からのプロ入りも意識できる素材だった。


(ディフェンス面)

 周りにしっかり指示の出せる、リーダーシップあふれる捕手です。ミットを投手に示し、地面に下げるようなこともありません。キャッチングもまずまずで、ワンバウンド処理なども、下から素早くミットが出てきます。まだ、左投手の逃げてゆくスライダーという、最もワンバウンド処理が難しいという球に対してはミスも観られましたが、経験を積んでゆけばフットワークが良い選手なので、改善できるのではないのでしょうか。

 リードも適度に内角を織り交ぜながら、テンポ良くかつ冷静に投手を導くことができていました。スローイングミスなどは選抜ではあったものの、二塁ベース前でもさらに先に伸びてゆくような球筋には、地肩の強さが感じられます。タイムは、1.9秒前後~2.0秒前後と思ったほどではなかったものの、まだまだそのタイムを縮めて行けることが可能だとみます。捕手としての基礎的な部分、総合力はあるレベルで揃っており、高校からプロを意識できるディフェンス力があると評価します。






(打撃内容)

 選抜では、4打数1安打に留まったものの、全体の内容としては悪くありませんでした。ライト前に強烈な打球を放つなど、履正社の4番である片鱗は魅せてくれた試合でした。

<構え> ☆☆☆ 3.0

 ほぼ両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップは高めに添えます。腰の据わり・両眼で前を見据える姿勢・全体のバランスと並ぐらいで、特に構えに特筆すべきことはありません。

<仕掛け> 早め

 投手の重心が沈み始めると動き出す、「早めの仕掛け」を採用。この仕掛けは、対応力を重視したアベレージヒッターに多くみられる仕掛けです。パワフルな打撃をしていますが、本質的には確実性の高いタイプの打者なのではないのでしょうか。

<足の運び> ☆☆☆☆ 4.0

 足を地面から軽く浮かし、ベース側に踏み出すインステップを採用。始動~着地までの「間」は取れているので、速球でも変化球でもスピードの変化には幅広く対応。ベース側に踏み出すように、外角への意識が強そうです。

 踏み込んだ前の足はインパクトの際にも止まってブレません。そのため、逃げてゆく球や低めの球にも食らいつけますし、右方向にもきっちり打ち返すことができていました。

<リストワーク> ☆☆☆★ 3.5

 打撃の準備である「トップ」の形がしっかり作れないタイプなので、打撃が消化不良になりやすいので注意を。それでも、バットの振り出しが良く、インパクトまでロス無く捉えられます。ヘッドもしっかり立ってスイングできているので、広い面でボールを捉えることができています。それだけ、フェアゾーンにボールの飛ぶ確率が高い選手なのでしょう。

 スイングもパワフルで力強いですし、打球がそれほど上がるタイプの打者ではないと思いますが、体が強いので上手く引っ張って巻き込めたときには長打が期待できるかもしれません。

<軸> ☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げは静かで、目線の上下動はそれなりといった感じ。体の開きも我慢できていますし、軸足にも強さと安定感があります。

(打撃のまとめ)

 技術的にもしっかりした裏付けがあり、実戦力に優れた打撃ができる下地がある。ある程度捕手に求められる打撃を、プロの実戦の中でも体現できるだけの実力が備わっているとみて良いのではないのだろうか。



(最後に)

 現状は、恐らく下位~育成あたりの評価に留まっているのではないのでしょうか。それでも本人が、どうしても高校からプロ入りしたいという意志を示せば、何かしらの形で指名される攻守の総合力はあるように思えます。個人的には、夏を待たずして ☆ を付けてみたいと思わせてくれる捕手でした。


蔵の評価:
 (下位指名級)


(2023年 選抜大会)